[Episode.28] ele-kingの某ライターに電話で2時間説教を受けた事件
SUBJECT RECORDSの1st CD「Music For Strange Lovers」の販路を拡大するために、Oui Distributionの山崎さんからは色々なアドバイスをいただいた。
【写真:CD発売時に配りまくったチラシ】
【写真:上記のチラシの元ネタ(右のページはCDの帯に書くフレーズの候補)】
【写真:販促用のCDの説明文】
そのアドバイスのひとつに「以前、ele-kingでSUBJECT RECORDSのことを紹介してもらっていたでしょ。その紹介してもらった方にプロモCDを送って、色んな雑誌などでレビューを書いてもらったらどう?」というものがあった。
確かに、ele-kingには色々とお世話になっており、更なる関係性を深めるためにele-king編集部だけではなく、当時SUBJECT RECORDSの事を紹介いただいたライター(以下:Xさん)の住所を山崎さんからお聞きして、こちらの連絡先を添えてプロモCDをお送りした。
プロモCDを送ってしばらく経ってもXさんからは音沙汰が無く、その状況を山崎さんに伝えたところ「Xさんに直接電話をして、レビューを書いてもらえるかどうか確認してみなよ。」とのアドバイスをいただいたので、またしても山崎さんからXさんの連絡先をお聞きして、少々緊張しつつ思い切ってXさんに電話をかけた。
幸いにも在宅されていたようで、Xさんは電話に出られた。
「SUBJECT RECORDSの中田と申します。あの・・・、先日CDをお送りさせていただいたのですが、お聴きいただけましたでしょうか・・・?」
そう聞いた直後に、Xさんから全く想像しなかった反応があった。
「お前、フザけてるのか?」
正直、Xさんが電話の向こうで怒っていることはわかったが、なぜ怒っているのかよくわからなかった・・・。
「何、あのフザけたCDは?」
「Music For Strange Lovers」のことである。確かに、あのCDのジャケットにはフザけた要素があって、そのことが気に障らなかったらしい。
「お前、フザけたCDを作ってさぁ・・・、音楽をナメてるの?」
確かにジャケットはフザけた部分があったが、CDの中身のサウンドはサブジェクトオールスターズが自信を持ってお送りできる内容であった。
しかし、Xさんはあのジャケットを見て、中身のサウンドを聞く気すら起きなかったようで、そこから電話越しに僕はXさんから延々と説教を受けることになる・・・。
怒っているので、とにかく怒りを治めようと平謝りをするが、Xさんの怒りは全く治まらない・・・。
10分、20分、30分・・・、電話での説教は延々と続いた。
さすがにここまで説教が続くと、最初はマジメに受け取っていたが、段々と集中力も切れていく。
「お前らのようなフザけたようなやつがいたから、パンクムーブメントも終わったんだぞ。お前らもテクノのムーブメントを壊す気か?」
いやいや、テクノって僕らのような若輩者によって壊れるような脆いもんじゃないでしょ~等と、もちろん面と向かっては言わなかったが、途中からはXさんの発言に対して心の中でツッコミを入れ始めるなど、徐々にフマジメな態度を取り始める僕。
電話での返事も「ハイ・・・、ハイ・・・。」と適当な相槌で済ませ、「うわぁ、今、もう1時間も電話で説教受けてるわ。何やこの状況は・・・。」って感じで、自分の置かれている状況を俯瞰しながらXさんの説教が終わるのを待っていた。
60分、70分、80分・・・、まだ続くんかい!
結局、2時間近くの説教を一方的に受けた。最後まで平謝りするポーズを続けた結果、Xさんの怒りが治まったのか治まらなかったのか分からなかったが、ようやくその電話を切ることになった。
10分か20分くらいの説教であれば、「本当にすみませんでした。」という謝罪の気持ちでいっぱいになって反省したのだろうが、さすがに120分の説教を受け続けると、反省する気も失せるということがわかった。
とはいえ・・・、真剣に制作した楽曲をリリースする際に、それとは全く関係の無いフザけたギミック等を入れると、本来聴いて欲しい音楽を聴いていただけない場合もあるということを、この長い説教から学んだ。
以降、SUBJECT RECORDSはリリース作品にフザけたギミックは入れることは控え、あくまでも楽曲を主役にするスタンスを取ることにしたのである。
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