東京藝術大学の学費値上げについて

プレゼンテーション

① ただいまご紹介に与りました。彫刻科4年の◯◯です。
私は東京藝術大学の学費値上げについて署名活動などを行っております。
基本的な情報から突っ込んだものまで、お話をし、先生に引き継いでいただこうと思います。
よろしくお願いします。

② それでは早速、まず概要を説明します。
藝大は2018年10月26日にホームページにて値上げを発表しました。
簡単に理由をまとめると、トップアーティストの育成のためです。
現在授業料は年間約54万円ですが、20%値上げされ、約64万円になります。
対象は来年度の学部新入生からです。

③ 藝大のホームページで公開されているところを一部持ってきました。
真ん中の辺りに、世界の一流芸術大学と伍して行くためとか、トップアーティストの育成といった文言が書かれています。
全文を紹介すると長くなってしまうのでここでは割愛します。

④ これから問題提起をさせていただくのですが、見出しを4つ用意しました。
順に触れていきます。
1、周知と具体的な説明が一切ないこと。
2、目標が曖昧であること。
3、経済的な格差が広がる可能性があること。
4、審議の適切性に疑念があること。

⑤ 1、周知と具体的な説明が一切ない。
値上げは、ホームページで公開されただけで、連絡や掲示はありませんでした。
事前に周知されることはなかったので、メディアの報道で突然知った学生が殆どだと思います。
私が個別に話を伺ったある教授は、値上がりする対象のことさえ知りませんでした。

ホームページには問い合わせ先として、戦略企画課が紹介されています。
私や他の学生が実際に問い合わせをしましたが、具体的な話は聞けていません。
ただし、直接のやり取りでは興味深い話が聞けたのでそれぞれ紹介します。

⑥ これは課から来たメールです。
私が提出した署名に対する回答となっています。 提出時点で、賛同者は3600人を超えていましたが、ご覧の通りです。
真ん中の辺り、本学にとって必要…適切に審議を行い決定した… その下、現時点では、予定はない。
理由や経緯は、説明をしている通り…

とまあ簡潔で、私に言わせるとゼロ回答といったところでしょうか。

⑦ 直接のやり取りでも、値上げ分の具体的な用途などについてはメールと同じくウェブサイトで説明している通りの一点張りでしたが、経営難を示唆するお話は詳しく伺えました。
例えば、交付金、これは国からの税金のことです。と学生からの納入金、これは入学時納入金や授業料のこと。その他というのは施設の貸し出しなどでの収益のことで、これらの収入では運営が難しいと説明しています。

また先週大学から連絡が来たのですが、取手キャンパスの学バスが、老朽化と頻繁に故障することを理由に廃止されました。
新調する余裕はなかったんですかね。

増税や電気代等の値上げも負担だそうです。消費税については10%になる話もありますよね。

こういった話を伺ったので、学費をもっと値上げしたいのかと聞くと、それは流石に否定されましたが、値上がりが20%で留まっているのは文科省が授業料に基準を設けていて、そこから20%までは増額してよいことになっているから、だそうです。
しかし具体的な用途に疑問が生じます。

⑧ 先ほどの話は口頭でのやり取りですから、今度は記録に残っているものをお見せします。
これは藝大の経営について協議している所の議事要録です。ホームページに公開されています。

先に言っておきますと、ここが、学費値上げについて審議し決定したところになります。

それでこの資料は、本学の課題として施設整備、美術館奏楽堂などの老朽化対策のための新たな予算獲得について、学外の委員よりご助言ご提言いただいた。というものです。
真ん中、私立大学などでは長期修繕計画を立て、授業料その他で徴収しているが、必要に迫られて予算獲得するとなると非常に厳しいのではないか。とあります。
このご意見、別に授業料を増額して老朽化対策に充てろとは書かれていませんが、先の戦略企画課からの説明と合わせると引っかかりませんか?

ちなみに値上げについては簡単なことしか議事要録にありません。
案が出されたり、決議がされたりしたというような程度のことしか書かれていないのです。

⑨ 2、目標が曖昧であること。
世界の一流芸術大学ってなんでしょうね。現在の藝大はどういったところがたりないのでしょうか。
国際競争力という言葉や、世界大学ランキングトップ100に日本の大学を10校入れるといったことを耳にしますが、関係はあるのでしょうか?ちゃんと説明してほしいものです。

トップアーティストの育成といいますが、楽理科、この講座は楽理科が主催ですね。などの非実技学科への還元方法について疑問の声も挙がっています。

⑩ 経済的な格差が広がる可能性があります。
教育の機会均等のため授業料の減免や給付型奨学金を行うとしていますが規模は分かりません。
財源は自己収入などであるため、規模が大きくなれば他に予算を回せなくなります。
もちろん、対象外の人には負担が増えます。 バイトの時間を増やすか、ご家族に出してもらうか、或いは教育ローンを増額するといったことになります。

芸術大学を受ける人が減る恐れがあります。
藝大は他の私立美大よりは安いと考えられる人は多いかと思いますが、例えば美術学部の彫刻科で初年度に納入する額は約133万円です。
また入学するまでの受験勉強においても費用がかかります。彫刻科を志望すると、大抵は予備校に通うことになります。浪人生は、朝9時から午後4時までのカリキュラムで一日当たり凡そ5000円、週6日通うことが多いです。
能力のある人は等しく教育を受ける権利を有するとは言っても、能力を身につけるためには経済的な力が必要です。
先ほど経営協議会の資料で、藝大のポテンシャルを利用と書かれてありましたが、一流芸術大学であるから値上げをしても受験生が減ることはないといった意味ではないでしょうか。

⑪ 審議は本当に適切だったのでしょうか?
値上げ率を20%にした根拠は示されていません。なぜ5%でも10%でもなく20%なのでしょうか。
来年度は新一年生のみの値上げですが、例えば、新しい機材を導入して他の学年も使えるとなったら不公平ではないですか?全学生を対象に一律5%の値上げといった形でないのはなぜでしょうか。

学生のための値上げであるのに、私たちは何も意見を求められていません。
経営協議会の資料には、平成29年1月26日から議題に挙がっています。決定まで長い期間があったのに、その間なにもなかったのです。
適切に審議したというのであれば、それを示してほしいです。学生に知る権利はないのでしょうか?

⑫ こちら、また経営協議会の資料になります。10月25日、値上げが公開される前日のものになります。
この日、この会にて可決されたわけですが、面白いご助言がありました。これは誰からかは書かれていませんが、恐らく学外委員だろうと思います。

授業料値上げについては、東京藝術大学の教育内容、活動が前進してきた証拠なので大変いいことだと思う。とあります。
国が予算を投じなくても発展するといういわば、自己責任・自己負担的な発想なのかと想像しています。
これは真意を、戦略企画課に確認中です。

⑬ ここまでいくつか問題点を提示させていただきました。
最後に、今後について説明します。
署名を学長に提出すること。
学生の話し合いの場を作ること。
値上げについて、私が説明会を開いてみること。
記者会見をすること。

少しでも関心を持っていただけたら幸いです。ありがとうございました。

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