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輪島キリモトさんの思い出①

輪島市で被災された輪島キリモトさんのオンラインショップが再開しています。kirimoto.theshop.jp

藪塚通信は、輪島キリモトさんの20年超えのヘビーユーザーでございます。

1.輪島塗との出会い

私は前橋市で江戸千家のお稽古に通っていたことがあります。 いとへん最高潮の頃、粋を極めた前橋市の茶人が目利きと財力で集めた素晴らしい茶道具を拝見しました。そこにあったんです・・・輪島塗が。惚れました。

2.お誂えの細道へ

使いやすくて美しい茶道具で目をこやしてしまった結果、市販品が気に入らなくなり、20代半からオーダーの細道へ。お誂えという言葉が流行る10年以上前です。バブルが崩壊し、伝統工芸が一番見捨てられた暗黒の時代です。ネットは黎明期、ホームページは手作り、見にくいデザインのネット通販は詐欺という闇市の時代です。

3.輪島キリモトを見つける

お茶のお稽古で拝見した輪島塗がほしい、いつか買いたいと願い続けていました。 デパートに陳列されている輪島塗は蒔絵が絢爛豪華でふたつきの夫婦椀。派手で立派すぎて都会のマンションに暮らす私のライフスタイルに合いません。普段に使いたいのに。 そんなおり、たまたま輪島キリモトさんの器を見つけました。新宿オゾンのイベントに出店されてたのです。いままでの輪島塗とは違うシンプルを極めたモダンデザイン。

4.輪島キリモトを知る

東京に住んでいたので、輪島キリモトのイベントに行きました。無知で不躾な小娘だった私に桐本さんはとても熱心に親切にうるしのこと、輪島塗りの特徴を教えてくれました。 長いメールを何度も頂きました。 私は茶道の棗や家具で見た艶のある黒い塗りに憧れていたので、初めてのお椀は端反椀の黒を選びました。 うるしは赤の方が格式が高いのだそうです。でも私は黒が欲しかった。

5.輪島キリモトを買う

端反椀の黒は在庫がなく、注文することになりました。20年超が経って振り返ると「ガチ勢は初動からやばい」と寒気がします。初めてのお椀が来るまではとても長く感じました。今思えば三ヶ月で届いたので「早い」んですが。届いた漆は本当に「漆黒」で触るのも躊躇われるような深い深い艶がありました。 「塗りたてなので、臭いが消えるまでは優しく扱ってください」と注意されましたが、あまりに綺麗でしばらく飾っておりました。キリモトさんは、プロダクトデザインを学んで大手メーカーでデザイナーをされていたそうです。現代の生活と感覚を取り入れた引き算のセンスが卓抜しています。

6.輪島キリモトの多様性にはまる

味噌汁を飲むつもりで買ったお椀がですね、すごいんですよ。スープ、煮物、アイス、ヨーグルト、フルーツ、何を入れても映えるんです。デュラレックスでもバカラでも浮かない。ジノリ、ミントン、ウェッジウッドもぶつかってこない。ヴィンテージのシルバーやクチポールでも馴染んできますから。 桐本泰一さんは日本のプロダクトデザインのレジェンドとして名が残る人だと確信しています。

7.輪島キリモトの沼へ

最初は黒の端反椀ふたつ。一生物だと思ったので、若者としては清水買いでした。 その後、私が輪島キリモト沼にハマってガチ勢コレクターになっていくまでの物語もいつか語ります。 普通のOLやってた時にいそ椀を二つ誂えてます。7万円くらいだったですかね。 ボーナスはブランドバッグより輪島キリモト買うわ!って言った記憶があります。

令和6年1月14日のスレッズをまとめました。
能登半島のニュースを見るたびに胸が痛みます。なにもできないことが苦しくなります。
上毛かるた「雷と空っ風 義理人情」の群馬県民として、私にできる最大の復興支援は20年超の輪島キリモトのヘビーユーザーによる渾身の商品レビュー以外ありません。この記事は輪島キリモトの復興支援です。桐本さん、私らが支えます。輪島塗のすばらしさを世界へ伝えることで、恩を返します。