世界金融、破裂寸前

2016.05.16  

金融界の大量殺戮兵器といえば?...それは、「デリバティブ元本残高の天文学的な大きさ」のことです。

デリバティブというのは、株や債券や為替とは別の、金融商品のことです。

いま、このデリバティブ残高が、世界合算で、かつてない規模でふくらんでいる。株や債券では儲からないので、各銀行が一気にデリバティブに群がり、とてつもない規模に増殖している。おまけにマイナス金利で、デリバティブしか稼げない構図になっている。

参考までに、米国マネーサプライは15兆ドル、世界のGDP総額は50兆ドル、世界の株式と債券市場の時価総額は100兆ドルである。

それに対して、デリバティブ残高は1500兆ドル(約16京円。京は兆の1万倍)だ。


それでは、金融機関のデリバティブ残高を個別にみていきましょう。

●ドイツ銀行のデリバティブ残高は、ドイツGDP2兆7000億ユーロ(約330兆円)の20倍強で、55兆6000億ユーロ(6840兆円)です。

●シティグループは、総資産1兆8000億ドルの29倍の53兆ドル(5620兆円)の残高。

●JPモルガンは、総資産2兆4000億ドルの21倍の51兆ドル(5400兆円)の残高。

●ゴールドマンサックスは、総資産1兆ドル弱の50倍強の51兆ドル(5400兆円)。

●バンクオブアメリカは、総資産2兆1000億ドルの21倍の45兆ドル(4770兆円)。

●モルガンスタンレーは、総資産総資産1兆ドル弱の31倍強の31兆ドル(3290兆円)のデリバティブ残高です。

2016年、アメリカの銀行グループは総資産の20倍~50倍のデリバティブを恒常的に行なっている。(もうやめられない。引き返せない)。これが万一の、イレギュラーなトリガーによって、逆回転しはじめたら、仮に世界残高のたった1%の支払いとして、15兆ドル(1600兆円)を迫られたとすれば、企業は破産し、国も破綻する。

デリバティブ残高が、金融の大量殺戮兵器と言われるゆえんです。


では、上記に登場する銀行株の健全性があるのかないのか、をみていきましょう。

●ドイツ銀行の株価チャート----破綻が時間の問題であること----がわかります。直近16ドルくらいで最底辺をうろついています。EUのギリシャ支援のお金が迂回して、この銀行の支援に使われているそうです。もし、ここが破綻すると、『55兆6000億ユーロ(6840兆円)』におよぶ、ドイツ銀行のデリバティブ商品が利払い不可能ということになる。

デリバティブ残高のケタはずれの膨張を、新聞も放送も取り扱わない。利益さえ出ていれば、これだけ巨大な残高であろうが、無視を決め込む市場の異変。それは、世界中が金融キチガイ化しているからだ、とはいえないだろうか。


つぎに、日本単独で投資主体をみてみると、日銀による投機的な金融の異常さがきわだっています。

日銀資産が120兆円だった2009年、それから7年で400兆円に増加。中央銀行の株価操作による株資産増というのは、一部上場企業の株主が中央銀行になってしまっているという異様な姿なのです。すでに、自由な資本主義などというものは、もうどこにもなく、まるで北朝鮮のような中央統制経済が進行しており、もう、戻ることができないのです。(日銀が東証の最大の買い手(保有主)となってしまった以上、それを売る相手が存在しない。もう二度と売れないのです)。

そして、年金運用もギャンブル化していることはみなさんもご承知のとおりです。

NYを買い支えするための外国株比率は12%から25%に2倍となり、総運用資産140兆円の年金が運用する資産の半分が株式運用に移り、日本国債の運用比率は60%から35%に下落した。140兆円の年金運用が、突然外国株・日本株になったわけですが、ここでももう、戻ることができないのです。(年金が外国株・日本株の最大の買い手(保有主)となってしまった以上、それを売る相手が存在しない。もう二度と売れないのです)。そして、保有している株価の下落は年金運用財源の目減りを意味しており、本来勤労者が積み立てているはずの(私有権を有するはずの)年金財源が、勝手に流用されて目減りしているのが避けられないのです。


では、これから始まる金融危機の大きさ、規模を、みなさんは、どのようにイマジネーションできるでしょうか。

私は「歴史上、人類が経験したことのない」とか、「あらゆる国家の枠やシステマティックな制度をなぎ倒しかねない」とか、「世界の交易が停止し、石油や食糧すら輸出入できなくなる」などという表現で、この金融破裂を描写しようとするが・・・。

こうなればおそらく、金貸したちは各国政府を通して、戒厳令を発動し国民の暴動行為を制圧し、同時に破れかぶれの物資調達戦争を仕組んでくるのではないだろうか。彼らは自分達の生命と財産の略奪の危機に直面するから、各国の軍隊と警察力を総動員して、治安維持を最大の大義名分として、世界中で人類に対して非人権、非自由権、非私有権の管制コントロールを強行に進めてくるでしょう。

しかし、ここから先は公務員ですら国家が給与を支払えない事態となることが予想できるため、各国の軍隊と警察力を意のままに操ることができるのかどうか、謎です。そして、預金封鎖によるデジタルマネーへの移行というような予測も目にしますが、上記でみてきたようにデリバティブ残高のケタはずれの膨張とその崩壊は、各国の主要メガバンクを一気に連鎖で飛ばしてしまうほどの起爆力をもっているため、(もちろんその飛ばす相手に中央銀行も含まれているでしょうから)、先進国国家財政はもちろんのこと、新興国に至っては国家財政というものがもはやかけらすら残らず瓦解してしまうため、預金封鎖したところで各国の国家運営がもう再生しないというところまで行ってしまうのではないでしょうか。

デリバティブ残高のケタはずれの膨張とその崩壊は、金融工学の専門家はもちろん、各国財務大臣、財務省などのシミュレーションに入っているのでしょうか。

上記ではドイツ銀行の破綻のときにドイツ銀行のデリバティブが利払い不可能という推測をしたが、軒並み世界の超一流銀行の抱えるデリバティブに飛び火して、世界のデリバティブ残高が連鎖的に利払い不可能という事態になることは、ありえないのでしょうか。

それとも、投機家資本は、世界のデリバティブ残高「1500兆ドル(約16京円。京は兆の1万倍)」を、いついつまでも発展・継続していく気でいるのでしょうか。実体経済そっちのけで、仕組み金融の利益だけが、永遠に拡大し持続していくと信じているのでしょうか。

世界の人類は、日常生活とは異次元の金融ブラックボックスの中で、デリバティブ残高「1500兆ドル(約16京円。京は兆の1万倍)」が、永遠不滅に増大し続けて、利益の好循環が続いていくと理解しているのでしょうか。それとも、デリバティブ残高なんて聞いたこともないし、考えたこともないのでしょうか。それともドイツ銀行が破綻することなんて考えもしないのでしょうか。いつどんな危機が起爆して、世界の銀行の破綻が起きるかもしれない、なんて考えもしないのでしょうか。


こうした状況を展望するとき、社会変化の状況認識を正しく行ない、かつ、食糧自給を確保するための自給共同体づくりが大切になってくると考えます。それは各地域ごとに有志が連携して取り組むものです。準備していなければ、金融崩壊が音を立てて始まってしまったら、「どうしようどうしよう」と慌ててしまって、冷静に事態を分析したり、自給の方法を仲間と取り組んだりすることが難しくなってきます。アセンション実践倶楽部では、自給共同体づくりについて、構想や提案を行なっています。また、全国の自給共同体と連携していくことで、問題点やノウハウの共有、実践への加速化が図れるのではないかと考えています。この取り組みについて、関心のある方は、下記サイトからご連絡をお待ちしています。(アセ実・管理人・くりえいと)

アセンション実践倶楽部 http://asejitsu.jimdo.com/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?