夜人生

 夜に生きる日々を愛しすぎたみたいだ。結局、何もかもが夜に有った。僕のすべてが、夜に還った。
 目新しさもない退屈な日々に飽き飽きしてきたあの頃から、僕はずっと夜に生きていた。誰かを愛することもなく、いやできず、ただ自分を愛せるようになろうと必死になっていて。そればかりは今も変わらないことだけれど、でも、僕は変わった。そもそも人は変わりたくなくったって変わってしまうって、懊悩の中で知らしめられたから。変化を厭い続けた僕だったのに、変化の中で息をしていると知ったから。だから、何もかもが違うんだろう、きっと。
 生きていくことに対して、僕はどうしても愚かだと思ってしまう。何かを食べる、ってのは何かを殺し奪うことだと、常々思い続けていて。肉を喰らうのも、葉物を貪るのだって、全部、奪っているから。だから、誰かの命を奪って生きている。それこそが生きていくことの根幹で、許せなければ生きられない。わかっているけど、許せない。
 人間、という不完全な存在を続けさせられることこそが人生なのかもしれない。「それでも」と思い続けられているのなら、きっとそれでいいんだろうけど。

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一片

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