ビッグ・リボウスキの何が好きか⑥
ドイル「ミスター・オリバに質問―――
三田佳子の次男・高橋祐也は現在、警察に捕マッテイルノデショウカ、イナイノデショウカ?」
(シンキング・タイムは10秒です)
私は当時、愚地独歩vsドリアン並に、烈海王vsドイルまたは愚地克己vsドイルをしっかり納得いく決着がつくまで描いてほしかったと思っていました。
でも今では考えが変わって、戦いの末 克己に敬意を払い、柳龍光にヌルッととっちめられたドイルの退場はあれはあれで良かったと思っていますこんばんは新宿中央コーエン兄弟とほざきし者です。
noteを見返してみましたら、最後にこのタイトルで投稿したのが約3年前でした。
何を書いたか自分でも忘れてたんですが、最後の記事に至ってはなぜかビッグリボウスキに一字たりとも触れてませんでした。
今回は私の永世大好き映画ランキング1位『ビッグ・リボウスキ』の、何がそんなに好きかということを勝手に申し上げたいと思います。
さて、本題に入る前に軽く自己紹介をさせてください。
新宿中央コーエン兄弟とたわけし私は成人男性、東京在住、初めて1人暮らしをしたのは22歳のときです。
大阪の某貧者コロニー(貧コロ)にある、1R40,000円の物件を借りました。
貧コロの割にはバス・トイレ別で室内洗濯パン、敷礼なし、保証人不要、居室は7.5帖と、私の希望を軒並み叶えしアパートでした。
そして始まる悠々自適の晴耕雨読ライフ、私は寝たり食べたり出かけたりお風呂に入ったり寝転んだりして過ごしました。
ある日、帰宅してテレビを見ていると、隣の部屋から「ドン!」という鈍い音がしました。
人が転んだり物を落としたりした音ではなく、私の部屋と隣室を隔てる壁に物理的な衝撃が与えられて起きる音でした。
テレビを消すと音はしなくなりました。
別の日、片手鍋を洗って片付けるとき「コン」とちょっと強め(20段階の3)に鍋をキッチンに置きました。
すると隣の部屋から「ドン!ドン!ドン!」と音がしました。
脳に一閃、"隣に相隣ウォリアー住んどる"。
近隣の物音を聞き逃さんために両耳にでっかい漏斗みたいなのをブチ刺した、古代ローマの剣闘士みたいな奴が住んどる。
私はこの部屋での前途を思うとめんどくさくてちょっと眠たくなりました。
それからというもの事態は悪化するばかりでした。
洗濯機を回す音、洗濯物を干すために窓を開閉する音、部屋の中を歩く音、扉を開ける音など、少しでも物音を立てれば壁をドンドン殴られました。
さすがにこらあきませんと思った私は管理会社に相談しました。
担当者の言うことには、仮に私の部屋を201、相隣ウォリアーの部屋を202とすると、203の住人からも私と同様の相談があるとのことでした。
回答が「え?202号室にはもう何年も、誰も住んでいませんよ……」ではなかったことに安心する反面、相手が実在するクリーチャーだということが確定してストレス数値はビタ止まりのプラマイゼロでした。
管理会社に連絡してみても打撃の雨がやむことはなかったので、フリーのボンゴ奏者がどっかに営業かけるために奇を衒って壁で練習してるんかとも思いましたが、壁を殴るタイミング的に相隣ウォリアーであることは間違いなさそうでした。
あるとき私に彼女ができ、ウチに遊びに来ることになりました。
私の脳内は「彼女が遊びに来て嬉しい」95%、「アイツ(相隣ウォリアー、以下"相ウ")絶対かつてないほどバチギレるやん」5%でした。
薄壁とは言え1人暮らしで普通に生活してるだけなのに、関口宏のフレンドパークのベース音だけで曲名を当てるゲームばりに両サイドの部屋の壁を叩きまくってる相ウが、人と人が会話してる声に耐えられるはずがありません。
不安に駆られましたが、その日という意味では杞憂に終わりました。
彼女が私の家を出るまで、1タップも壁どつきはありませんでした。
出かけてたんかなと思いましたが、彼女を見送って家に戻ると、壁から「ドン、ドン、ドン、ドン、ドン」と一定間隔でいつもより大きめのどつき音が鳴っていました。
壁際に2mのデカメトロノーム置いて針がウチのほうに振れる度に壁にぶつかってる?ってぐらい一定間隔でどつかれました。
心の底から何でやねんが迸った私は、ダメだと思いつつも1回、壁をどついてしまいました。
◆
翌日から、壁をどつかれる代わりに「ウィ〜〜〜ン」という機械音とともに壁が微かに振動するようになりました。
私のイメージでは、電動ドリルドライバーなどの工具を壁に当てて使用しているようなイキフンでした(騒音DIY、あるいは相ウからしたら制裁DIY)。
何個も壁に穴を開けて点線状に長方形を描き、仕上げの足底キックで両耳にデカい漏斗をブチ刺した剣闘士が壁を蹴破ってくるんじゃないかと思いました。
斯様な言い分から私と相ウは双方マジックマッシュルームを食らい込んでるんじゃないかと思われるかもしれませんが少なくとも私のほうはシラフです。
足るを知らずはしゃぎ過ぎて国をMM規制に踏み切らせたのは伊藤英明。私はドラッグノーサンキューです。
これは嘘なんですが、死んだばあちゃんの口癖は「1コ目に思い付くことなんか全部捨てろ」でした。
ところで第四の壁を破ってあなた様にお聞きしますが、有島武郎の『小さき者へ』を読まれたことはありますか?
大正期に活躍した「白樺派」にも分類される小説家・有島武郎の奥さんは結核で亡くなってるんですが、母を亡くした子供達に向けて有島武郎が彼らを鼓舞し、前途を祝して書いた短篇が『小さき者へ』です。
有島武郎はこの作品を発表した数年後、出版社の編集者と心中しています。
私は初めてそれを知ったとき、まさに1コ目に思い付くこと…「子供おるのに無責任やん」とか思いけつかってました。
アホほど関係ない他人の、しかも@鬼籍の人を脳内であげつらいかけけつかってました。
アリタケの子の本当の気持ちなんか知る由もありませんし、私に知れるのは『小さき者へ』に書いてあることだけです。
思いの多寡こそ知らんけどアリタケが子供のことを考えてたのは本当だと思っています。
…ここで第四の壁の穴を塞ぎまして、隣の部屋から電動ドリルみたいな音がする私の部屋に話を戻します。
物音を立てられるのが気に入らないからって隣室の壁に電動ドリルを接射するアイツにも、有島武郎が子を想ったように、想ってくれる親がいたのでしょうか。
アイツは物語が自分の思い通りに展開しないと不満を爆発させるタイプの人間だったのでしょうか。
その後アイツと本格的に戦うことはなく、壁ドン壁ドリは続きましたが、ほどなくして私は仕事の都合で引っ越しました。
引っ越す直前たまたま出かけるタイミングが重なったアイツは漏斗ブチ刺し剣闘士ではなく、どこにでもいるおとなしそうな人でした。
……
はひ〜
ビッグ・リボウスキの何が好きか語ろうと思ってたらフリーのボンゴ奏者とか言ってた〜
フリーのボンゴ奏者?
戦うと言えば、デュード達とニヒリストがボウリング場の駐車場で戦うところも好きです。
だってあのニヒリスト達、ニヒリストって言ってるくせに失った利益のために怒って、物・事・人に執着してるんですもの。
何が好きかあまり語れなかったのでまた次回にします。
三田佳子の次男が今捕まってるかどうかご存知の方はすみませんが逆に教えてください。
暑くなってきましたので皆様こまめに水分塩分補給をしてくださいませ。
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