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税務職員がよく見るちょっと残念な確定申告5選(住宅ローン控除編)

皆様、こんにちは!
ここでは、日頃、税務を仕事として扱っている中での、ふとした疑問や私見を徒然なるままに書き綴っています。
 
さて、今回は「税務職員がよく見るちょっと残念な確定申告5選」の前回の続きです。
前回は「ふるさと納税ワンストップ特例申請後の確定申告」についてお話ししました。

今回は2点目の「住宅ローンの源泉徴収票記入漏れ」についてお話しします。

「あー、なんでこんな確定申告をしちゃってるんだろう」と特に残念に思うもので、住宅ローンを組まれた本人へのダメージも相当あると思われるものです。

まず、そもそもの住宅ローンの減税制度について、簡単に見ておきたいと思います。

住宅ローンの減税制度については、住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度です。

国税である所得税と、地方税である住民税が対象です。

住宅ローン減税制度のポイントは次の4点
・毎年の住宅ローン残高の1%を10年間、所得税から控除
 (令和4年度の税制改正にて1%が0.7%に変更される予定)
・所得税で控除しきれない分は住民税からも一部控除
・住宅ローンの借り入れを行う個人単位で申請
・令和元年10月の消費税率引き上げにあわせて控除期間を13年に拡充

なお、住宅ローン減税については、かねてから住宅ローン貸付利率との逆ざやが指摘されており、令和4年度税制改正にて一部内容が変更される予定です。
詳細については、ここでは別サイトにお譲りします。

住宅ローン控除の適用を受ける場合、初回は、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を添付し、確定申告を行う必要があります。
  
お勤め先で源泉徴収されている会社員であっても、住宅ローンを利用して住宅を購入した翌年は確定申告が必要です。
  
万が一、忙しくて確定申告を忘れてしまったという人も、大丈夫!
5年間さかのぼって申告ができます。
(以前はさかのぼりが出来なかった時もありました。)

住宅ローン控除は、税額控除なので、例えば住宅ローン控除額が10万円であれば、所得税が20万円源泉されていた人なら、10万円の還付があるという恩恵を感じやすいものです。

会社員であれば、1年目に確定申告をすれば、2年目以降は職場で年末調整をしてもらえるので、確定申告をする必要はありません。

会社員で、確定申告をした年の10月頃に税務署から複数年分まとめて送られてくる「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」をお勤め先の年末調整の際に提出する必要があります。

「職場で源泉徴収をしてもらえるから2年目以降は安心」と思われている方も、油断は禁物です。

税の申告を受ける側からの視点で見ると、どういうわけか、前年は住宅ローンの控除の申告があったのに、今年は住宅ローン控除の申告がないという方が散見されます。

何らかの事情で家を手放したとか、ローンの返済の必要がなくなった方ならまだいいのですが、そもそも職場で手続きを忘れていただとか、忙しくて手続きを先延ばししてそのまま忘れてしまった方だとかが一定数おられそうです。

また、社員が大勢おられる職場で、突然、全員分の住宅ローンの申告が全部なくなるような申告などは、明らかに不自然です。

職場の人事・経理担当の方の事務のミスなのかもしれません。

そうすると、
1年目:住宅ローン控除あり 
→ 2年目:住宅ローン控除なし
→ 3年目:住宅ローン控除あり
→・・・

というようなことが起こります。

職場で源泉徴収票を確認して、本人が気づくことが大切です。

所得税額よりも住宅ローン控除額のほうが大きく、所得税で引ききれなかった分を住民税額から引く方は、まだ本人で気づくチャンスがあります。

例え、本人や職場のミスで住宅ローン控除の申告を忘れていたとしても、6月頃に各自治体から職場を通じて通知される納税通知書で確認できるはずなのです。

しかし、納税通知書には、住宅ローンの専用の記載欄があるわけでもなく、その他の連絡事項を掲載する「摘要欄」に記載されるので、住宅ローン控除の印字がない場合に、そのこと自体に気づきにくくなっています。

住宅ローンを利用して手に入れた夢のマイホーム。

せっかく利用できる住宅ローン控除。

日々の忙しさや、申告手続きを誰かにお任せしていることのリスクを考え、税の申告内容を前年と比較するなど、申告内容と実際の納税通知額を確認することが大切です。

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