夜のそら:Aセク情報室

中の人はAセクシュアル でAジェンダー。虹色には輝かない、真っ暗闇のなかから呪いの言葉…

夜のそら:Aセク情報室

中の人はAセクシュアル でAジェンダー。虹色には輝かない、真っ暗闇のなかから呪いの言葉を吐きます。Aセクシュアリティに関わることについて書きますが、今はUSのラディカルフェミニズム運動を調べています。性愛規範と性別二元論を、わたしは絶対に許さない。(※更新終了しました)

マガジン

  • トランスイシュー(Aジェンダーの立場から)

    トランスジェンダー、もしくは非シスジェンダーであるAジェンダーとして。トランス差別に反対する記事なども含みます。

  • U.S.ラディカルフェミニズム運動

    Aセクシュアルとラディカルフェミニズムの繋がらない歴史を繋ぎたい。アメリカ(ニューヨークとボストン)のラディカルフェミニズム運動(1967~1973)について、これから大量に記事を書きます。

  • Ace-pective:Aセクシュアルから見えている世界

    Aセクと性欲、Aセクと人間の成長、Aセクと人間関係、など。Aセクシュアルから見えている世界について。

  • インター(A)セクショナリティ

    セクシュアリティは独立のものではない。それぞれのAceが置かれている状況は、それぞれ違う。Aセクシュアルと/のインターセクショナリティに向けて。

  • 恋愛伴侶規範(Amatonormativity)について

    恋愛伴侶規範(Amatonormativity)についての記事を集めています。

最近の記事

  • 固定された記事

A is for Anti-Sexual:Aセクシュアルがここにいる

 こんばんは。夜のそらです。  もうすぐ、この「夜のそら:Aセク情報室」を始めてから1年になります。このブログを始めた直接の大きなきっかけは、「Aセクシュアル・マニフェスト」(Asexual Manifesto)を日本語で紹介したいと思ったからでした。ただ、それだけでなく、Aセク(Asexuality)についての日本語の情報源のひとつになれたらいいな、という思いでブログは書いていました。自分としては、そこそこ頑張ったと思っています。 1.わたしの結論 でも、もうすぐ1年、と

    • 夜のそらの終わり、陽の昇らない島

       こんばんは。夜のそらです。ブログの書き出しは、いつもこの言葉でした。でも、残念ながらこの記事を書いているのは夜のそらさんではありません。夜のそらは、いなくなりました。そらの向こうに行ってしまったのです。だから、これは夜のそらさんへの追悼文です。よければ、そらの向こうにむかって一緒に追悼してください。 1.おしゃべりだった夜のそら 生まれてからこれまで、たくさんの人格を使い分けながら生きてきました。自分が世界に産み落とされた事実を知ったその日から、多くの場合は状況に強いられ

      • 夜のそらをやめるときが近づいている気がします。ひび割れて出てきた「夜のそら」ですが、今ではわたしの心の中心を占めるようになりました。でも、断絶や亀裂のない人格になってしまったら、もうそれは「夜のそら」ではありません。自分には世界を呪う資格はなく、静かに死ぬべきだと思い始めました。

        • THE FEMINISTS(3)規約と哲学

           こんばんは。夜のそらです。この記事はTHE FEMINISTSについて解説する記事の3本目です。1本目の記事ではThe Feministsの運動体としての誕生と衰退、また基本的思想を紹介しました。 2本目の記事では、実質的な設立宣言に該当するような時期の文章を翻訳しました。 3本目のこの記事では、前回の続きになりますが、Notes from the second yearに掲載されたThe Feministsの団体文書の続きを翻訳します。Notesのページだと115~1

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        A is for Anti-Sexual:Aセクシュアルがここにいる

        • 夜のそらの終わり、陽の昇らない島

        • 夜のそらをやめるときが近づいている気がします。ひび割れて出てきた「夜のそら」ですが、今ではわたしの心の中心を占めるようになりました。でも、断絶や亀裂のない人格になってしまったら、もうそれは「夜のそら」ではありません。自分には世界を呪う資格はなく、静かに死ぬべきだと思い始めました。

        • THE FEMINISTS(3)規約と哲学

        マガジン

        • トランスイシュー(Aジェンダーの立場から)
          20本
        • U.S.ラディカルフェミニズム運動
          15本
        • Ace-pective:Aセクシュアルから見えている世界
          8本
        • インター(A)セクショナリティ
          1本
        • 恋愛伴侶規範(Amatonormativity)について
          3本
        • 個人的な経験
          2本

        記事

          THE FEMINISTS(2)設立宣言:性役割の根絶

           こんばんは。夜のそらです。この記事は、ラディカルフェミニズム運動について調べたことをまとめている記事の一部で、The FeministsというNYの運動体についての記事の2つ目です。1つ目の以下の記事では、The Feministsという運動体の誕生から衰退までの流れ、そして運動体の基本思想を説明しました。 2つ目のこの記事では、1969年6月に正式に発足したThe Feministsの、設立文書を紹介します(2)。当初は全体で3つの記事を書く予定でしたが、次の記事で設立

          THE FEMINISTS(2)設立宣言:性役割の根絶

          THE FEMINISTS(1)アトキンスンが吹き込んだ命

           こんばんは。夜のそらです。この記事から再び、1967~1973年ごろのUSのラディカルフェミニズム運動の紹介を再開したいと思います。昨年の6月ごろまで、生活のかなりのエネルギーを割いて勉強していたのですが、その後、ラディカルフェミニストたちの強力な言葉を自分なりに咀嚼する精神的・身体的な体力がなくなってしまい、しばらく放置していました。  ちなみに、このシリーズは「マガジン」としてまとめています。 わたしは、「Aセクシュアル・マニフェスト」という、NYのラディカルフェミニ

          THE FEMINISTS(1)アトキンスンが吹き込んだ命

          Aセクシュアルは世界を滅ぼす

           こんばんは。夜のそらです。今日は生産性について話します。 1.足立区が滅びるこんなことはあり得ないことですけれども、日本人が全部L、日本人の男が全部G、次の世代生まれますか。一人も生まれないんですよ。1000年とか200年じゃない。次の世代を担う子どもたちが1人も生まれない。本当にこんなことでいいんだろうか。 先ほど取上げたLGBTの問題。BとTについては、これは生まれつきのこともありますから、必ずしも、ここでいろんなことを言うべき事ではないのかもしれません。でも、L、レ

          Aセクシュアルは世界を滅ぼす

          資本主義とトランス/アイデンティティ(3)パッシングエイブリズム

           こんばんは。夜のそらです。この記事は「資本主義とトランス/アイデンティティ」という記事の3本目です。本当は(1)と(2)で終わるはずだったのですが、続きを書かないといけないと思ったので、書きます。  ちなみに(1)と(2)はこちらに置いておきます。お時間のある方は(1)からお読みください。 この記事ではエイブリズムと「パッシング」について、最終的には考えたいと思います。エイブリズム=Ablism=能力主義=健常者主義=障害者差別について。パッシング=特定の(望む)性別で通

          資本主義とトランス/アイデンティティ(3)パッシングエイブリズム

          お茶の水大学と杉田水脈:LGB(T)の2018年

           こんばんは。夜のそらです。夏前から最悪だった持病の調子が上向きになり、それに休職の延長もそろそろ限界だったので、11月途中から時短勤務で職場に復帰しました。ただ、会社の配慮によって女性だけの部署に異動させていただいたはいいものの(――トランジションするうえでとてもありがたい配慮でした――)、新しい建物に移ったせいで、わたしがトランスであることを知らない人が周りにすごく増えてしまい、毎日生きた心地がしません。ずっと騙しているみたいで申し訳ないけど、部長にカミングアウトするだけ

          お茶の水大学と杉田水脈:LGB(T)の2018年

          A is for Anti-Futurism:不可視のクィアの脱臼した時間

           こんばんは。夜のそらです。今日は、最近読んだ論文の感想というか、批判というか、不満を書きます。  読んだのは『現代思想』2019年11月号「反出生主義を考える」という特集に含まれた古怒田望人さんの論文「トランスジェンダーの未来=ユートピア」です。反出生主義について勉強したいな、と思ってかなり前に図書館で予約して、ようやく読めました。この特集に古怒田さんのトランスジェンダー論文が入っているのは予期せぬ発見で、楽しみにして読みました。しかし、AセクーAジェンダーのわたしからする

          A is for Anti-Futurism:不可視のクィアの脱臼した時間

          Aジェンダー・マニフェスト(2020)

           私たちはAジェンダーです。私たちは世のなかの殆どすべての人が持っているジェンダー・アイデンティティ(gender identity)を持っていません。このような私たちの生の在りかたを指す言葉が「Aジェンダー」です。  いま、日本語圏でAジェンダーを自認する人はほとんどいません。英語圏にはそれなりの数の当事者を見つけることができますが、それでも、「Aジェンダーであること」をきちんと当事者が言葉にしてまとめる試みは、これまでのところほぼありません。  このマニフェストは、そうし

          Aジェンダー・マニフェスト(2020)

          GIDの診断書を拾った

           あまりにもあっけなかった。ずっと行くのが嫌で渋っていた外性器の検査の結果が書いてある封筒を開けたクリニックの医師は、「今日もう診断書持って帰りますか?」とわたしに聞いてきた。 診断書?? 診断、終わったんですか?と聞くと、医師は「そうですね。性同一性障害という診断が確定しました」と応えた。まるで、とっくの昔にあなたが自分で知っていたことでしょう、わざわざ言う必要なんてありますか、という感じの口調だった。 1.診断書を拾うこうしてわたしはGIDの診断書を拾った。 わた

          GIDの診断書を拾った

          GIDでもトランスジェンダーでもなく(1) I Am (w)Here:浅沼智也さんのドキュメンタリー映画を観て

           こんばんは。夜のそらです。この記事は、「GIDでもトランスジェンダーでもなく」という記事の前半(1)です。  最近、たて続けに日本のGID・トランスについての歴史を知る機会があり、いったい自分は誰なんだろう、どこにいるんだろう、という気持ちが強くなりました。その機会の1つは、吉野靫さんの本『誰かの理想を生きられはしない:とり残された者のためのトランスジェンダー史』を読んだことでした。これについては後半(2)で感想を書きたいと思います。  前半(1)では、浅沼智也さんの映画

          GIDでもトランスジェンダーでもなく(1) I Am (w)Here:浅沼智也さんのドキュメンタリー映画を観て

          なぜ私たちは半ギレなのか~半ギレAceWeek2020に寄せて~

          私たちは半ギレである。私たちがキレている理由はあまりに明白である。この社会が私たちの存在を許すようにできていないからである。 思春期を経ると人は性的な興味をもつ。それは成長の証。親密な相手とはセックスをしたくなる。それは親愛の印。セックスは至上の悦びである。それは人類の常識。性欲(対人セックス欲求)は本能に由来する。それは生物学的宿命。 こうした言説が支配する現代社会のなかで、私たちAセクシュアルは自分自身をただしく認識することを妨げられ、アイデンティティを傷つけられ、今

          なぜ私たちは半ギレなのか~半ギレAceWeek2020に寄せて~

          1つではないAセクシュアル:私たちのインター(A)セクショナリティ

           こんばんは。夜のそらです。この記事から、新しく「インター(A)セクショナリティ」のシリーズを始めたいと思います。 1.UKAce2020カンファ:エスニシティパネル 先月9月6日(日)、UKaceconference2020(UK:Aセクシュアルカンファレンス)がオンライン上で開催されました。わたしは、今は英語も日本語もSNSは遮断しているけれど、YoutubeのAce界隈でカンファレンスのことを知って、我慢できなくて参加してきました。参加したとは言っても、UKと日本では

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          透明マント着るAジェンダー(2)ステルスジェンダーという戦略

           こんばんは。夜のそらです。この記事は、「透明マント着るAジェンダー」という記事の後半(2)です。前半(1)では、「透明マント」という魔法の道具が出てくる小説『ハリーポッター』にまつわる、わたしの思い出について、書きました。人々の心と世界に魔術をかける貧困という魔法のこと、そして貧困のなかで悩みを飲み込んでいる性のマイノリティの子どもたちのこと、わたしはいつも覚えていたいと思います。 前半(1)では過去のことを書いたのですが、この後半(2)では現在のことを書きます。透明マン

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