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身体のありようは、性染色体だけでは決まらない

トランスジェンダーへの差別で多い誤った認識の一つが、「身体は性染色体だけで決まる」というものだと思います。トランスジェンダーに関しては、この認識でいると理解できません。

生物学には、発生生物学という分野があります。発生生物学では、生物が母親の胎内などで生まれた後、ホルモンなどの影響で身体にいろんな化学反応が起きることで、身体の見た目(表現型)が変わる、といった現象を議論します。

この視点があると、トランスジェンダー当事者が「性染色体は♂であっても、ホルモンの影響で身体(筋肉、体毛など)の表現型が♀になる」と言っている場合のことが理解できます。

トランスジェンダー女性は、性染色体の影響で外性器は♂ですが、脳内のホルモンの影響で脳の発達が♂のようにならない、そのために、生まれたときに割り当てられた性別と、ジェンダーアイデンティティ(いわゆる、性自認)が異なる、ということが起こります。

トランスジェンダー女性は筋力が強いという説も見られますが、筋力が弱い場合もあります。それはホルモンの影響でそうなるのです。

トランスジェンダー女性は筋力が弱いのか、と言われたら、「弱い」と断定はできません。強い当事者もいるかもしれません。当事者によってケースが異なります。当事者でない人が、様々なケースについて一様に答えを出そうとすれば、それはトランスジェンダーからすれば「全体主義的だ」と感じられます。

この記事では、トイレ使用やスポーツなどには触れず、書く機会があればまた別の記事にします。言いたかったことは、外性器だけで性別は判断できないということです。

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