講談師神田伯山にハマる7つの動画

ちょうど私も体調が優れなく夜いまいち寝付きが悪い、という時期でありましたためここはひとつ講談をBGMにしながら入眠できれば良いかもなどうせ話の内容は解らないしと思いYoutubeで講談を検索したところ出てきたお名前が六代目神田伯山でございました。

神田伯山ティービィー

神田伯山のお名前は、というかお名前だけは存じ上げておりまして曰く「今もっともチケットが取れない講談師」、曰く「講談を復活させた男」などと評されております。
ほうほうこれは良さそうだちょっと聴いてみるかと手を出しましたところこれがなんとも面白い。眠れないどころか「もう一席、もう一席だけ聴いて寝よう」という始末でございます。

張り扇の音はパパンパンパンと小気味良く、間に入るカカッという左手の扇子、右手の張り扇の音でホッと一息。
決闘の場面ではあまりの緊張感から息を飲み、ちょっと抜けた童の演技で頬が緩み、合間に挟まるちょっとした説明でクスリと笑う。Youtubeで見ているわけなのですが本当に「話に没入する」という体験をしているのでございます。

「神田伯山ティービィー」の良いところはなんといっても「字幕がついている」というところでございまして(すべてに字幕がついているというわけではございませんが)、とにかく落語、講談の類は聴いてみると「そもそも何を言っているかわからない」ということが多い、つまりは「耳ができていない」ということでございますが、「神田伯山ティービィー」の各演目は字幕がついているおかげで初見でも内容がよく理解できる。これはありがたい。字幕はON/OFFできるので最初は字幕ONにして、慣れてくると字幕OFFにすればよろしいかと思われます。

ということで数週間かけて「神田伯山ティービィー」内の演目をほぼすべて視聴させて頂いた中から、講談にご興味がございます貴女に「まずはここから」とおすすめする演目をご紹介いたします。
「端物(はもの)」と呼ばれる単発ネタや「連続物(れんぞくもの)」と呼ばれる十数話からなるストーリーからピックアップしております。
「連続物」からピックアップしたものはもちろん単発としても聴けますし、各話の関係性がわかってカタルシスを覚えるという「連続物」ならではの体験もできるような並びでご紹介しております。

アップされた演目全部順番に聴け、あれも良いぞこれが無いぞというのは簡単に言うことはできますが、講談も一話一話長いですので、ここはまず手っ取り早く講談を体験してみたいという貴女へのピックアップといたしました。この順番に聴いていただけると「他の噺も聴きたい」となり結局全部順番で聴いてしまうこと請け合いでございます、それではゴー


【講談】神田伯山「東玉と伯圓」in新宿末廣亭(2020年12月15日口演)

神田伯山先生は六代目でございますがこれは初代・神田伯山の物語。
「端物」として抜群に面白くサゲ(オチですね)の部分で「なるほどそうくるか笑笑」となります。これを聴いたが最後神田伯山を追いかけないとなと思ってしまう構成は本当に見事。


【講談】神田伯山「寛永宮本武蔵伝より吉岡又三郎(第十一話)」in 福岡市科学館

「左剣を前 右剣を大上段に振りかぶる天地陰陽活殺の構えッ」のところで「キターーーーー!!!」と言ってしまいます。
決闘の場面での緊迫感がものすごくじっ、じりッと両目を開いて聴き込んでしまいます。

【講談】神田伯山「寛永宮本武蔵伝より山田真龍軒(第十五話)」in 福岡市科学館

「左剣を前 右剣を大上段に振りかぶる天地陰陽活殺の構えだァッ」のところで「コレコレーーーーー!!!」と言ってしまいます、思わず天丼してしまいましたが講談の中でも「おなじみの口上」というものがあり、私の「おなじみの口上」は「天地陰陽活殺の構えだァッ」になってしまっています。
寛永宮本武蔵伝からこの2話をピックアップしたわけですが吉岡又三郎の噺で出てきた技が山田真龍軒の噺でも出てくるわけですね、山田真龍軒の噺で「ああッそういうのあったなーー!」と伏線(?)が回収される様が本当に気持ち良い。


【講談】神田伯山「天明白浪伝より 首無し事件」

講談でもミステリー??まあミステリーを多少嗜んでいるならばトリックは想像できそうなものですが本当に話の構成が上手で「で、どうなるどうなる?」とトリックそっちのけで物語に引き込まれてしまいます。

【講談】神田伯山「天明白浪伝より徳次郎の生い立ち」

天明白浪伝でいうと「徳次郎の生い立ち」は第一話、「首無し事件」は第七話に相当するそうなのですがもしアニメなら第七話→第一話の順番で構成しそうだなとも思いましたのでこの順番で紹介しました。
「首無し事件」は単発で聴ける噺でもあるのですが、ここで出てくる徳次郎の物語が「徳次郎の生い立ち」で始まるわけですね。
徳次郎はどういう人物なのか、天明白浪伝とはどういう物語なのかというところはこのお話を聴いていただければわかります(ネタバレになりかねないので言わないだけです)。
天明白浪伝はすべてアップされているわけではなく(現在進行系でアップ中かもしれません)、早く、早く続きが聴きたいとなっています。早く続きをアップしてくれ~~


【#02】畔倉重四郎「穀屋平兵衛殺害の事」(2席目)【全19席】

第二話はおなみという女性に惚れ込んだ畔倉重四郎が「付け文」、いわゆるラブレターを出すところから物語が始まります。
この畔倉重四郎という物語は全部で19話あるのですが、その導入として本当によくできている。いわゆる事件が起きるところ、タイトル通りでございます。
後の話でも出てきますが事件に巻き込まれる杉戸屋富右衛門、盲人城富、数々繰り広げられる事件、そしておなじみ大岡越前。
畔倉重四郎はすべて見てくださいと言いたくなるのですがまずは二話目、これを見て一話目から再度ご覧いただければと思います。


【講談】「グレーゾーン」in 新宿末廣亭(2020年2月17日口演)【真打披露目ver.】

いわゆる「新作」「創作」に相当する「グレーゾーン」。「端物」です。「プロレス」「相撲」「笑点」の話題を織り交ぜて「グレーゾーン」ですからまあどういう話かは想像できます
しかしながら本当に物語の構成が上手で最後はニッと笑いながらホロリとしてしまいます。

神田伯山ティービィーにはこの「グレーゾーン」は3バージョン[前座初演ver.][二ツ目封印ver.][真打披露目ver.]が連続でアップされていて紹介したのは[真打披露目ver.]なのですが、
のこりの2つも続けて見ると神田伯山先生の成長ぶりが本当によく分かって面白いです。


最後に、実際に講談に行かれた方のnoteを紹介しておきます。
これを読んで一生の内一度、リアルで講談を聴いてみたいものだと思いました。必読です。


さて新しい趣味、推し事を得ますとこのようにまだまだ何もわかっていない小童状態であるにも関わらず調子に乗っていろいろと知ったかぶりをして紹介(布教)してしまいがちでございます。
「こいつ本当に何もわかってないな」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、ここはひとつ沼に入り込んだ一人の男を生暖かく見守っていただくということでご容赦頂ければ。

他の講談師の皆様の噺を聴いたりリアルで講談を聞きに行く体験をしたりというのはまた別のお噺、この続きはまた後席にて「申し上げるとか申し上げないとか」。
「~とか、~でないとか」というと大抵「~でない」方でございますが、こちらも私の好きな「おなじみの口上」でございまして、これを最後に紹介したところでお仲入りとさせて頂きます。


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