見出し画像

手と手


乗り換えの駅で混雑するなか、前を歩いていた男女ふたりが別れ際に片手でハイタッチした。
恋人か、夫婦か、わからないけれども、互いに励ます感じがあって、なんだか清々しい。

泣きべそちゃんに、明日行こうね泣くのはやめて元気出して。としゃがんで両手を上げてハイタッチ待ちのおかあさん。まだ涙目だけど、うなづいて小さく合わせた手と手。よくできました。

自分も誰かとやりたくなって、意味もなく、オフィスでおはよういえーいと半ば強要のハイタッチ。
なんで?と笑いながら手を合わせてくれる人たち。チーム感が増すのはスポーツと同じ。今日もばっちこーいと気分を盛り上げる。なんだかこれでタイプする速さも増す気がする単純さ。

帰り道のエスカレーターでは歩いて降りようとするおばあさんに、そんなに急がなくて大丈夫だからと左側に誘導して、並んで前に立つおとうさん。それでも気にして、横向きで手をつないで。

途中で降りる同僚を、気をつけてと電車から見送った。発車したあと、流れていくホームの中に、乗り換え待ちの彼女がこちらを向いて手を振っているのを見つける。あわてて、また明日ね、おつかれさま、ありがとうと振り返す。

帰宅後に寝転んでうーんと伸びをして、いぬを腕まくらにしながら、しばし目を閉じる。
ああ落ちてしまいそうと思っていたら、やさしく頬を撫でる手。おかえり。ねえねえごはん早く食べようよの催促のいぬの手。はいはいわかったよお留守番ありがとうと撫でる手。



今日いちにちの手と手のはなし。



遊びに来てくださってありがとうございます。 サポートしてくださるなんて、そんな、そんな、そんな!めっちゃ嬉しいです!!!