見出し画像

もう一度、3Dプリントにワクワクしよう―『JAID 1kg』展(丸の内/池尻大橋)

国内の主要自動車メーカー7社のインテリア、CMFデザイナーが集結し、車をデザインする際に重要な単位である「1kg」をテーマに、作品制作に取り組んだ『JAID 1kg』展に行ってきました。

展示物のほとんどは、最新の機材や研究を活かした3Dプリント技術で作られています。「単色のプラスチックで硬い立体を作るだけ」というイメージを払しょくするような、3Dプリントの新しい可能性を感じさせる作品を紹介します。


「精度」に驚く

自動車の内装に必要不可欠な「シボ」加工。こちらは会社近辺の地形図をシボのパターンにして、サンプル資料みたいにしよう!という遊び心ある作品ですが、注目すべきはその精度。細かな高低差まで目で追うことができ、「国土地理院」の文字もくっきり読めますね。

Color, Material, Finishの異なる素材でお好みのハンバーガーを作れる『CMF burger』でも、真っ黒なバンズに目を引かれました。鬼のように細かいメッシュが、ひとつの破綻もなく造形されています。


「色」にときめく

アジのヒラキならぬ『クルマのヒラキ』は、まるでサーモンのような色合いが美味しそう。『風速1kg』は表皮材に風を当てたときの風圧分布をシミュレーションした様子をそのまま出力したものです。

フルカラーの3Dプリントもバリエーションが増え、発色もどんどん良くなっています。色から発想するものづくりも面白そうですね。


「感触」を楽しむ

会場に入って一番最初に目につくであろう『∞Fluff』は、たんぽぽの綿毛のようなフワフワで囲まれたランプ。なんとこの綿毛、ひとつひとつ3Dプリントで作られているんです。

とても繊細に作られていますが、樹脂の綿毛は風が吹いても飛んでいきません。やさしく触って、フワフワ加減を確かめてみてください。

第1会場から電車を乗り継ぎ20分ほどの場所にある第2会場「DiGITAL ARTISAN GYM」では、作品の製作プロセスやプロトタイプを見ることができます。人型トルソーも出力できる超大型プリンタでの試作品、写真左の通称「ラーメン椅子」はボヨンボヨンとした弾力があり、日常使いしたいと思えるものでした。(※正式な展示物ではありません)


「形状変化」に夢を見る

『4D Flower』は、植物が成長して枯れていくように、熱や水分に反応して形を変えていく3Dプリント製の花。ハロゲンランプで照らされた花弁は、一見しただけでは分からないほどゆっくりと、外に向かって開いていき、最後には散ってしまいます。

こちらの『Transform Steering』は、奥の状態と手前の状態を自由に変形させることができるんです。鎖のような構造が、長さのフレキシブルな変化を可能にしました。自動運転時と人間の運転時で、ステアリング(ハンドル)の形を変えられるのでは?という実用的な発想から作られています。

環境と呼応するマテリアルや、変形を許容する構造が出力可能になったことで、3Dプリントはただの静止物を作るだけではなくなりつつあります。形状変化が制御出来たら、どんな活用法や、どんな表現が可能になるでしょう?こうした分野は「4Dプリント」と呼ばれ、とってもホットなトピックです。


3Dプリントは、これからもっと面白い

「精度」「色」「感触」「形状変化」...…といった要素が組み合わさることで、既存の3Dプリント表現や実用性の可能性が広がっていくことが感じられました。「3Dプリントは知っているし、もう飽きちゃったよ」という人にこそ、是非足を運んでもらいたいです。きっと、もう一度ワクワクを与えてくれるはず。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

『JAID 1kg』展
公式Facebookページ:https://www.facebook.com/jaid1kg
展示期間 :2019年1月12日~25日
展示会場(2か所あります)
GOOD DESIGN Marunouchi 東京都千代田区丸の内3-4-1新国際ビル1階
DiGITAL ARTISANS GYM 東京都目黒区大橋2-22-42 No.R池尻大橋ビル 1階

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?