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Squier VM Jazzmaster インプレッション

手に取っての第一印象は、「軽い!」「指板がフラット!」という感じでした。音は出力が高く、嫌な高域や音詰まりもありません。

無改造のフェンダージャパンより使い易いサウンドです。

外観はポールピースの面取りもUSA(AVRI '62)ほど酷くはなく、ボディの色も複数種類から気に入ったものを選べます。ネックの色もビンテージを意識したアンバーで、ジャズマスアレンジのヘッドロゴも手が込んでいます。ピックアップカバーに「Duncan designed」と書いてあるのはイマイチですが、シンナーでこすれば消えてしまいます。ヘッド裏にはシリアル番号がプリントされていますが、こちらもシンナーを付けると溶けてしまいますので注意が必要です。サイドポジションマークは指板とグリップの間にセットされています。(フェンダージャパンはグリップ側にポジションマークが打たれています)

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初期状態でネックは順反り。ブリッジは下がり切って正しく機能しない。トレモロはバネがゆるゆる。オクターブも合っておらず弦高も高めというほぼ未調整と言っていい状態ですが、全く弾けないという訳ではありませんでした。値段を考えればこんなものだと思います。

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ナットは灰色のプラスチック製でカモメ型ストリングガイドはスクワイヤー用にアップグレードされたものが使用されています。PUキャビティーには丁寧に導電塗料が塗布されており、アースはブリッジのスタッドからキャビティー内に伸びています。

私の入手した個体のネックポケットにシムはありませんでしたが、モノによってはシムが挟まれている個体もある模様。ネックポケットには塗装が乗っていません。ブリッジの高さ調節ネジは黒いとがり先でJPNと同じものでしょう。サドルの溝幅はしっかりと2種類用意されています。PUカバーを固定するネジはビンテージと比べて少し長いものが使われています。

PU下のスポンジはPU裏に固定されており、中にはスプリングが仕込まれています。2つのPU下の導電塗料部分にはアースラグが止められており、導電塗料を介してコールドに落ちています。ピックガードのプリセット部分の四角い穴はルーターで開けられているのか、角が丸いままとなっています。

ペグは少し軽い気がします。ニッケルメッキで下地は銅メッキです。

ピックアップ底面ボビンとカバーは黒い樹脂で接着されています。また、ピックアップ上面も接着剤でカバーと接着されており、カバーとピックアップを分離するのに一手間かかります。ピックアップは肌色のウレタンワイヤーで巻かれており、フロントは抵抗値が低く約6.6kΩ、リアは高出力で約11.8kΩでした。ボビンはファイバーに見せかけた成型ボビンのため、ポールピースのみを取り外すことも可能です。

プリセットのトーンは50k、他は1Mのポットが使われており、ポットはAlpha製でした。

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フローティングトレモロはトレモロロックがオミットされたスクワイヤー独自のものですが、フェンダージャパンやサードパーティ製のユニットとは異なり、弦間ピッチが54.3mmというオリジナルに近い仕様です。これはブリッジの弦間ピッチに合わせられており、フェンダージャパン等でよく問題になる低音弦の弦落ちが発生しにくいようにデザインされています。ブリッジにはフェンダージャパンと同じものが流用されているのではないかと思います。

ネック、ボディー共にポリエステル塗装、ボディーは着色層の下に非常に分厚いサンディングシーラー層があります。材はバスウッドです。

総じて全体的にとてもよく設計されたジャズマスターです。ピックアップ、弦間ピッチ、指板アール等、ユーザーがつまづきがちな点をうまく設計変更で補っており、出荷時の状態がイマイチとはいえ、しっかり調整すればメインギターとしてライブハウスで活躍できるポテンシャルがあります。この値段でよくぞここまで。という印象。

アップグレードのポイントはまずは生音に関連するペグとナット、ブリッジです。出力が高すぎてバンドの中でヌケないという場合はピックアップの交換を検討しても良いと思います。

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