bikeは立てると滑らない

前回、前々回に引き続き、#sxsradio #ep.86 のフォローアップです。番組で@kossyさんが言っていて、少し議論になりつつも結論がはっきりしていなかったこととして、

1.   コーナーでbikeと立てたまま曲がると、(横方向に)滑らない(リーン・インで曲がると滑りにくい)

2. コーナーでトルクかけて踏む方が滑らない(惰性で曲がると滑る)

がありました。2.はちょっと難しいので次回以降に回します(まだ完全に理解できてない)。一方、1.は簡単な理屈です。図2枚でわかります

車輪を前(後ろでもいいですが)から見てるのが下の図です。これは地面に対して垂直に立てた状態。

スクリーンショット 2021-01-30 14.20.58

ここで、水平方向にF_1 で押します(力の源はなんでもよくて、例えば遠心力)。すると地面に接している点(接地点)では摩擦力 f (このベクトルの向きは逆の方がいい気がしますが、まあどっち向きでもいいです) 働いているので、このままだと接地点は滑らずに、タイヤが倒れます。F_1と反対方向に力を加えて(遠心力に逆らって体で押さえるとか)、タイヤを垂直に維持すると絶対に滑りません。接地点の水平方向に摩擦力以外の力が加わっていないからです。

一方、タイヤが傾いているときが下の図です。力のベクトルの向きを考えると、接地点には水平方向に力 F_2が働きます

スクリーンショット 2021-01-30 14.21.05

もし、F_2 > f  だと、接地点は滑ります。図からバイクが垂直なら、F_2 = 0なのは自明ですよね。

バイクの角度が違う場合に、F_1, F// (タイヤに平行な方向の力), F_2の関係は以下です。

スクリーンショット 2021-01-30 14.21.09

スクリーンショット 2021-01-30 14.21.14

上がバイクの傾きが小さい場合、下が大きい場合です。バイクを寝かせれば寝かせるほど、F_2 は F_1に近づきます。つまり、F_2が摩擦力を超えてしまう可能性が大きくなります。つまり、タイヤが滑ってしまうわけです。

なので、当たり前ですが、バイクは立てた方がスリップしにくくなります。しかし、バイクは完全に垂直だと曲がりません。

試しにバイクから降りて、バイクを垂直のまま押してみましょう。次にそのままバイクを曲げようとしてみてください。ハンドルを無理やり曲がれば方向は変わりますが、ハンドルの角度が急になったら進まなくなると思います。

バイクはヘッドを軸に前輪が自由に動くので、傾けると自然と曲がるようにできています。逆に、リーン・インのようにバイクを傾けずに曲がろうとすると、上で述べたようにスリップはしにくくなりますが、小さい曲率のカーブが曲がりにくくなると思います(実際にはバイクを立てているとは言っても少しは傾いてるはずですが)。

それでもバイクを立てたままなんとか曲がろうとすると、ペダルを踏んでトルクを与え続けないとならなくなるはずです。

これは、2.コーナーでトルクかけて踏む方が滑らない, とも関係しているはずですが、それはまた次回に。

(了)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?