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シティガールについて

都会には、シティガールってのがいるらしい。

背が高く、手足がスラッと長く、口が大きくてよく笑う。笑ったときにできるエクボが最高にキュートで、誰しも見惚れてしまいそうになる。ランニングが好きで、たまの休みには、雑誌で見つけたよく分からない外国の料理を振る舞ってくれる。電車やバスでは立っていることを好み、街で困っている人を見かければ進んで声をかける。家族と仲がよくて、誰かの悪口を言っているところなんて見たことがない。朗らかで向上心があり、いつでもなにか新しいものを見据えている。

と述べてみたけど、これらはすべて「らしい」で終わる。

世間的にいうシティガールってのはもっと表面的なもんだ。

SNSのフォロワーが2000人いて、流行っぽい服装に身を包み、髪はオイルでテッカテカのショートカット、使えもしないレコードとフィルムカメラを好んで、ほんとに上手いのかもわからんような無形色映え店でメシを食い、好きな映画や音楽を聞かれれば、とりあえず覚えたみたいな呪文のような横文字タイトルを口にして。

なんだお前はシティガールに親でも殺されたんかってくらいに酷い言い様だと自分でも思うけど、いまの東京ってだいたいこんな感じ。

“らしい”。

“シティガール”は語源のとおり、単に「都会生まれの女性」を意味する言葉ではない。日本版『VOGUE』の元編集長、渡辺 三津子さんが言うには、「古い慣習にとらわれず、自由を謳歌し、自立心旺盛で、ユーモアのセンスももちながら現代をタフに生きる女性たちの総称」とのこと。

なんだかよくわからないけど、でもそんな気もする。

小学生に「シティガールってなんぞや」と聞いたところで、よく分からないと言われるだろうけど、きっとみんなのなかにあるシティガール像ってのは多様なので、ちょっと聞いてみたくもなる。

エビスのOLとか町屋の介護士とか、ドトールのお姉さんとか、タクシーの運ちゃんとか、その辺の大学生とか。

でも残念なことに、僕にはそんなことを聞く勇気も“ズク”もないので、聞きたいと思ってるだけなんだろうな、と今日も心の中で素振りしている。

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