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ふたりの女王 〜 メアリ・スチュアートの暗号

今年の2月、興味深いニュースが海の向こうから届いた。


ヨーロッパ史に名を刻むメアリ・スチュアートの暗号文が解読されたという報道だ。

私は思わず目が釘付けになった。
同時に、ある漫画作品を思い出した。


16世紀のイギリスを舞台とした漫画
『7つの黄金郷エルドラド』。

私の少女時代を彩ってくれた名作漫画のひとつである。
この漫画をきっかけに私はイギリスに強く憧れるようになった。いいところで中断してしまい、完結に至っていないのがとても残念だ。

この作品に、スコットランド女王メアリ・スチュアートが出てくるのである。
(彼女の名前表記は様々あるが、この作品に敬意を表して「メアリ・スチュアート」に統一させていただく)

この漫画はエリザベス1世を女王に仰ぐイングランドが舞台である。主人公は王家の血を引く侯爵家に生まれた双子だ。
当時は宗教戦争まっただ中で、プロテスタントのイングランドとカトリックのスコットランドは血で血を洗う紛争を繰り返している。

主人公がイングランド人であるから、スコットランドは敵として描かれている。
歴史における善悪は立場や時代が変わればひっくり返ることも多いが、そこは少女向けの漫画である。敵はわかりやすく悪として描かれている。よって、メアリ・スチュアートは稀代の悪女として登場する。

※山本鈴美香さんの描く絵の美しさは
とても真似できるものではない。
ぜひ原作を手にとってみていただきたい。


生後わずか6日にしてスコットランド女王となったメアリは、類まれな美貌と頭脳を持ち合わせた女性だったそうだ。
10代半ばで数ヶ国語をマスターしたと言われるほど語学に長け、暗号の名人でもあったらしい。

ここで、冒頭で紹介したニュースに戻ろう。
メアリはイングランドに幽閉されていた約19年の間、暗号を駆使した書簡を秘密裏にフランスへ送っていた。その中でも重要とされたものを3人の研究者が膨大な資料の中から見つけ出し、解読に成功したという報道だった。

驚くことに、この3人はいずれも暗号の専門家ではなく、プライベートで解読に取り組んでいたということだ。しかも、その中には1人の日本人も含まれている。素晴らしい。

メアリが書いたといわれる暗号書簡。
受け取ったほうもかなりの知識を要求されそうだ。
(CNN記事より引用)
https://www.cnn.co.jp/fringe/35199925.html


解読の結果、メアリが幽閉されている間の愚痴のようなものから、エリザベス女王の暗殺計画に関わるような機密事項も含まれていたことがわかったそうだ。歴史的価値ははかり知れない。

生きている間は一度も会ったことがないと言われるエリザベスとメアリ。
年月を経て、今はロンドンのウエストミンスター寺院で一緒に眠っている。
天国で少しは打ち解けたのだろうか。


ところで、この記事のタイトルを「ふたりの王女」と間違えて読んだご同輩はおられるだろうか。

この劇中劇「ふたりの王女」は、エリザベスとメアリをモデルに描かれたと言われている(らしい)。
やはりオリゲルドがメアリ…だろうか。


映画にもなっていますね。



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