しがない舞台俳優オタクがとあるアイドルに人生を変えられた話

2019.09.01
この日、とある舞台俳優を追っていた一オタクの人生が狂わされる日になるとは知る由もなかった。


この文章を書いていく中で無礼な発言があると思うが、当時の記録として残す為にも目を瞑っていただければ幸いである。


昔から熱しやすく冷めやすい性格ゆえ、何事も長続きがしなかった。
学生時代、舞台という存在を知った私はその世界に足を踏み入れ無事沼に浸かることになり、とある舞台俳優を応援するに至る訳だが、先に掲げた性格ゆえにモチベの維持ができず劇場に足を運ぶ回数も減少していた。

そんな中で推し俳優の新たな出演作が発表された。その名も『プレイハウス 』。この作品との出会いが私の新たな人生の幕開けとなる。

そもそもこの作品が発表された当時、他作品でもチケット申込を躊躇するほど推しとの距離を置いていた時期だった。出演者名を調べると見たことも聞いたこともない横文字。横文字がアイドル名だと知るも、アイドルという存在とは全くと言っていいほど無縁の生活を送っていた私にとってはただ名前を見るだけに終わり特に興味を惹く要因とはならなかった。
今回も迷いはあったものの一公演だけと思い東京楽のチケットを押さえた。

当日を迎えいざ劇場へ。正直劇場に着いてからもモチベが上がらず開演前特有の緊張感も特に感じず虚無に近かった気がする。だが普段とは違う客層に少しだけワクワクしたのを覚えている。

予備知識無しに挑んだ為、開演してからしばらくは知らない単語(=名前)を結びつけることに必死になりつつ演者達の掛け合いに時々笑いながら物語を追っていた。ミュージカルということもありプレイハウス仕様にアレンジされたアイドルの楽曲が何曲か使用されていたが序盤は何も気に留めず只々観劇していた。

そんな中で劇中プレイハウスの開店シーンを迎えた。それと同時に流れた曲が『RATESHOW』という曲だった。この場面を迎えるまで何も意識せず観劇をしていた自分だったが、この曲を聴いた瞬間私は一観客からプレイハウスの一お客さんとしてその場にいる感覚に陥った。自分でも何がトリガーとなったかは良く分かってはいない。ただ一気に世界観に引き込まれ自分のボルテージが高まるのを感じ、その先の物語に想いを馳せたのを鮮明に覚えている。


舞台×アイドルということに偏見は持っていなかったが、アイドルという存在に偏見は持っていた。

自分の中でアイドルという存在は「可愛くてキャピキャピしている」という方程式ができておりその雰囲気が苦手で嫌厭していたところがある。だが、この舞台で出会ったアイドル『GANG PARADE』がその壁をいとも容易く打ち破ったのだ。ただ可愛いだけではなくかっこいい要素だったり覚悟や根性、とにかく魂を感じる演技やパフォーマンスがとても胸に刺さった。ましてや演技初心者であるのにも関わらず多少の粗っぽさはありつつも他の役者に引けを取らない演技力は圧巻だった。

興味を持たずに無知であったことが大きいだろうし他のアイドルグループだったとしても同じような結果となり得たかもしれない。けれど、私が出会ったのは『GANG PARADE』というアイドル。このアイドルが見せた熱量や垣間見えた泥臭さに心を動かされたことに変わりはない。彼女達だったからこそ、否や彼女達でなければここまで自分の心が掻き乱されることはなかったと思っている。


その後も観劇を続け無事終演。
終演後の行動が自分でも引くほど早かった。帰りの電車の中でまず彼女達の存在を調べ、大阪公演まで足を運ぶか迷い、ライブ情報まで調べた。ライブ映像も漁った。まさに自分の目の前の世界が大きく開いた瞬間だった。仕事に行って疲れて帰ってきて寝て起きてまた仕事…という変わり映えのない生活を送っていた例えるならば”モノクロ”だった世界を、”カラフル”に彩りキラキラと輝く世界へと導いてくれたのである。彼女達は私にとってのスーパーヒーローなのだ。

同時に彼女達がメジャーデビューしたばかりで苦悩や葛藤を抱えている事やこれまでにたくさんの苦難があった事を知った。強くたくましく生きる姿がとても美しく時折り覗く弱さが儚く魅力的だった。その姿を知るたびに彼女達と今後の景色を一緒に作り、過ごし、見届けたいと強く思った。興味を惹かれた私の背中を後押しするには十分だった。


まだまだ他にもいろいろな要因が重なってではあるが私が応援するきっかけとなった大元の出来事である。
私の知る世界はまだまだちっぽけで一握りしか見えていないのだと思う。それでもここでの出会いがなかったら私は今もモノクロの世界を彷徨っていたかもしれない。愛すべき大切な存在に出会えたこの日を忘れることはないだろう。あれほど嫌厭していたアイドルという存在がこんなにも愛おしく、今の私の核となっているのだから少し笑ってしまう。


まさに2019.09.01は私の人生が変わった日。
プレイハウスに関わって下さった全ての人に感謝。
これからも『GANG PARADE』と共に歩んでいきたい。

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