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傘ひとつ


バスに乗ってから、しとしと降り出した雨ですこし蒸し暑さがひいてきている。
いつものところで降りて、準備していた傘を開いた。
バス停からすこし離れたところに佇む人影。
あとから降りた女の子がわたしの横をすり抜け、走って行って、その傘に入った。



ただいま。
おかえり。
うん、おなかすいた!



女の子は4年生くらいだろうか。
その名前のイニシャルが印象的な塾の指定リュックを背負っている。
21時くらいだったから、そりゃおなかも空くだろう。

傘持ってきたんだから、挿せばいいのに。
めんどくさいからいいの〜!

とくっついて、相合い傘で歩いて行った。





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