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美容師が育つ事について

大声上げたり、威圧したり
今まで色んなやり方で色んな人を傷つけながら美容師としての教育をしてきました
もう、難しいかもしれませんがそんな僕に関わってくれたスタッフ
そしてこれから新人さんを育てていく美容室オーナー
美容師がきついと思っている若い方

に読んで頂けると幸いです


会社設立までの心境変化

以前オーナーである僕自身が周りのことを凄く考えていると思っていて
「スタッフも長く続いて頑張ってくれてるし、毎日お客様と楽しくやってるし別にこのまま皆で年を取っていっても悪くないかなぁ」って
幸せはこのまま変化もせずに続くのだろうと勝手に思っていましたが
2~3年前に立て続けに今後を考えさせられる出来事に出逢いました

僕の父は熊本市内に何店舗も美容室を経営をしていたオーナーで周りから見ると順風満帆。
何十人ものスタッフを抱えヘアーショーやコンテストなどもやり
いつも「先生、先生」と言われる美容師さんでしたが
その裏では、いつも売上とスタッフの事で頭を抱え悩み借金をし
いつ見ても家で見る父は疲れていましたが
徐々にお店を縮小し、最終的には一人でお客様をやるようになると

「一人が楽でよかぞ」(一人で美容師やっていた方が楽だよ)

と言って今までより明らかに楽しそうにお仕事をする様になりました
恐らく僕もずっと父を見ていたのでその方が良いだろうと感じていました

そして、62歳の時に癌が見つかり抗癌剤を投与しながらお仕事をしていたのですが69歳で帰らぬ人となってしまいました
最後の最後まで良く働く素晴らしい父でした

その翌年に知り合いの先輩美容師が突然、脳内出血で亡くなりました
また、別の場所で美容室をやっていた僕の叔父が脳梗塞になり麻痺が出た為美容室を継続する事が出来なくなりました
まさしく二人とも一人で美容室経営をしている優秀な美容師でした

父や叔父とは身内だし、先輩美容師さんは同じ商材を扱う勉強会でしょっちゅう一緒にいたので彼等の顧客様から連絡が頻繁にあります

「私はこれから誰にカットしてもらえばいいの?」
「何十年も通っていたから寂しくて仕方ない」と

それはそうでしょう
何十年もカットしてもらっていたら今更どうしていいのか分かりません
お互いの人生を共有しあってこれまで生きてこられたのですから
僕には計り知れない思いもあります

そして思いました
「今、自分を信用してくれているお客様に同じ思いをして欲しくないな」
「せめてお客様と一緒に過ごした空間と雰囲気だけでも残したいな」って

それで現状維持から考え方を方向転換します
「皆が共有していたこの空間」を残すために僕は
「会社」を作り魂を吹き込むことを決心しました
大袈裟だと笑われるかもしれませんが
「会社と言う生き物」に自分が今まで大事にしていたこと、重要だと思う考え方、やり方、方法まで皆と話合いながら生み出した会社
「株式会社アソビヘアー」はこんな場所なんだって皆に知ってもらう為に

そしたらお客様が安心して通い続ける事が出来るでしょ
ディズーニーランドにミッキーがいつも居て、笑いかけてくれるのと同じ事なんです

「なかま」を増やす

とはいえ、まずは共感してくれる「なかま」が居ないと何も始まりません
そしてその前に僕達アソビヘアーが進むべき道を決定しなければいけない
ディズニーランドに行ったのにハリーポッターが居たら興ざめですから
僕達が欲しい人材はドナルドですから

コンサルをしてくれた先生と幾度となくミーティングを繰り返し
age美容室とはこうだよね!僕達がお客様に提供したいサービスってこうだよね!!
などなど、ひとつひとつ色んな角度から話し合い
なかなか思い通りに世界観が出来てきました

さあ、求人しよう!
ドナルドを捕まえに行こう!!

ガーガーガーガー言ってウルサイんだけど憎めない可愛いやつ
お客様の為だったら努力を怠らない美容が大好きなやつ
一緒にage美容室で働きましょ
一緒にお客様の日常に寄り添って彩りを提供しましょ
ずっと先の未来を笑いながら話しましょ

なんてね

そして10数年ぶりに「新人さん」が入ります
努力を努力とも思わない美容が大好きな女の子でした
新しい「なかま」が増えてワクワクしてる

さあ、ドナルド
僕達と一緒に新しいage美容室を作っていきましょう
次はグーフィーだ!ダンボだ!ティンカーベルだ!
マリオは…
大好きだけどちょっとごめんなさい
世界観が合わないので

自分で考える人になるために

まず、新しいなかまには基本的な考え方から伝えます

「学校」と「会社」は全く別の生き物だという事

産まれてきて学生を卒業するまでに色んなことを学びます
食べる事、歩くこと、話す事、生活の基本的な事
少し余談になりますがこれって教わらずに本能でやってるんです
このまま社会人になったらなんだって出来るんだろうなと感心します

そして学校に行き、世界が広がります
親や周りの人間以外からの情報を「学校」と言う場で「お金」を使って学びます
義務教育って15歳までやりますが、これって国が大部分負担をしていて
そのお金は皆が払っている税金で賄われているので費用は掛かっているのですが僕はその「教育」って凄いなと思ってて

①皆で情報の共有が出来る
②先人が何年も何十年もかけて生み出したものを瞬間で学べる
③教育者によって学べるレベルとスピードが変わる

と、いう事です
なんだか一つ一つ説明しだすと文章も長くなるので割愛しますが
この期間もそれなりに重要な事なんです

「学校」の「教育」はお金を払って自分を成長させるために受けますが、そこに自己責任はありません
だってずっとシャワーを浴びるように勉強できますから
「教わる事」がスタンダードであって
「自ら学び評価を得る事」があったとしても
「自ら学び成果を取る事」とは違います

「会社」は、お金を貰いながら「自ら学び成果を取る人になる事」が重要です
それが出来なければ会社はお給料だけ払う事になるので損失になり
いつかその会社は弱体化してしまいます

だって、お金が無いと会社は成り立ちませんから
学校だと思って就職して、「この会社は自分の為に何もしてくれない」
と、不満に思っている方は早く本当に自分がやりたいことを仕事にすることをお勧めします

会社は寄り添いません
貴方が寄り添うんです

少し話を戻しますが生まれて間もなく食べる事や歩くことを誰から学んだのでしょうか?

「歩きたい」「食べたい」と思う自らの本能から学んだんだと思います
親や周りの人達からだけじゃない「自分自身の欲求」
この欲求を「この人を綺麗にしたい」「いい感じでパーマをかけたい」と同じぐらいのテンションで取り組める人が恐らくいい美容師になれるし
社会の仕組みをそこに取り組めれれば自分にとっても会社にとっても
いい関係はきっと作れるはずです

未来を自分で描けるように大人がやるべきこと

「今の若い子は」ってワードは何時、誰が言い出したんでしょうね?
30年前僕もたしか言われていました「今の若い子は」って

昔の話をすると「お前、美容師向いてないよ」って言われたこと何度もあります。
今も美容師やってるけどね

さて、新しく入ったドナルドちゃんにはいきなり考えてもらいます
「未来の自分はどうなっているのか?」
悩みながらも楽しそうに自分の未来像を描いていました
さっすがミッキーファミリー

それから3か月が経ち近頃伝えている事は
「今のままの自分は自分が理想とする自分なのか?」
と、いう事です

僕は思った事は出来るだけ伝えます
「歩き方が格好悪い」
「返事の仕方にやる気を感じない」
「その歩き方で周りからどんな印象を受けるのか考えて欲しい」

思っている事を伝えないのは僕にとって「無視」と同じで
別に相手を悪く言っている訳では無い
むしろ「お客様や周りの人達にドナルドをより良く周りに見て欲しい」と思っているから伝え、必ず考えてもらいます

「どうしたら良いですか?」って質問が来たら
「どうしたら良いと思う?」って愛情をもって必ず答える
「こうしようと思います」って言われたら
「大丈夫、やってみよう」と言います

なんだか若い頃に聴いていて「何言ってんだろ?このおっさんたち」って思ってたんだけど
「若いって良いねー」って言葉
あれって本当に羨ましがってたんだなって近頃気が付きました
妬む訳でもなく嬉しそうに言ってた大人のあの言葉は
「大丈夫大丈夫、好き勝手にやってみなよ、きっと上手くいく」
に聞こえます

僕達ベテランが新しいナカマに出来る事は
①皆で情報の共有が出来るシステムを作る
②何年も何十年もかけて生み出したものを惜しみなく瞬間で伝える
③関わる人によって成長するレベルとスピードが変わる事を意識する

と、いうこと

父や叔父や先輩からもらった良い言葉を引き継ぎ
顧客の心理安全を守り
これからの美容師さんに少しでも繋ぐ言葉になれれば幸いです
今回も最後まで長文をありがとうございました

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