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BOSS MT-2でトランスペアレントなドライブペダルを作る

BOSSの有名ペダルを解析しながら自分好みのローゲインなオーバードライブペダルに改造することに何故かハマってしまって3台目。
メタゾネでお馴染みのMT-2メタルゾーンに取り掛かります。
素敵なオーバードライブサウンドのギタリスト、足元をふと見るとメタルゾーンが一台…
格好良くないですか?


とにかくEQが補正されまくっている

MT-2のコア部分の回路は概ねこんな感じです。1、3、4、5の4セクションでイコライジングし、原音をいじりまくっているペダルです。

  1. プリEQ

  2. DIST(ゲイン)コントロール

  3. ポストEQ

  4. HIGH・LOWコントロール

  5. MIDDLE・MID FREQコントロール

プリEQとポストEQの両セクションはペダル内であらかじめ設定された固定のイコライザーです。ここでかなり極端な音作りがされているのがMT-2の特徴でもあり扱いの難しいところでもあります。

今回、4. HIGH・LOWコントロール、5. MIDDLE・MID FREQコントロール についてはいじりません。

回路図は例によってネットから

プリEQ

ジャイレーター外し(C035: Remove)

C035、R053、Q010は1KHz を中心としたバンドパスフィルターとして機能するジャイレーター回路です。C035を取り外すことで、この回路自体を切り離してしまいます。

低域と増幅率を調整(C033: 0.068UF、C034: 0.15UF、R046: 33k)

C033とR043はハイパスフィルターとしてICにインプットされる低域の量を決めています。C033を0.068UFに変更することでより低い帯域までICに入力するように変更します。
R044とC034、R046、R054はジャイレーターを取り外したプリEQの増幅率と増幅時にカットされる低域を決めています。C034を0.15UFに変更してより低域まで増幅されるようにし、R046を33kに変更して増幅率を下げます。R046ではなくR054の値を増やしたり、R044の値を減らすことでも増幅率を下げることができます。

出口で音量と高域を調整(R042: Remove、C031: Remove、R045: 1k)

R045、R042、C031で全体の音量と高域のロールオフを実現しています。回路を極力シンプルにするために高域に関するR42とC031は取り外してしまい、R045を適当な値に補正して次のDISTセクションに送ります。

SD-1やDS-1に比べてパーツ点数が多いので、使っている抵抗も小さくなっています。

DIST(ゲイン)コントロール

低域の調整(C029: 0.068UF)

C029とR040でハイパスを形成し、ICに送る低域をカットしています。C029の値を変更してより低い帯域まで次のセクションに送ります。

ローゲイン化(R051: 10k)

R051はミニマムのゲインで2倍。ボリュームポットVR01が250kなので、最大252倍の増幅をする回路です。ゲインを下げるのに最も有効なのはボリュームポットの値をもっと小さなものに変更することですが、ポットは変更せずに抵抗の置き換えだけで調整します。シンプルにR041の値を少し引き上げ10kとしました。

ダイオードクリッピング(D004: 1N456A、D003: 1N456A)

ここはお好みで。多くのmodで1N4001や赤色LEDが採用されています。私はこれまでにいじったSD-1やDS-1と弾き比べるために1N456Aを使いました。バリバリ言わず、ジュワッとにじむ感じ。

2本使うのをやめて1本だけ取り外してしまうという手もありますし、2本とも取り外してしまうという手もあります。ここは調整のバリエーションが多い。

出口で高域を調整(R032: 4.7k、C023: 6800pF)

R031とC023でロールオフさせる帯域を。R032とR031でその割合を決めます。ここでは4.9kHz以上を少しカットする設定としました。

回路図を印刷してメモを取りながら一歩一歩耳で確認

ポストEQ

EQ外し(C020: Remove、C024: Remove)

ここで積極的にEQを調整する気がないので、ポストEQではほぼ音量の調整のみにします。C020とC024を外すことでジャイレーターを含む2つのEQを切り離します。

音量のコントロール(R30: 10k、R026: 47k)

R030とR026を増やし、ローゲイン化で不足した音量を持ち上げます。

スパイス

バイアス電圧を下げる(R057: 8.2k)

R057を調整してバイアス電圧を少し下げます。音質的には少し濁る感じになります。

見た目は全く変わりませんが、音は別物

まとめ

メタルの歪みを作り出すために、かなり大掛かりなEQ補正がされているペダルを、EQ付きのオーバードライブペダルに改造するということで、方向性は「余計なことをしないようにする」という内容になりました。

どうしてもフィルター感が拭えなかったところ、最後に「そうだ、ポストEQを外してしまおう」という境地に達したのが良かったと思います。

音質的にはこれまでにいじったSD-1とDS-1のちょうど中間に落ち着いた感じで、EQがあるのでかなり器用なペダルになりました。

おまけ

ハンダ不要mod(C035: Remove、C020: Remove、C024: Remove)

MT-2の不自然なEQだけをなんとかしたい場合は、ペンチで下記を取り外すだけでも改善が見込めるはずです。

C035
C024
C020

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