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02.観光客が求めることを研究しておもてなしを考える話

記事の内容
1.旅マエ、旅ナカ、旅アトのシーンによる要求の違い
2.旅マエの観光客は総合点で行き先を決める
3.外国人旅行者(インバウンド)の求めること
4.実際の地方のまちづくりの取り組み
5.まとめ

SNSを通して、
若者の地方離れを緩和したい人と、週末の予定を立てたい人をマッチングすることでまちづくりをエンターテインメントとして多くの人に楽しく行なってもらえる仕組みを考えています。
本当に世の中の役に立つプロダクトをつくるために、
観光客が求めていることを研究しました。

少し前まで観光に対して無知な若者でしたが、
情報を集めていくと気づきが多くありましたのでお伝えできればと思います。
この記事から何か感じてもらえると嬉しいです。

[2019.2.27加筆修正のため上記画像はキャッチフレーズが古いです。]

1.旅マエ、旅ナカ、旅アトのシーンによる要求の違い

観光客が求めていることは、以下の3つのシーンによって異なります。
■旅マエ(旅行前のシーン)
■旅ナカ(旅行中のシーン)
■旅アト(旅行後のシーン)

今回は以下を旅として定義し、旅をする人々を観光客として扱います。
・国内で1〜3時間の移動で達成できる近距離旅

・国内で飛行機や新幹線等を使ったいわゆる国内旅行
・海外旅行


①旅マエ
旅行先に行ったら何をしようか考える期間(旅行の1日前~3ヶ月前)
・観光情報を集める
・訪問地を選ぶ
・訪問地の名物や観光名所を調べる
・宿泊先を探す
一般的に言うと、上記のような行動を旅マエに行います。

例えば僕が旅行先を検討するなら、
□以前どこかで見て印象に残った観光情報を思い出す
□googleで検索する
□旅行候補先出身の知人友人にオススメを聞いてみる
□観光情報雑誌をみる
などの行動をして、
旅の主要な目的や体験したい観光コンテンツを決めます。
(僕は目的だけ決めて、行きながら探すことが実際多かったかなあ)

最近では、Instagramのハッシュタグで検索をかけて観光情報を探す方もいるようです。
インフルエンサー(twitter等でフォロワーを多くもち、影響力のある人)
はSNSで質問をしてオススメ情報を得たりしているようです。

②旅ナカ
旅ナカとはまさに旅行そのものを指します(日帰り~10日)
・観光地を巡る
・美味しいご飯を食べる
・イベントやアクティビティを体験する
・ショッピングをする
・ホテルや旅館などの宿泊施設に泊まる
・現地の人とコミュニケーションを楽しむ

旅行中に予期せぬ予定変更のあった人や、移動しながら旅を楽しむタイプの人は旅ナカのシーンでも観光情報を求めています。
最近では、SNSで観光地での体験を発信をしながら旅をする人が多くいます。

③旅アト
旅行後、住んでいる土地に戻って1ヶ月以内の行動です。

・知人、友人にお土産を配る
・土産話を話す
・旅行の様子や感想をSNSなどに投稿する

などの行動を取ることが多いです。
ひと昔前は、訪日する中国の方などの「爆買い」が記憶に新しいですが、
最近では越境ECという、海外でも決済できる販売サイトで日本の製品がボタン1つで多く購入されるようになり、
旅ナカに買い物をするのではなく旅アトに買い物をする外国人が増えているようです。

①旅マエ
②旅ナカ
③旅アト
観光客はこのように3つのシーンを経験して旅行を行います。
観光客を増やしたいと考える場合は、
これらのどのシーンにどんな要求や不満があるかを考える必要があります。


2.旅マエの旅行客は総合点で行き先を決める

みなさんは、旅をする時に何を判断材料に旅先を決めていますか?

例えば、近距離旅であれば
美味しいご飯や特定のアクティビティ1つでも旅をすることが多いと思います。
2泊3日の国内旅行であれば、1つの目的だけで飛行機に乗ることはあまり多いケースではないと思います。
ましてや、5泊7日で海外旅行に行く場合は様々な楽しいこと複合的に期待して飛行機に乗るのではないでしょうか。

多くの人が旅行先を決める時には、無意識に旅先の総合点で意思決定しています。

例えば、
大型音楽フェスが山口県であるから、いい感じの旅館に前泊して、有名な郷土料理を食べて、ついでに陶芸して、海でも見て、温泉入って海鮮でしっぽり飲もうかな。
それにしても電気グルーヴとサカナクション楽しみだなやばいな〜

みたいな。

音楽フェスという目的に加えて、
まちの魅力を複合的にプラスして旅を面白くしようと考えた結果
とても面白そうだから山口県に行く、という意思決定がされます。

遠方からの3連休の旅で、
1日だけ音楽フェスに行って帰るという意思決定がされた場合は、
まちの魅力が乏しいか、
まちの魅力を知らないか、
交通アクセスが悪い
などの問題が必ず隠れています。

例えば、
近距離旅でショッピングモールに行く
という意思決定にも総合点が影響しています。
5人家族であれば異なる興味対象がショッピングモール内に分散されており、家族全員が満たされる1つのまちが形成されています。
つまり総合点がとても高い。
ただ、地方ではショッピングモールが大きな集客を得ているものの、
周辺のお店は苦戦するというジレンマが発生しています。
まち全体を考えると、良い面も悪い面もあって非常に難しい問題ですね。

旅の主要な目的とその重要度は人によって異なりますが、
このように観光客は無意識のうちに旅行先を総合点で意思決定しています。

目的+楽しそうなこと(様々なまちの魅力)

3.外国人旅行者(インバウンド)の求めること

日本を訪れる外国人観光客がどんどん増えています。
日本政府観光局(JANTO)の統計によると2018年には3,119万人もの人が日本を訪れ、今後もどんどん増えていくことが予想されています。
人数が多すぎて想像し難いですが、
参考値として2019年の山口県の人口は134万人です。
23倍???笑 すごいっすね。

・東京
・箱根や富士山周辺
・名古屋
・京都
・大阪

にいくと本当に外国人が多くてびっくりします。
これらのまちはゴールデンルートと呼ばれ、訪日外国人の旅行の定番となっているルートです。
10日ほどの日程で日本を訪れる外国人は、移動しながらこれらのまちで観光を楽しみます。
今、その流れが変わりつつあると言われています。
変化の流れを要約すると、

①インバウンドの団体客が減り、個人旅行者が非常に増えている
②訪日した回数が2回目以上のリピーターがゴールデンルートを外れて地方に観光へ出かけている
③モノの消費から、コトの消費に需要が流れている



ゴールデンルートから地方へ観光客が流れている
ことを考える際は、
まずゴールデンルートについて知る必要があります。
5つのエリアは、
自然が多い、
食事場所が充実している、
歴史ある観光スポットが多いなど魅力がバラバラです。
加えて、東京や大阪の国際便からのアクセスが非常に良いです。

このゴールデンルートが人気を得たのは、
「効率よく日本を旅行できる」という理由があります。
初めて日本を旅行する方には、ぴったりなルートと言えます。


参考:www.japantimeline

このルートを何度か経験した外国人が、もっと日本のディープな魅力を体験したくて地方に観光に出かけています。

最近では
沖縄県
福岡県
熊本県
愛知県
千葉県
青森県
北海道
などの地方で外国人観光客が増加しています。

モノの消費から、コトの消費に需要が流れている
について考えるときはSNSのビックデータが非常に参考になります。
東京海上日動火災保険株式会社は、SNS投稿サイトなどから訪日外国人客の発言をまとめた約180万件のビッグデータから抽出した、
訪日外国人が何を好み、何に興味があり、どんな場所が話題なのかのデータをまとめて企業や自治体に提供しています。
すごい会社ですね。

外国人のカテゴリー別投稿数と、ネガティブポジティブの度合いを検証した結果、
買い物のようなモノ消費ではなく、
日本食や歴史的な建造物や風景やまち歩きを体験をする、
いわゆるコト消費をする観光客が増えています。

日本は四季のある国ですから、季節によっても観光コンテンツの評価が変化します。
これらを見ても外国人が日本らしい体験を重視していることがわかります。
「見る、食べる、体験する」が重要な観光資源となっています。
少し広げると、
「気候」「自然」「文化」「食事」が大切です。

https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/company/release/pdf/180510_01.pdf
参考:ソーシャルビッグデータを活用した全国インバウンド観光調査を実施[東京海上日動火災保険株式会社]

4.実際の地方のまちづくりの取り組み

地方では、観光客を集めるために様々な施策がなされています。
大きくいうと、
・wifiスポットの整備
・多言語案内
・交通網の整備

が挙げられます。

これらに加えて実際の事例を少しご紹介します。

①新潟県のファムトリップの事例:台湾の人気ブロガーと家族を招待

新潟県の十日町市が、台湾の人気ブロガーを招待して十日町を体験してもらい、台湾人にブログを見てもらうことで観光客を増やしています。
これにより、1年間で約17,000人の台湾人の旅行者が増加したようです。
このように、インフルエンサーを招待して体験して発信してもらうことはファムトリップと言われ、注目を浴びています。
私はご縁があって十日町に視察に行きましたが、ご飯は美味しいし、見て体験できることもたくさんありました。
まちづくりに熱心な方々がたくさんいて素晴らしいまちです。
また行きたい。

②「地獄谷野猿公苑のスノーモンキー見学バスツアー」で訪日外国人を呼び込み

長野県にある白馬村では、温泉に入るサルが訪日外国人から人気を集めています。このツアーがきっかけで、約3万5千人のインバウンド客が増加しています。
これは、徹底的に
交通手段の整備
ツアーの手配に英語で対応

を続けて、外国人が不満に感じるポイントを減らす努力をしたことで実現されました。おもてなしの心が大切だなと感じる事例です。

③広域連携DMO「せとうちDMO」
DMOは「Destination Management Organization」の略で、「観光地域づくりを実現するための戦略を考える組織」を指します。海外ではすでに実績があり、インバウンド観光を考えるうえで注目されている仕組みです。

日本では瀬戸内を囲む7県(兵庫県・岡山県・広島県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県)が合同して瀬戸内全体の観光ブランド化を推進するために組織されています。実際にアメリカからの観光客が増加しているようです。
観光を考える上では、1つの県だけではなく、横のつながりを考えることがとても大切です。
ゴールデンルートのように長期滞在の観光客は様々な地域を行き来します。

http://setouchitourism.or.jp/ja/
せとうちDMOのHP

5.まとめ

他にもまちづくりや観光誘致の事例はたくさんありますが、
大まかにまとめると

・まちの魅力を伝える
観光客の不満を減らす(シーン別と総合点で考える)
SNSのような現代テクノロジーの導入を考える
地域の横のつながりを意識する
・「気候」「自然」「文化」「食事」を意識した体験

が大切であると分かりました。
これらを踏まえて、まちづくりへの考察を深めていきたいと思います。

次の記事は
「ロールモデルとしての山口県」について書きたいと考えています。
ありがたいことに、
前回書いた記事を読んで、僕に会って話がしたいという人が出てきました。
今夜、彼と飲んできます。

応援していただけると、とっても嬉しいです。🐕

主な参考文献:https://inboundnow.jp/media/
[2019.2.27加筆修正のため上記画像はキャッチフレーズが古いです。]

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