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臨床心理士&公認心理師として

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精神疾患やパーソナリティー障害を専門にする臨床心理士/公認心理師です。60回以上の講師経験があります。
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無題

4年後になるか9年後になるのかはわからないが、臨床心理士資格を更新しないことになりそうだ。

「決めた」というより、自分がそのような考えに至り行動するだろうと「気づいた」。

思えば自分の場合、重要な決定はいつもこのプロセスだった。悩み抜いて決断できたことなどあまり記憶にない。

今回の資格については、更新しない自分に気づいた時、いくらかの喪失感が生じたことに救われた。

「精神的健康」とは

「精神的健康」とは

お久しぶりです。荒井です。

メンタルヘルスの目指すべきところについて何年もずっと考えてきたのですが、これもやはり「これだ!」と思った瞬間に違うものになる質のもので、なかなか掴みきれません。

それでも、大切なヒントは周囲の人からもらっていて、今回はあえてそれをまとめず箇条書きで書き出してみます。

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今年もありがとうございました。

今年もありがとうございました。

臨床心理士の荒井です。いつもご購読をありがとうございます。

格闘技観戦のため、さいたまスーパーアリーナに向かっています。29日は同じ場所に知人と行ったのですが、その時は知人がずいぶん電車の乗り換えを工夫してくれていたのだなぁ、と気づきました。埼玉が遠いのです。

さて、今回は今年を振り返りつつ、来年の展望も書いてみたいと思います。

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「最後に決めるのはあなたです」と言えるようになった。優しくなった。

「最後に決めるのはあなたです」と言えるようになった。優しくなった。

臨床心理士の荒井です。いつもご購読をありがとうございます。

このツイートでも言っていますが、「最後に決めるのはあなたです」と伝えられるようになりました。

冷たい印象を受ける方も多いと思われるこの言葉、実際、以前の私からは最も遠い言葉だったでしょう。

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「心理カウンセラーお断り」から8年。対処はなされたのだろうか。

「心理カウンセラーお断り」から8年。対処はなされたのだろうか。

いつもご購読をありがとうございます。臨床心理士の荒井です。

突然ですが、2011年の東日本大震災後、避難所に「心理カウンセラーお断り」の貼り紙がされたことをご存知でしょうか。

被災者支援に向かったはずのカウンセラーに対し、なぜこのような貼り紙がされたのでしょうか。今回はこのことを考えたいと思います。

この「心理カウンセラーお断り」の貼り紙について、私は自身が臨床心理士でありながら「そうだろう

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自分にOKを出すために

自分にOKを出すために

臨床心理士の荒井です。いつもご購読をありがとうございます。

昨日お会いした社会福祉士の実習生が、二人とも臨床心理士も公認心理師も知らなかったことから、「やってやる」感が高まっています。

さて、今日は本当に久しぶりに新幹線に乗っています。ここまでの道のりで考えたことを。

何度も読んでいただいている方はご存知と思いますが、私は自己肯定感低めの心理士です。

今回の出張は泊まりなので、これまた数年

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精神疾患の回復を話しに行って、精神疾患の回復に驚いた話

精神疾患の回復を話しに行って、精神疾患の回復に驚いた話

11月19日、佐賀県精神保健福祉大会にお招きいただき、講演をしてきました。

この仕事で飛行機に乗ること、この仕事でTVに出ること、そして何より他県の方に「あすぴれんと」の活動を知ってもらうこと。これらは全部、7年前からの私の大志でした。

その全てが達成できました。目指していたし、実現できると思っていたのに、実際にやってみると今でも現実感がありません。

そしてそんな「現実感がない」ほどの喜びよ

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”自分語り”の本質

”自分語り”の本質

臨床心理士の荒井です。いつもご購読をありがとうございます。

さて、「私は○○だから」「この間もこんなことがあって…」というコミュニケーションの多い方がいます。ちょっと失礼なのですが、そんな時に私は、話の内容よりも<なぜ、この人は今私にこの話がしたいのだろう>ということに関心が向きます。一般的に、これらのような”自分語り”は、上手いコミュニケーションとは言われませんよね。おそらく相手の方も知識とし

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心理カウンセリングを活かすために

心理カウンセリングを活かすために

こんにちは。臨床心理士の荒井です。いつもご購読をありがとうございます。

今回は「心理カウンセリングを活かすために」というテーマでお話しさせていただきます。私は現在、臨床心理士として心理カウンセリングの業務を行っておりますが、その経験の中でクライエントさん(心理カウンセリングを受ける方)側にもできるだけ持っておいてほしい「姿勢」があることに気づきました。「持っておいてほしい」とは、その方がより良い

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なぜ、あすぴれんとを設立したのか

なぜ、あすぴれんとを設立したのか

(2013年に書いたものです。)

僕は障がい者福祉に8年間携わっています。

知的障がいを持つ方の支援員(グループホーム)に始まり、知的・身体の方のヘルパー(居宅介助)、精神の方を対象とした支援員(地域活動支援センター)、そして現在のあすぴれんとです。

僕は福祉に違和感を持ち、一番長く勤めた江戸川区のヘルパー派遣会社を28歳で退職、大学院に入りました。

福祉の「何か」に怒っていました。

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もう、「誰にも言えないこと」に苦しまなくていい

もう、「誰にも言えないこと」に苦しまなくていい

こんにちは。臨床心理士の荒井です。いつもご購読をありがとうございます。

今回は「誰にも言えないこと」がテーマです。多くの方がこのテーマに苦しんでいるようです。でも、周囲の人たちを思い浮かべても、そのような苦しみを持った人は見当たりませんね。それもそのはず、誰にも言えないことなので、みんな隠しているのです。

みんなが隠しているから、みんなが「自分だけ」だと思い、苦しんでいます。

「歳を重ねれば

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自分を知る―3タイプの欲求を指針に―

自分を知る―3タイプの欲求を指針に―

こんにちは。臨床心理士の荒井です。いつも応援をありがとうございます。

今回は「自分を知る」ことの大切さについてお話させていただきます。途中で”パーソナリティ”という言葉が出てきますが、パーソナリティとは「人格≒性格」を意味する英語です。

私たち対人援助を専門とする職業に就く人、特に臨床心理士のトレーニングの大部分は、自らと向き合うことに置かれます。

「対人援助なのだから、自分ではなく他者を考

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"運命の人"の脆弱性

"運命の人"の脆弱性

"運命の人"というタイトルから、「なんだ今回は恋愛の話か」と思われるかもしれません。もちろん恋愛についても言えることですが、今回はもっと広く"運命の人"を定義させてください。ここで扱う"運命の人"とは、特別な存在、生まれて初めて出会った存在、奇跡的なものを多く感じる存在です。恋人や親友、親、兄弟、子どももその対象になります。

私自身も、これまでそのような人と何度か出会いました。その人の行動の全て

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対人不信との闘い①

対人不信との闘い①

他人不信。

私が1年前(2018年2月)から現在まで、いや、おそらく一生をかけて自身に問いかけていくであろうテーマです。

最初に定義すると、「対人」の指すものは「自分と他者」です。
つまり、私がこれから使う対人不信という言葉には、自己不信と他者不信が含まれます。

「私は自分のことは信じていないけれど、人のことは信じているな。だから半分当てはまるな。」と思われた方もいるでしょう。

しかし実は

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