相対論的Zwift論: Zwifterは井の中の蛙大海を知らず、なのか

フォロアー14000人を数える強豪アマチュアの@RX_Takaokaさんが、「… 強豪ズイフターのレベルは半端なく、(中略)なんであんなにZwift強い(パワー出せる)のにロードレースでは勝てないんだろう」 とつぶやいてたので一部で話題になってると思いますが、パワーウエイト比を鍛えればロードレースに勝てるというわけではないのが面白いところです。

Zwift嫌いが3ヶ月Zwift縛りしてみた〜で何回かに渡って書いたように私は怪我や雨で走れないとかよほどでなければ室内練はしませんが、ここではまたZwiftと実走の違いについて無理やりな例え(笑をしてみましょう。それは、

Zwift = 特殊相対性理論、実走 = 一般相対性理論

です(笑 わからないですよね? では、言い換えて、

Zwift = ミンコフスキー時空、実走 =リーマン時空

です 。。。あ、ここで読むの止めないで下さい(笑

相対性理論といえば、ご存知この方。

アルベルト・アインシュタインさん(Wikipediaから)

いまから100年以上前の1905年と1915年に特殊相対性理論と
一般相対性理論の有名な論文を発表して物理に革命を起こした人です。
(余談ですが、ちまたに出回っているアインシュタインが舌を出している写真はあんまり好きじゃないです。あれはもともとは周りに物理学者がいておどけている写真が切り取られたものです。)

特殊…と一般…の違いは中高では勉強しないので知らない人も多いと思いますが、大学の物理学科では習います。それを無理やり自転車乗り向けに例えてみると

特殊= 加速度のない世界でなりたつ= Zwift
一般= 加速度のある世界 = 実走

となります。ここで「加速度」には、コーナーでの遠心力や下り坂での加速、重力も空気抵抗も路面抵抗も含みます。

では、上に書いたミンコフスキー時空とかリーマン時空とは何か。その前にまず「時空」を説明しないとならないですね。時空とは

時間(1次元) + 空間(3次元)

をあわせた4次元のことを意味します。特殊相対性理論によると、物体の速度が速くなり光の速度に近づくと時間と空間3次元は区別できなくなります。正しくは、いくら速度が遅くても時間と空間は独立ではありません。これは直観的には理解し難いのですが、まあそういうものだと思って下さい。

さて、特殊相対性理論が成り立っている世界(加速度のない世界)の時空はミンコフスキー時空と呼ばれています。これはしばしば「平らな時空」と表現されますが、4次元で「平ら」と言われても困るので、時空全体を2次元曲面で表すことが多いです。曲面の例の一つが「球面」です。


球面の例(Wikipediaより)

ここで、われわれの住んでいる4次元時空が球の表面だと思って下さい。その場合、われわれの世界は球面そのものです。人間(にしろ自転車にしろ)球面を自由に動けますが、それ以外の場所にはいけません。

この球面のごく狭い領域を取り出せば、ほぼ平らな面が得られます。これがミンコフスキー時空で、曲がっている球面がリーマン時空です。リーマン時空は別に球じゃなくてもどんな曲面でもかまいません(例えば、馬の鞍のような曲面でもよい)。どんな曲面であっても、それがなめらかであれば、ごく狭い領域だけみれば平らですよね。地球上も全体では曲面ですが、そのごく一部だけを見ればだいたい地面は平らなのと同じです(山とか除けば)。この全体的には曲がっているけど、局所的には平らというのがわれわれが住んでいる4次元時空の特徴です。

井の中の…の例で言えば、井戸=ミンコフスキー時空、大海=リーマン時空ということになります。

特殊相対性理論は、「局所的に平らな時空」でなりたつ理論で、一般相対性理論はその平な時空を含む「曲がっている時空」で一般的に成り立つ理論なのです。あとから発表された一般…がより広い応用範囲を持つ理論になっています。ミンコフスキー時空はリーマン時空のいわば「部分集合」と言ってもよいです。

もう一つ大事なことは、「局所的に平らな時空」では加速度がないということです。加速度=ゼロということは等速直線運動しているか静止しているかです。一方、「曲がっている時空」では加速度が発生します。

相当無理やりでしたが、これでZwiftの世界=ミンコフスキー時空、リアルの世界=リーマン時空というのがおわかりいただいたでしょうか? 

ここで注意しなければならないのは、曲がった時空でも限りなく平らな時空に近い場合もある、ということです。球面の例でいえば、球がものすごく大きければ、球面が曲がっている効果は無視できます。つまり、実走とZwiftの違いが限りなく小さい場合というのもあるということです。例えば、ヒルクライムレースとか(相当無理やりww)。

最後に、井の中の蛙大海を知らず、には次の続きがあると言われています。

しかし、空の深さ(青さ)を知る

Zwiftを極めた先にはまた別の世界があるのかもしえません。

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