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一人親方に聞く、林業の現在(いま)と今後

|小国町には、小国林業一人親方組合という組織があります。いったい、一人親方はどんな働き方をされているのでしょうか。組合長の松野さんにお話を伺いました。


人物紹介

<話を聞いた方>

松野 公博(まつの きみひろ)さん
熊本県阿蘇郡小国町出身。林業と農業の兼業で、林業には18年間従事。小国林業一人親方組合の組合長。

<インタビュアー>

星 華音(ほし かのん)
鹿児島県出身。熊本大学文学部3年。文章の読み書きをこよなく愛す。
最近は焼きプリンの食べ比べにはまっている。


小国林業一人親方組合とは

松野さんが林業を始めたきっかけを教えてください。

松野さん:親が林業と農業をしており、その両方を継いだのがきっかけです。最初は別の会社で働いていましたが、35歳のときに小国町に帰ってきて、そこから18年間林業に従事しています。林業がメインですが、朝は田んぼに行き、日中は林業をやって、また夕方は田んぼに戻って管理をしています。小国は静かですし、水や食べ物もおいしい。マイペースに仕事ができるので良いですね。

松野さんは森林組合には属さず、一人親方組合に属し、お一人でやられているとお聞きしました。一人親方組合について、また森林組合との関係性について教えてください。

松野さん:一人親方組合というのは、いわゆる労災組合です。安全講習会等を行っています。森林組合からは独立した組織なので、機械などは実費で購入します。

森林組合との兼ね合いは、個人だと、保険事務関係が大変なときもあるのですが、そういった時に森林組合が協力してくれています。また、山主さんから仕事のご依頼をいただく際に、まずは森林組合に届くので、その後、それぞれの作業者に仕事が委託されるといった感じです。「間伐でこの木を切ろう」といった判断は個人で行っています。

ご自身の感覚なんですね。木を切るときに気をつけていることはありますか?

松野さん:間伐の際は、大きい木を残したいので、基本は細い木から中くらいの大きさの木を切っています。本当は大きい木を切った方がお金にはなりますが、そうすると山主さんとの信頼関係が崩れて仕事が無くなってしまうので(笑)あとは山の見た目や、木同士の間隔を気にします。悩んで仕事が捗らない時もありますね。

木々の間隔を観察する松野さん

林業のやりがいについて

林業に従事する中で、どのようなやりがいがありますか。

松野さん:機械があるとはいっても、どうしても体力勝負なので、一人で作業するときは結構厳しい時があります。でも、やりがいはありますね。やっぱり、大きい木を切ったときの達成感や、それが売りに出て高い金額で売れた話を聞いた時にはやりがいを感じます。

林業を行うための道具や機械等には、どのくらいの費用がかかりますか。

松野さん:木材を運ぶための機械は今では300万円ほど、チェーンソーも14万か15万円ほどですね。それに木材を運搬するためのトラックが必要なので個人で揃えるにはなかなか難しいところではありますね。

ただ、今は森林組合から小国町に助成金を申請できるような事業を行政と組合とで関係を作っていってはいます。年々良くなっていっていると思いますよ。

また、1人だと道具をフルに使いきれないので、購入ではなく、リースという形で使用し、場所によって使い分けています。

徐々に改善されている仕事環境

長く一人親方として林業に従事される中で、仕事環境が改善したと感じる点はありますか。

松野さん:先ほど話に出た木材を運ぶ機械にリモコンが付いたことですかね。1人だと木材に紐を括り付けて、また機械の方に戻ってきてを繰り返さないといけませんが、リモコンができてからは、紐を括り付けてその場で機械を操作できるので効率が上がったと思います。

また、装備等も改善されていると思います。例えば、今履いている作業着は、もしチェーンソーが作業着を切ってしまっても、繊維が刃に絡んで刃が止まるような仕組みになっています。その代わり重くて暑いです(笑)。ただ、暑さの面では、作業着にジッパーがついていて風を中に通せる仕組みになっているので調節できます。危ないのは腰から下なので、上の服は自由です。一度作業服を切ってしまうとその服はもう使えなくなってしまいます。ズボンは3万円ほどしますが、町から3割補助が出るので、その点でも前よりは良くなってきていると感じますね。

木材を運ぶ機械に木を積載している様子

今後の目標について

林業従事者として、今後の目標を教えてください。

松野さん:自分も今53歳になるので、後継者づくりが頭にありますね。若い人を育てたいという思いがあります。

後継者の育成はご自身で行われるのですか?

松野さん:森林組合で育成していただいて、独立できるような仕組みがあると一人親方組合としては安心できますね。やはり、1人だと誰かを呼んで、教えながら仕事をするというのはなかなか難しいですからね。

この記事を読んだ方に伝えたいことはありますか。

松野さん:山に関心を持っていただきたいですね。大型の機械を使っている他県では、どんどん若い方が入ってきていると聞いています。しかし、小国町は、小さい山、個人の山が多いので1人、2人でやっている現場が多いんです。小国の山の魅力は、杉の木が多く、他の地域と比べて古木も多く、大きな木があるところです。他の県と小国町ではまた違うので、小国の山について知って、来ていただきたいです。若い方には、実際に小国に来て住んでいただいて、農業や林業などを体験しながら、小国の山の魅力を感じてもらえればと思います。


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 文:星 華音
編集:溝尻 亜由美
写真:田中 大也

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