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鈴季すず17歳

2019.10.3 ピースパで組まれたシングルマッチ米山香織vs鈴季すず。この大会で一番の注目の試合と考えていた。それはメイvsすずが出来ない今、同じ対戦相手で比較することしか出来ないから。仮想メイvsすずを米ちゃんを通して行おうという算段である。

結論から言うとドローである。ただ、すずのキャリアや年齢を考えると勝ちに等しいドローだ。

もちろん米ちゃんが素晴らしいというのも一因ではあるが、どちらも相手は同じ米ちゃんなのでそこは相殺される。

すずが素晴らしい所は全てにおいて平均以上のプロレスが出来ることである。何かに特化していい選手というのは多い。だが、すずは特別何かに特化してるわけじゃないが全てが満遍なくいい。打撃の強さ、持ち技、負けん気、身体能力、キレ、受け方、表情、プロレス頭…そのどれもがいい。技も多彩で新人らしい押さえ込みから、新人らしからぬジャーマンスープレックスまでとにかく幅広い。チリンチリンという自虐的なアピールとあの明るいキャラクター。POP王者として選ばれるのも大納得の活躍。

その良さが米山戦では存分に堪能できた。そしていつものすずとは違う面を米ちゃんが引き出してくれた。この米山戦で一番印象的だったのはすずの受けっぷり。変顔キャメルクラッチ、足を踏まれた時、チリンチリン耳元で鳴らされてる時、最後負けた後のリアクション…どれもがよく伝わる。

受けだけじゃなく返しもしっかり出来る。モンゴリアンチョップやエルボー、場外で追い掛け回されても逆にやり返す。最近使うデッドリードライブをハンドスプリングの要領で切り返すやつ。カウンターのカニカニクリップやマトリックス避けなど非常に技が多彩で飽きさせない。回転するスピアーもここぞという場面で反撃の狼煙として使われることが多い。

あわやという場面を何度も作った。だがそこは百戦錬磨の米ちゃん。そうは簡単に取らせはしない。徐々に米ちゃんの術中にハマっていく…フィニッシュは後方回転エビ固め。時間は約9分半。実はこの結果は技も時間もメイと同じなのである。でも攻めた印象は正直すずの方が強かったかもしれない。ジャーマンが決まってたら勝っててもおかしくない説得力もそれまでの流れで作れていた。これ、実はとても凄いこと。

あの衝撃のデビュー戦で完全に心を掴まれてから10ヶ月。急成長を遂げる17歳はまだまだとどまることを知らない。米ちゃんも言ってる通り末恐ろしい。早くも初めてのタイトルを取ったすずはもう既に次のステップへ歩みを進めている。すずはどんどん駆け上っていける力と才能を持っている。

それに加えて様々なスタイルの素晴らしい先輩達や、他団体の同年代のライバル達とも闘える。自身だけではなく外から吸収出来る環境もある。才能と環境が揃えば後はのびるだけ。プロレス力だけじゃなくて、ひょっとしたらまだ身体の成長も止まってないかもしれない。身長が伸びることもあるかもしれない。

3年後…20歳になった時きっととんでもない化物になってることだろう。去年女子プロレス大賞を受賞したつっか。その種は確実に蒔かれ、すくすくと急成長している。その花が開いた時、再びアイスリボンに女子プロレス大賞のトロフィーが飾られることになるだろう。

鈴季すず17歳。今後の成長が恐ろしくもあり楽しみでしょうがない!

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