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幸せ殺人者 another story②

転校生の足元ちゃんは周りからとても興味を持たれていた。彼女が転校してきた日のお昼休み

「ねえ、どこから来たの?」

去年隣のクラスにいた、川田ふみちゃんが足元ちゃんにそう聞いたのが聞こえた。ふみちゃんはよく変な顔をしてクラスのみんなを笑わせる係だった。きっと今年もそうだろう。ふみちゃんと1度も話したことの無い私でも彼女のことは知っていた。彼女はそれくらい有名な子だった。

「隣町から来たよ。」

答える足元ちゃんの顔はふんわりと笑っていてとても可愛い。

「前の小学校ってどんな所だった?」

「えー、ここより校舎はボロボロだった。」

足元ちゃんはニコニコと笑いながらみんなに話す。前いた町はここよりずっと涼しかったよ、ここはまだ4月なのにすごく暖かいよね。

足元ちゃんが前いた街とこの街の間にはたしか大きな山が3つほどありその山のせいで風の吹き方が大きく変わるのだとお父さんから聞いたことがあった。きっと足元ちゃんが前いた街はここより風が強く吹くのだろう。海辺の街だからここより寒いのだろうな。

私はそんなことを思いながらその会話を少し遠い席から聞いていた。会話に混ざりたいけれど混ざれない。誰かにとってマイナスな存在に自分がなってしまうことが怖くて怖くてたまらなかったからだ。特に、足元ちゃんは私のことを全く知らない。そんな子に早くも嫌われてしまったら私の居場所はとうとうなくなってしまうだろう。それだけは避けたかった。

「ねえ、名前、なんて言うの?」

急に頭上から声がした。私はびくっと肩を揺らし、顔を上げると屈託のない笑顔をした足元ちゃんが私の席の前に立っていた。

「名前、なんて言うの?」

「え、私?諏訪、諏訪りんって言うの」

「へえ!りんちゃん!わたしは足元花香。よろしくね。」

「あ、うん。よろしく。」

手を差し出されたので私は恐る恐るその手を握った。すると彼女はにこっと元々笑っている顔をさらに歪ませて握った手を2、3回振った。握手なんて最後されたのはいつだろう。私は少し嬉しくなった。

「足元ちゃーん」

「はーい!」

足元ちゃんは、じゃあまた、と言い残して私の席から離れていった。ふみちゃんとさらちゃんが

「学校案内してあげるー!」

と手を振っている。

足元ちゃんは人気もの。私の手には届かない存在。でも今日話しかけてくれて、握手をしてくれてとても嬉しかった。私は自分の右手をじっと見つめる。まだあの少し冷たく、柔らかい足元ちゃんの手の感触が自分の手に残っていた。

私、ひとりぼっちで全然構わない。綺麗なノートと成績さえあればきっと私だって素敵な大人になれるはずだ。でも、でも私。

足元ちゃんと友達になりたいなあ。

昼休みの終わりごろ私はふわっとそう思った。

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足元花香🍎🐰

傷を抉る作品を書く「生きづらい」の体系。毎日note更新が目標。ツイッターランドもぜひ。右下の所の鳥さんマーク押してよ。🐦ピヨ

幸せ殺人者another story

幸せ殺人者another storyをいっぺんに読める的なアレです。下から上に物語が進みます。

コメント2件

おじゃまします☆
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やっぱ似て非なる 二人ってのが伝わるね☆

外伝 だから昔や未来より、同時進行してた登場人物側からの視点だから、キャラや世界観の下地がある分 読んでても想像や洞察 が ふうわり刺激されてる感じがする☆
ありがとうございます!
足元ちゃんはこんなににこにこ元気だけどお家に帰るとびくびくして怖い思いたくさんしてて、りんちゃんはもうダイレクトに怖くて人と関わることにびくびくしてて、お互い怖い気持ちでいるんです。違うのはその気持ちをどうするかなんですよ。
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