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[Episode.37] SUBJECT RECORDS 第1期の終焉

1996年の4月に始動したSUBJECT RECORDSは、1998年3月末をもって急激に活動が停滞して失速していくことになる・・・。

大きな理由は3つ。「僕が就職したこと」と「GYROTRAXへの傾倒」と「Nu NuLAX NuLANの独立」である。

まずは、1つ目の理由の「就職」。

就職浪人をして1年間の「モラトリアム期間」を手にした僕は、1996年~1997年はアルバイトとテクノの諸活動に明け暮れて、自由の身を謳歌した。

社会人にはなりたくなかったけど、一応僕も人の子なので、ちゃんと定職について両親を心配させないように・・・、という思いがあり、潔く観念して1998年4月からは社会人となった。

社会人1年目である1998年は、まだ新入社員ということでプライベートの時間も確保できていたが、1999年以降は仕事が忙しくなり、徐々に仕事中心の生活となり、徐々にテクノ活動の時間が少なくなっていった。

2つ目の理由の「GYROTRAXへの傾倒」と3つ目の理由の「Nu NuLAX NuLANの独立」はリンクしているので、まとめて書こうと思う。

1998年よりマリオさんとの共同レーベル 「GYROTRAX」を立ち上げたことで、僕のテクノ活動の視線はそちらに向いてしまった。

SUBJECT RECORDSの1st LP「Love Sonic Strategy4」が売れなくて大赤字をコイた苦い思い出を一気に払拭するように、GYROTRAXの売れ行きはそこそこ良いものだった。(マリオさんから聞いた話では、僕の作品「Strong Style EP」がGYROTRAXの中でも最も売れたとか。)

新しい名義である「ASTROID」によるハードミニマル/ハードテクノ志向はより強くなり、GYROTRAXの新曲作りに精を出すようになったことで、自分の中のSUBJECT RECORDSの重要性は徐々に低くなっていってしまった。

結果的には先に書いた就職後の多忙な状況より、GYROTRAXからは2作目をリリースできないままGYROTRAXとしてはレーベル活動を終了した・・・。

そして、1998年にはughさんがNu NuLAX NuLANの活動を本格化させることとなり、SUBJECT RECORDSのサブレーベルから独立する形となった。

Satanicpornocultshop の1st CDとなる「NIRVANA or LUNCH?」のリリースを機に、Nu NuLAX NuLANおよびughさんの活動が一気に活発化し、僕自身もSUBJECT RECORDSの活動よりもNu NuLAX NuLANに楽曲提供やレーベルレポートをするなどの活動が多くなってきた。

【NIRVANA or LUNCH?(「平成☆サタポ専科」のnoteより)】
https://note.mu/ueiko/n/n8c0259644102

元々、SUBJECT RECORDSの設立のきっかけは、MAGIC PORNO CULT SHOPのライブを観て、ughさんやFranzさん、それからLove❤Kitchenのサウンドを世に広めたいと思ったことであるが、ughさんがNu NuLAX NuLANとして独立し、FranzさんもNu NuLAX NuLANに深く関わっていったことにより、そもそものSUBJECT RECORDSの存在意義が薄れていってしまったのである・・・。

ちなみに、僕が就職した会社は淀屋橋にあり、ughさんの会社は肥後橋にあったため、就職後はたまにお昼休みにランチをしながら「ugh & ASTROID会議」を行って、Nu NuLAX NuLANの今後の活動について色々お話ししたり、「中田くんな、こうやって普段はスーツを着てサラリーマンをしつつも、音楽をやり続けるのが1人前なんや。」という、社会人になることを嫌がっていた僕に対して、人生の先輩としての励ましのメッセージ等もいただいた。

僕自身はGYROTRAXへ傾倒し、ughさんはNu NuLAX NuLANで独立したことによって、SUBJECT RECORDSの方向性が見失われたということもあり、1998年4月以降は急速に活動が停滞していったのである・・・。


*** 付記 ***

今回は、1998年3月までの出来事を書き綴ることにしているが、それ以降のSUBJECT RECORDSの活動をダイジェスト版で書き綴っておこう。

2000年には僕が結婚をし、 2001年に第1子/2002年に第2子/2006年に第3子が誕生し、仕事はどんどん忙しくなっていき、自分の自由にできる時間が減ってしまったため、SUBJECT RECORDSの2000年代(2000年~2009年)は「休眠期(第2期)」となった。

ASTROID名義では時々ライブなどを行っていたが、レーベルとしての活動は休止。ハードワークの仕事によって何度も瀕死の状態になったことからテクノへの情熱も一時的に削がれてしまい、きちんとした曲を作ることができずに、ハードミニマルのパーツを作ることしかできないスランプ期にも陥ってしまった・・・。

そして、子育てと仕事が少し落ち着き出した2010年からは徐々に楽曲制作の時間を取り戻し始め、約10年間の沈黙を破って、2010年12月にSUBJECT RECORDSは復活(第3期:復活期)することとなる。

【写真:新生SUBJECT RECORDSのレーベルロゴ】

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2010年12月15日にLove❤Kitchenのデビューアルバム「Delicious」、2011年にはLocoのデビューアルバム「Stratosphere」をそれぞれCDRでリリース。更に14年ぶりのCDリリースとなるリミックスリレーアルバム「Relation 2 Relation (UGA Sun Remixes)」をリリースするも、その後のSUBJECT RECORDSとしてのサウンドの方向性に迷走(迷い)が生じ、2012年6月のYukiii* (dj yukiの別名義)の「Pon Fa」をリリースしてからはレーベルのコンセプトが見いだせないまま「第4期:終焉期」 として再び休眠状態に入ってしまった・・・。

【写真:Love❤Kitchenのデビューアルバム「Delicious」】
https://www.discogs.com/LK-Delicious/release/3425112

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【写真:Locoのデビューアルバム「Stratosphere」】
https://www.discogs.com/Loco-Stratosphere/release/3425104

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【写真:リミックスリレーアルバム「Relation 2 Relation (UGA Sun Remixes)」】
https://www.discogs.com/Loco-Relation-2-Relation-UGA-Sun-Remixes/release/3424690

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2013年には、心機一転して新レーベル Fantas-Tech Recordsを始動し、原点回帰とも言える純テクノのサウンドを中心に楽曲制作、リリース、ライブを行うこととなり、実質SUBJECT RECORDSの活動は終了していた。

【Fantas-Tech Records】
https://www.fantas-tech-records.com/
https://fantas-tech-records.bandcamp.com/
https://soundcloud.com/fantas-tech-records
https://www.discogs.com/label/630585-Fantas-Tech-Records

そして、2018年8月に飛び込んできた突然のughさんの訃報・・・。

2010年にSatanicpornocultshopがJuke/Footworkサウンドに傾倒して以降はughさんとの関係は疎遠になっていたが、1990年代に様々な刺激をいただいたughさんが逝去されたことはとてもとてもショックな出来事であった。

うすうすと、SUBJECT RECORDSの活動終了についてはどこかで区切りをつけたいと思っていたが、ughさんの逝去がきっかけとなり、2018年9月末をもってSUBJECT RECORDSは正式にレーベル活動を終了した。

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