見出し画像

大人のローマ速報『ペトラーキ・ワークス』

昨年の夏、デ・ロッシが出ていくと、仲の良かったコラロフ、マノラス、ジェコにも連日移籍の噂が絶えない状況になり、契約更改は確実と思われていたエルシャーラウィまでも中国に放出してしまったローマ。サッリ、ガスペリーニ、アントニオ・コンテと、様々な監督候補が上がったが、そのどれも決まらなかった理由のひとつは、選手にとって父のような存在であり、監督にとって一蓮托生の存在であるスポーツディレクターが不在だったからだ。

そして、到着した新しいスポーツディレクターは、トリノをセリエAに定着させたジャンルカ・ペトラーキ。どんな選手を連れてくるのか、どのようなチームを作るのか、懐疑的な意見は多かったが、見事に彼のフィロソフィはローマというビッグクラブに適合した。

さて、今回の大人のローマ速報は、ジャッロロッシの未来を担うスポーツディレクターの就任時の記者会見と、半年経った現在の最新インタビューをお伝えしたい。半年前と現在で何が変わったのか、その比較をすることができるだろう。

特に激昂したコラロフを諭したエピソードは、ペトラーキの立ち位置や、チーム内の役割がよく分かり、とても感銘を受けた。まずは昨年6月の就任会見から読んで頂きたい。

ペトラーキ就任会見 2019.6

──トリゴリアに初訪問してどのような感想をお持ちになりましたか?

ペトラーキ「ここに来ることができて光栄だよ。個人的には、トリゴリアは以前から知っているんだ。ピサでスポーツディレクターの仕事を始めて、最初の仕事がトリゴリアでチェルチを連れてくる為の交渉だったからね。その後、ファルケ、リャイッチの交渉で数年前にも来たんだ。その頃に比べると建物が少し洗練されたようだ。ローマがどれほど大きなクラブかは、このトリゴリアが象徴しているね」

──ミステルフォンセカの成功にどのくらいの確信を持ちますか?

ペトラーキ「ずっと前からフォンセカ監督には感銘を受けていた。私が彼をチェックし始めたのは数年前からで、そもそもトリノに呼びたい選手がシャフタールにいたからなんだ。だから、彼のチームがどのようなプレーをするのかは理解していたよ。私はキャリアを通じて、何かを成し遂げてきた男ではないが、もしもフォンセカ監督がいたら、それも違っていたのかもしれないね。彼は戦術家でありながら、ひとつの手法に固執せずに、幾つものアプローチを持つ監督なんだ。私は彼が、チームアイデンティティをティフォージのみなさんに明確に提示できると確信している。確かに難しいシステムで、チームには時間が必要だろうけど、私は非常に楽観的でいる。私たちは常に話をしているよ。監督とスポーツディレクターが同じヴィジョンを持つのは基本的な事で、それがあらゆるものを可能性にして行くと思うね」

──ジェコやシックの去就は?

ペトラーキ「知らぬ間に出て行こうとする選手に対して、周囲は誰もローマを非難することは出来ない。選手が他のクラブと個人的に合意したならば、次はそのクラブがローマにプレッシャーを掛けてくるだろう。しかし、本当に移籍したいのだと、モチヴェーションがないのだとすれば、まずは正式な獲得希望が届かねばならない。私は出て行きたい選手を力で抑えつけはしないが、だからといって圧力にも屈しない。個人合意?実に結構だ。だが私は気にしないね。なぜならば、それが正しい手順でもなければ、ましてや彼らが私の上司ではないからだ。保有権はローマが有している。ローマは誰からも脅迫されない。例えば、マノラスの退団は、彼がそれを望んで行われたオペレーションだ。私はすぐに彼の代理人と話し合いをして、そこで契約解除金を払う事で移籍は可能だと伝えた。その金額を払えなければ、選手はローマに残るだろうが、ナポリは私たちに素晴らしいオファーをしてくれた。その取引を通じて、ディアワラという我々の探しているタイプの選手を獲得できた。ディアワラは私に電話を掛けてきてこう言ったよ。ヴァケーションを切り上げて、早くチームに合流したいとね。これこそが私がローマの選手に求めるものだ」

──イグアインは来るのでしょうか?

ペトラーキ「彼の能力に関する議論はどれも馬鹿げている。今は少し自尊心を失ってはいるが、ジェコが去れば彼は加入可能な選手となる。自分を取り戻す為に、イグアインにとってローマ以上の解決策はない。必要なのは彼のやる気だ。それが私の見たいものだよ。イグアインは間違いなくバティストゥータになれる。だが現在私たちにはジェコがいる。ジェコがローマを去りたいならば、インテルがその移籍金を支払わねばねらない。そもそも適切な交渉がなければ、私には何もできないからね」

──インテル移籍が濃厚なバレッラについて説明をお願いします。

ペトラーキ「ローマは私が就任する前からバレッラと接触をしていて、既にクラブ間で合意もあり、なによりも選手本人が移籍に乗り気だった。しかし、モンチが辞任して、メルカートのアクションが遅れた時にインテルはカリアリにオファーを出した。コンテ監督はバレッラをその気にさせたんだ。バレッラはチャンピオンズでのプレーを望んでいるんだよ。カリアリはローマに売りたいが、選手はインテルを選んだ。先程の話ではないが、モチヴェーションのない選手を無理にローマには呼べない。ローマを望まないならば、バレッラは行きたい場所でプレーした方が良いんだよ。だから現時点でこれは終わった話なんだ」

──悪名高いフランコ・バルディーニとの関係は?

ここから先は

8,245字

¥ 250

サポートして頂いたお金は全額ローマ速報の運営費として利用させて頂きます。