『No cognizance』 その5 (未映像化台本)
身の束縛からの解放の勢い余り、「ああう!」と前のめりに体を崩し、カエルの様に地に伏す主人公。更に体がぶるる! と震え、上半身が伸び上がる。
主人公「おおお・・・!」
隊長「(驚愕と怯え)おお・・・・・」
主人公「ううう・・・・・」と呻いた後、顔を上げる。怒りに燃える目で、隊長を見据える。
隊長、呆気にとられていたが、手にした銃に気付く。サッと主人公に向けかける。
主人公、ザン! と地を飛ぶ。伏せた姿勢からとは思えぬ高い距離、4mの跳躍を見せる。そして速い。
隊長「!」銃を空に向けようとするが、既に接近していた主人公がその腕を掴む。
着地と同時に、バキッと音を立てて隊長の右手は肘から前腕が外側へ折れる。
隊長「あああ!」
見据える主人公の目と、対峙する隊長の目。すかさず放たれる主人公の右ボディーブロー。
ボキボキ! 肋骨が折れ、グジャッと内臓はへしゃげる。
内出血を起こしている隊長「う〜〜〜〜〜〜!」と呻きながら、体を左斜め前にしながら屈める。
必死の表情。
落とした銃を左手に握った刹那、隊長「おおお!」と、主人公に構え、1発撃つ。
銃弾は主人公の左こめかみのメカを弾く。肉がえぐれ、出血する。
怯まぬ主人公。むしろカッとなる。
主人公「ぬうっ!」と声を出す。
左手で隊長の顔を掴む主人公、そのまま頭を手近の樹木へ叩きつける。
叩きつけられた隊長の後頭部から血が吹き飛ぶ。
主人公はかろうじて踏み留まるが、隊長はズルズルとその場に崩れ落ちる。
主人公「・・・・・」左手で左こめかみを押さえる。
横臥した隊長。
目だけを主人公に向けて、隊長「・・・・・く・・・狂い死にを選ぶ気か・・・・・」
主人公「・・・・・」
隊長「い・・・いいか。・・・もう・・・当り前の人間じゃない貴様が・・・・」
主人公は無言で眺めるのみ。
隊長「ど・・・どうあがこうと・・・・い・・・今更・・・・・」
隊長「今更・・・・・・・・・・」と、それきり力尽きる。ストップモーションになったかの様に動かなくなってしまった。
追手Gと隊長の死体が転がっている。
それらを見下ろす主人公。疲れ果てて力無く、無表情に近い顔でうなだれている。
追手Gと隊長のデスマスクにかぶせて、ポツリ・・・と
主人公「だからってどうしろと言うんだ・・・」
追手Gに歩み寄る。側に跪くまる。
主人公「教えてくれ、姉さん。いや、誰でもいい・・・・・」
8.密林の風景ショット。
鬱蒼とした密林の様子、樹々の上に夕陽が射す、夕闇に緑の地獄に光彩が与えられる。
9.7と同じ場所。時間が経過し、夜になっている。
追手Gの遺体の側に踞り体育座りしている主人公。
機能停止しているかの様な、ボンヤリと虚ろな表情の主人公。
ザザザ・・・と葉音がする。変わらぬ主人公の表情。
追手H、Iの組と、追手J、Kの組との二つのチームが、それぞれに銃を構えて主人公に近寄る。隊長が持っていた主人公の使っていた銃は、追手Jが持っているので追手Jだけ二丁拳銃の体。
主人公の前に立つ追手たち。銃の構えは崩さない。
追手H「抵抗の様子はありません」
俯いたままの主人公。
追手H「司令確認。目標を同行させ、施設へ帰着します」
追手H、主人公に向かって「立て」
やっと顔を上げる主人公。ボンヤリと追手たちを見る。
追手H、かがみ込んで、左手を主人公の右脇に差し込み引っ張り上げようとする。
主人公「いや、自分で立てる・・・・・」
追手H、手を引っ込める。
主人公、右膝に右手を当てがい、ぐっと体を起こす。フーッと立ち上がる。
追手H、続いて他の追手たちも一、二歩退がる。警戒は怠らないのだ。
追手H、主人公から目を離さず、左の親指を立て方向を示す。
主人公、無言で歩き出す。
追手たちも歩き出す。
(続く)
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