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日本の楽器人口は10.9%

日本の楽器人口はDIY人口と同じぐらい

ちょっと前に平成28年度の社会生活基本調査の結果が出ていた。

これによると楽器の演奏を趣味にする人口は1,240万人。平成23年の調査時は1,092万人だったので、少し増えた。

この数字は編み物・手芸を趣味とする人口や、日曜大工を趣味とする人口と同じぐらいで、料理を趣味とする人口より少し少なく、パチンコを趣味とする人口より少し多い。そのくらいの人口だ。

日本の人口を1億1,330万人とした統計なので、楽器演奏人口の割合は10.9%。日本では10人に1人が何らかの楽器演奏を趣味にしているということになる。

ちなみに男女別で見ると、楽器の演奏は男性よりも女性の割合が高い。

調査結果は総務省のサイトで無料で閲覧できる。

各世代で前回調査時より人口が増えている

5年ごとに行われている調査なので、世代別の人口は単年度で見るより5年前の調査との比較で見た方が面白い。平成23年から平成28年の5年間で各世代の構成人口は下記のように動いた。

10〜14歳: 1,860千人 → 1,790千人
15〜19歳: 1,433千人 → 1,456千人
20〜24歳: 1,016千人 → 1,061千人
25〜29歳: 839千人 → 891千人
30〜34歳: 837千人 → 942千人
35〜39歳: 986千人 → 1,018千人
40〜44歳: 879千人 → 1,013千人
45〜49歳: 735千人 → 797千人
50〜54歳: 568千人 → 725千人
55〜59歳: 472千人 → 577千人
60〜64歳: 461千人 → 597千人
65〜69歳: 314千人 → 649千人
70〜74歳: 254千人 → 390千人
75歳以上: 260千人 → 495千人

10万人以上の変動がある所は太字にしたが、ご覧の通り「10〜14歳」で7万人の減少が見られるものの、その他の世代は軒並み人口が増えており、特に50歳以上の伸びは顕著だ。

実は、前回の調査から5年経ったので、それぞれの世代は1つずつずれている。平成23年の時に10〜14歳だった世代が平成28年の時にどうなったか?という風に見るために、平成28年のデータを1世代ずらして比較すると下記のようになる。

平成23年当時 10〜14歳: 1,860千人 → 1,456千人(平成28年15〜19歳 )
平成23年当時 15〜19歳: 1,433千人 → 1,061千人(平成28年20〜24歳 )
平成23年当時 20〜24歳: 1,016千人 → 891千人(平成28年25〜29歳 )
平成23年当時 25〜29歳: 839千人 → 942千人(平成28年30〜34歳 )
平成23年当時 30〜34歳: 837千人 → 1,018千人(平成28年35〜39歳 )
平成23年当時 35〜39歳: 986千人 → 1,013千人(平成28年40〜44歳 )
平成23年当時 40〜44歳: 879千人 → 797千人(平成28年45〜49歳 )
平成23年当時 45〜49歳: 735千人 → 725千人(平成28年50〜54歳 )
平成23年当時 50〜54歳: 568千人 → 577千人(平成28年55〜59歳 )
平成23年当時 55〜59歳: 472千人 → 597千人(平成28年60〜64歳 )
平成23年当時 60〜64歳: 461千人 → 649千人(平成28年65〜69歳 )
平成23年当時 65〜69歳: 314千人 → 390千人(平成28年70〜74歳 )
平成23年当時 70歳以上: 514千人 → 495千人(平成28年75歳以上 )

これを見ると、それぞれの世代が5年後にどうなったのかがわかる。
こうして見ると、各世代の人口の増減がより分かり易い。

若い世代は減り、シニア世代のプレイヤーが増えた

数字を元に勝手に妄想するとこんな感じだ。

幼少期や学生時代に楽器演奏を趣味にした人達は、30歳ぐらいまでにかなりの数が楽器をプレイすることを辞める。
きっと音楽の他に楽しいことを見つけるんだろう。部活やサークル活動かもしれないし、恋愛かもしれないし、学業に勤しんだり、バイトに精を出したりするのかもしれない。もしかしたらプロを目指して挫折してしまう人もいるかもしれない。

いずれにせよ、10歳〜29歳までの20年で半数以上が楽器演奏を趣味にすることを辞め、180万人以上いた世代別の楽器人口は90万人以下になる。

そして周りの友達が結婚し始める30歳ぐらいから徐々にみんな戻ってくる。昔の友達に会いにくるように、少しずつまた楽器を触る人が増える。

仕事や家庭に忙殺される40代でまた楽器人口が減る。これは一時的に楽器に触れなくなるだけかもしれない。仕事やライフイベントの落ち着いてくる55歳以降でまた楽器を手にする人口が上昇していくからだ。

10〜14歳の32%は楽器演奏が趣味

ここで別の調査も参考にしたい。国勢調査だ。
国勢調査による人口推計を見ると、平成28年1月1日時点の10〜14歳の人口は5,585千人だ。この世代の楽器人口は1,790千人だから、10〜14歳では同世代の32%が楽器を趣味にしていることになる。

前にも述べた気がするけれど、楽器人口を増やすアプローチには
・楽器を始める人を増やす
・楽器を辞める人を減らす
の2種類しかない。

ただ既に32%もある若年層の楽器人口をこれ以上増やすのは難しい。そこから20年で半減してしまう離脱組に手を打つ方がずっと筋がいいと思える。

例えばフェンダーが近年力を入れているFender Playは同じような分析を元に考えられたサービスだ。
まだ日本語対応していないが、オンラインのギター学習システムということで、2017年に登場した。
フェンダーによれば「ギターにトライした人のうち実に90%が1年後には挫折してしまう」そうだが、日本では「弾いてみた」動画やネット上のコンテンツが、近年そうした挫折を防ぎ、下支えする構造もできつつあると感じているし、将来的にはこうしたコンテンツが楽器人口を底上げしていくことになるだろう。

実は僕もギターをもう少し上達させたい。オンラインで効率よく練習できるのであればチャレンジしたいと思っている。

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