プラスティックハンター2「プラ新規製造禁止法」

※これはフィクションです。

2、プラ新規製造禁止法

2016年の6月、風俗法が改正された。
ストリートダンスシーンは震撼した。
「客にダンスをさせる」という行為を含む、
多くのクラブが、生き残ったり、摘発されたり、多くのダンサーやDJの活動の場が揺れた。 

今までの常識が変わり、
喜ぶ人もいれば泣く人もいた。

法律が変わるとは、そういう事なのだ。

今回、2033年の夏に
大きな雷とともに日本に打たれた新しい法律、
「プラスティック新規製造禁止法」は、
言わば、あらゆる業種にも関わってくる、
すさまじくパワフルで
クジラのような存在だった。


「簡単に説明すると、
今にあるプラスティックを利用し続けたり、再利用するのはOKだけど、
新しくプラスティックを製造したらダメ、て事なんだって!」
と、得意そうに話すミホ。

「へーーー、それはすごいね。」
腰の骨折のせいでベッド生活が長く、久々に外出できるようになった私は
外出の新鮮さを噛み締めながら、
浦島太郎のようなテンションだ。



その日から、
プラスティックを製造していた会社は、
プラスティックを再利用する会社へと姿を変え、
国からの援助をもらいながら、経営を一新した。

いつも手に取っていた新品のプラスティックの匂いを放つ工場は、
嫁に出した娘を、もう一度嫁に出すように
丁寧に再利用の工程へと、
工場の仕組みをリニューアルしていった。


ただ、
この雷の到来に、
スマホに穴が開くほど睨みをかけた男がいた。

戦後まもなく必死の思いでプラスティック製造に人生をかけてきた1代目の父親から会社を受け継ぎ、
2代目社長として何百人もの社員を抱えている
「ベークライトジャパン株式会社」の社長、
加藤重信(かとうしげのぶ)だ。


「なにがエコやて、ふざけとる」



つづく

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