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【絵本レビュー】 『うろおぼえ一家のおかいもの』

作者/絵:出口かずみ
出版社:理論社
発行日:2021年2月

『うろおぼえ一家のおかいもの』のあらすじ:

お父さんにお母さん、お兄さんに弟、妹。揃いも揃って<うろおぼえ>が多いあひるの一家は、ある日、お母さんから買い物を頼まれて出かけたけれど、何から何までうろおぼえ。道中ヒントをもらいながら、はてさてどんな結末に?


『うろおぼえ一家のおかいもの』を読んだ感想:

うろおぼえ、あるあるです。

ドイツ語の単語は日本語とちょっと似ていて、いくつかの言葉をくっつけて一つの単語になっているので、長いものが多いんです。例えば、
Bankverbindung(バンクバービンデュング)
銀行詳細という意味なのですが、Bank/ver/bindungという三つの言葉が繋がってできています。私のドイツ語はへなちょこなので細かい文法の話は避けますが、私は長い単語になると真ん中がうろおぼえです。最初と最後は覚えているのに、真ん中がすっかり抜けてしまうのです。そんなこともあって、ドイツ語があまり上達しません。

というのがいいわけであるのはわかりきっています。なにせスペイン語も単語はなんとなくのうろおぼえだからです。こんな感じの音だったよねと適当に言って首を傾げられることもしばしばあります。ViajeとViejoがどうも同じに聞こえてよく言い間違えます。意味が全く違うのでいつも大爆笑されますけど。Viajeは旅で、Viejoは男性の老人のことです。「間違えようがないじゃない」と笑われるのですが、私はこの単語はこんな感じの音だったという話し方をするので意味は二の次なのです。日本語を習っている外国人の生徒さんが「びょういん」と「びよういん」を言い間違える、それと似ていますよね。意味が理解できている私たちにとっては、なんとも面白い間違いです。

ただちょっとイラつくうろおぼえもありますね。特にお使いを頼んだ時に、頼んだものがない時。旦那に頼むとよくあります。

「スーパー行くけど、何か必要?」
「あ〜助かる。じゃあ卵と息子くんのシャンプー買ってきて。」
「オッケー。」

よかったよかった、と安心して料理していた私は甘かったのです。準備は整い最後に卵をのせるだけというところで待っていた私の前で、おつかいから帰ってきた旦那はせっせと買ってきたものを出しています。自分用のシャンプー、息子のシャンプー(よしよし)、キッチンペーパー、ナッツ(?)、砂糖(?)、いちご(?)。それだけ出すと旦那はくしゃっと買い物バッグを丸めました。

「卵は?」
「はあああ!」

アヒルのお母さんは三まで数えられるそうで、三羽確認したらスタスタ行ってしまうと聞いたことがありますが、うちの旦那には二までも難しいようです。結局私たちは卵なしのビビンバを食べました。

今回はそれほど影響はなかったのですが、やはりうろおぼえのお使いはかなりイライラ度が高まります。うろおぼえ一家のお母さんのようになるまでには、まだまだ修行が必要ですね。時には頼んだものすら忘れてしまえるほどリラックスして日々を過ごしたいものです。


『うろおぼえ一家のおかいもの』の作者紹介:

出口かずみ
1980年佐賀県生まれ。画家、イラストレーター。小人の豆本を作ったり猫のイラストを描いたりしながら、幼稚園の絵画教室の講師をしている。主な作品に、『おべんとういっしゅうかん』(学研)、『ポテトむらのコロッケまつり』(文/竹下 文子・教育画劇)、『たくはいびーん』(作/林 木林・小峰書店)などがある。


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