見出し画像

inSANe『mimiEden』

▯mimiEdenトレーラー



縁も所以もない大人と子ども

君たちは二人きりで暮らしてきた

世間とは隔絶された

二人きりの 世界で


inSANe mimiEden


▯mimiEden概要

『mimiEden』は以下の同舞台別視点のふたつのシナリオの総称です。
片方のシナリオのPLをしてしまうと、もう片方のシナリオの背景も知ることとなります。


▮Aside
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
PC1:子ども(14~18才固定) 『 瓶詰の蛹 』

▮Bside
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
PC1:大人(28才以上30代前半固定)  『 空のうつわ(からのうつわ) 』

▯前書

本シナリオの内容はすべてフィクションです。
登場する人物・団体・名称等は実在するものとは一切関係がありません。
作品内には不快感を感じさせる表現を使用している場合があります。
これらはシナリオ上の題材における多様な表現を目的としたものであり、
特定の思想、感情、行動、暴力、差別を非難あるいは助長するためのものではありません。

「mimiEden」は深海天文部が2019年(初版)に頒布した『独奏 -solist-』に収録していたシナリオの再録です。

▯権利表記

本作は、「河嶋陶一朗」「冒険企画局」「株式会社新紀元社」が権利を有する『マルチジャンル・ホラーRPG インセイン』の二次創作物です。
(C)河嶋陶一朗/冒険企画局/新紀元社

▮参考文献 
『マルチジャンル・ホラーRPG インセイン』
(2013 年初版第4 刷) 株式会社新紀元社 河嶋陶一朗/ 冒険企画局著
『インセイン2 デッドループ』
(2014 年初版第2 刷) 株式会社新紀元社 河嶋陶一朗、魚蹴/ 冒険企画局著


⚠️注意事項⚠️

  • 本シナリオはR-18です。
    18歳未満の方の閲覧は固くお断りいたします。

  • 本シナリオは以下を含みます。 
    流血、暴力、殺人描写。幼い子どもに対する虐待描写。
    これらの内容を改変しやわらげたとしても、発生している事件などをシナリオ内でなかったことには出来ません。
    非常に人を選ぶ内容となっています。
    弊サークルのシナリオを未読未プレイの方がPLする場合は、プレイ前にGMとの相談を要推奨です。

  • 本シナリオはPL1 名+GM1 名で遊ぶ形になっております。

  • シナリオルールとして、PCはすべてのアイテムを自分に使用できるとします。
    『秘密』、『真の使命』の存在しないPCHO のキャラクターが『回想』を行う場合、その時点で獲得している『HO の秘密』を元に演出を行うとします。

  • 弊サークルはシナリオの利用規約、注意事項を設定しています。
    セッションを始める前に必ず以下をご一読ください。

    深海天文部シナリオ利用規約
    シナリオ注意事項



『 mimiEden - SideA - 瓶詰の蛹 』


▯トレーラー

君たちはその小さくうつくしい世界に
ふたりきりで暮らしていた

この暮らしがいつまでも続くのだと
信じて疑わなかった

あの日までは、確かに信じていたのだ───

mimiEden SideA

瓶詰の蛹

▯レギュレーション

  • リミット:7サイクル

  • WS:本当は怖い現代日本

  • 狂気カード:4枚

  • シーン表:オリジナル (1D6)

  • 舞台:森の奥のコテージ


▯PC、NPCハンドアウト


■PC1:子ども(14~18才)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
君の最も古い記憶はNPCのこと。
心やさしいNPCのことを君はとても好いている。
君はもうすぐ、大人になる。

君の【使命】は
『いつまでも幸せに暮らす』ことである。

初期狂気:1

■NPC:大人(28才以上30代前半固定)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ふたりで初めてとった食事はコンビニ弁当。
味気ない食事もPC1と囲めば楽しいものとなる。
君はとても、PC1を好いている。

君の【使命】は
『いつまでも平和に暮らす』ことである。



『 mimiEden - Sideb - 空のうつわ 』

▯トレーラー



重い瞼を上げると目に入るのは白、白、白、白一色だ
目を覚ますと、病室らしき白い部屋の白いベッドに横たわっていた
鏡へ視線をやれば、随分と老け込んでしまった自分が見える

君は十年分の記憶をすっかり失くしてしまったのだよ

白衣をまとった医者らしき男は
そう不便はないだろうから経過を見て行こうと、苦く笑った

言われてみれば、頭が妙にすっきりと空っぽな気がした
白い空間のなか、唯一色を持った見覚えのない子どもが言う

ねぇ、はやく、帰ろうよ…──

袖を引く不安そうな子どもは、「自分はあなたの身内だ」と言った

mimiEden SideB

空のうつわ

▯レギュレーション

  • リミット:7サイクル

  • WS:本当は怖い現代日本

  • 狂気カード:5枚

  • シーン表:オリジナル (1D6)

  • 舞台:森の奥のコテージ


▯PC、NPCハンドアウト

■PC1:大人(28歳以上、30歳前後固定)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
君にはここ10年の記憶がない。
君の【使命】は『記憶を取り戻し真実を知る』ことである。

初期狂気:1

■NPCHO:子ども(14~18才固定)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
君はPC1と二人きりで暮らしている。
君はもうすぐ、大人になる。
君の【使命】は『いつまでも幸せに暮らす』ことである。



※以下よりGM情報※









▯本シナリオにて使用している略称一覧 


GM:ゲームマスター    PL:プレイヤー      RP:ロールプレイ
PC:プレイヤーキャラクター   NPC:ノンプレイヤーキャラクター
WS:ワールドセッティング   HO:ハンドアウト
OP:オープニングフェイズ    
MS:マスターシーン       ED:エンディングフェイズ


『瓶詰の蛹』シナリオ本編

▯シナリオ背景

PC1は幼い頃、ネグレクトを受けていた。
必要のない時には押し入れに閉じ込め、機嫌の悪い時には暴力を受け、
気の向いた時だけ気まぐれに可愛がられる。
小さな心は限界だったが、幼過ぎる為に異常には気付けない。
そんなPC1をNPCは見つけてしまった。
近所に住むNPCは時々窓辺にいるPCを見つけては、腹を空かせたPC1に菓子ややさしい言葉を与えた。
しかしある日、尋常ではない泣き声を耳にしたNPCはPC1の家に忍び込み
両手両足を拘束され閉じ込められているPC1を見つけた。
このときNPCも若かった為、『正しい判断』というものがなんなのかわからなかった。
こんな行為は許せないという気持ちに任せてNPCはPCを攫う。
そしてコテージへ連れていき、傷の手当てや食事の面倒などをみた。
その後どうするかNPCは悩んでいたが、答えの出る前にPC1の不在に気付いた母親が執念で居場所を見つけてしまう。
母親はネグレクトをしようが子どもへの執着は持っている。
それが母の愛情なのかはわからないが、彼女は力ずくで我が子を取り返そうとした。
抵抗するNPCは誤って母親を殺害してしまう。
若いNPCは母親の遺体をコテージの中庭へ埋めて隠した。
そのままNPCは現実から目を背けるように、コテージを去る。
そして現場から遠く離れたマンションにて、PC1と二人きりの生活を始めた。

10年という長い時を共に過ごすうちに、いや、もしかしたら。
窓辺で声をかけたときから、NPCはPC1へ愛情を持っていたのかもしれない。(not恋愛感情)

大人になろうとしているPC1を前に、NPCは悩む。
PC1にとって自分は親の仇である。
真実をすべて話すべきではないだろうか。
いまからでも自首をすべきではないだろうか。共に暮らすことで自分は贖罪でもしているつもりなのだろうか。
何より、PC1を自由にしてやるべきではないだろうか、と。
答えを出す為にもすべての事の始まりであるコテージへNPCはPC1と共に向かう。

そこでは、10年という月日を『恨む』という感情にのみ傾け続け
怨霊となってしまった母親の霊がいる。

こうして、本シナリオ舞台の出来上がりである。
PC1はこの先どんな道を選び、どのように歩いていくのか。
そこに自分はいるのか、いないのか。
PC1はどんな大人になるのか。
答えの出ない疑問を胸に、NPCはPC1を見守る。


▯PC、NPCハンドアウト、秘密


■PC:子ども (14~18才)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
君の最も古い記憶は{NPC}のこと。
心やさしい{NPC}のことを君はとても好いている。
君はもうすぐ、大人になる。

君の【使命】は
『いつまでも幸せに暮らす』ことである。

初期狂気:1【敵か味方か】

【秘密】
ショック:なし
君の最も古い記憶は暗く狭い部屋。
幼い君は何故か両手両足を拘束され、ただただ泣いていた。
そんな君を途方に暮れた表情で{NPC}が見ている、そんな記憶だ。
それ以前の記憶はない。忘れてしまったのかもしれない。
暗い部屋周辺の記憶も酷く曖昧でよく覚えていない。
はっきりした記憶は今現在、君と{NPC}が暮らすマンションの部屋での暮らしだ。
君は{NPC}とふたりきりでずっと暮らしてきた。
君は学校に行ったことがないが勉強は{NPC}が教えてくれた。沢山の本も{NPC}がくれる。
君はいまの生活に不便を感じたことはない。
とてもやさしい{NPC}のことを君は好いている。

しかし、とある本を読んでしまってから君は悩んでいる。
その本は、誘拐され監禁されている少女の話だった。
彼女と自分の境遇はとても似ている。
もしかしたら、自分は幼いころ{NPC}に誘拐されたのではないだろうか。
胸に抱いてしまった疑問は晴れない。

君の【真の使命】は、
『今後の人生も幸せに暮らしていく』ことである。


■NPC:大人(28歳以上、30才前後)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ふたりで初めてとった食事はコンビニ弁当。
味気ない食事も{PC1}と囲めば楽しいものとなる。
君はとても、{PC1}を好いている。

君の【使命】は
『いつまでも平和に暮らす』ことである。

【秘密】
ショック:PC1
君は10年前、{PC1}を誘拐した。
それ以降、彼を誰にも会わすことなく、どこにも連れ出すことなく
小さな世界へ閉じ込めて、ずっとふたりきりで暮らしてきた。
けれど{彼}もそろそろ大人になる準備を始める年齢である。
この先歩む道は自分で選ばせなければならないだろう。
君はそう考えている。

君の【真の使命】は、
{PC1}を自由にすることである。


▯マップ


位置関係はわからなくても困ることはないのですが、一応マップがあります。
深海天文部のBOOTHショップにて透過マップとトレーラー画像をフリー配布をしていますので、ご入用の方はそちらからDLをお願いします。


▯狂気カード

:4枚
【パニック】【恐怖症】【盲目】【挙動不審】

▯シーン表

:1d6

1:ぎしり、ぎしり、床板を軋ませて歩く音が廊下から聞こえる。ここには二人しかいない筈なのに。

2:ピチチ……、鳥の囀りに気持ちも和む。格子越しでも空は広く美しく見えた。

3:どこからともなく鉄臭い匂いがした。気のせいだろうか。この匂いを自分は知っている。

4:窓辺の陽だまりに立つと木の香りに包まれた。空気が澄んでいて気分もよくなる。

5:さらさらと小川の流れる音が聞こえる。冷たい水に触れてみたくなった。

6:するりと黒い何かが横切る。ふわりと揺れる黒い影に何故だか心惹かれた。

※GM情報※--------------------------------------
本シナリオではエネミー『髪の長い女の霊』とCXにて戦闘を行い勝者にならない限り、NPCが憂いなく生還する道はない。
PCの選択肢を狭めない為にも『中庭HO』の調査が必須になってくる。
シーン表の1、6、は中庭へのヒントにもなっている。
5サイクルを越えても中庭HOの調査が進んでいない場合
1,6のシーン表の内容をPCが気にするならば、物音や追跡などでゾーキングを行い、成功情報として「足音や黒い影が中庭方面へ消えた」とするとよいだろう。
サイクルが進んでも同じシーン表ばかりで上記のようなことが出来ない場合
一度出たシーンは除き、出来るだけ多くのシーン表が出るようにしてもいいだろう。
------------------------------------------------------

▯NPC、エネミー

 ■NPCサンプル


男性 29才 翻訳家

生命力:6 正気度:6
好奇心:情動 恐怖心:埋葬
特技:《憂い》《教養》《破壊》《痛み》《整理》《人類学》

・アビリティ
【基本攻撃】 攻撃  《破壊》
【かばう】 サポート 《痛み》
【資 産】  装備   なし
・アイテム
お守り×2、鎮痛剤×2

▼感情について
NPCはシナリオ開始時点でPC1に対し【愛情】の感情を所持している。
感情判定にPC1が成功した場合、プラスの感情を選択し上書きする。

▼戦闘について
・メインサイクル中に戦闘が発生した場合、PC1に対する感情を所持している為、乱入する。
この戦闘にNPCが勝利したとしても【戦果】は何も求めない。
・PCがダメージを受ける際は必ず【かばう】もしくはブロックを行う。
・生命力が0になるとエネミーの呪いを受け死亡する。

▼行動基準:〈PCを自由にする〉
・己のことは後回し、何よりもPCを幸せにすることを最優先事項とする。
殺人という大きな罪を犯してしまい、その状況から逃げたことを悔いている。後悔とともに生きている人物である。
PC1に対し最早家族のような愛情を持っているが、
己の犯した罪と、「PC1にいつかは罪を告白し離れなければならない」という思いを胸に暮らしてきた為、完全にPC1と向き合うことが出来ずにいる。
RPをする場合にはただ甘いのではなく、向き合うことにより苦悩が生まれることを意識すること。
⚠️⚠️⚠️PC1がNPCを疑う余地がなくならないよう注意が必要⚠️⚠️⚠️
上記の部分を改変してしまうとシナリオバランスが崩れてしまう恐れがある。この為この部分は改変非推奨である。
・アイテムはすべてPC1の為にのみ使用もしくは譲渡する。
・サンプルは家族とは絶縁もしくは死別しており、
生前分与もしくは遺産である財産を食い潰しつつ、片手間に仕事をしている孤独な翻訳家。
と、シナリオ上都合がいいように作ってある。詳細はGMの任意とする。
状況的に職業は在宅勤務のできるものが望ましいと思われる。
結果的に陥ってしまったことであり情状酌量の余地はあるが、『殺人』という行為自体は避けようがない為、キャラクターの精神状態を慮って警察関係者はやめた方がよい。(出来れば禁止したい)
また、年齢も10年前の事件発生時にいい大人であると判断がおかしいことになる。この為、28歳以上30代前半くらいまで、という範囲内で設定すること。

 ■エネミー

『髪の長い女の霊』
脅威度:4 属性:怪異 生命力:13
好奇心:情動 特技:《焼却》《恥じらい》《恨み》《人類学》《霊魂》
・アビリティ
【基本攻撃】 攻撃  《恨み》
【連 撃】 サポート 《焼却》
【報 復】 サポート 《人類学》

▼戦闘について
・己の子どもに多少なりとも愛情のようなものを未だ残している母親の怨霊は、1度はPC1へ攻撃するがその接触により『PC1は自分の子どもである』と認識し、次ラウンドからは一切攻撃しない。
その後はNPCのみを標的とする。
・メインサイクル中の戦闘に母親の怨霊が勝利した場合、
PC1の『忠誠』の【感情】を戦果に求める。

▼行動基準:〈NPCが恨めしい〉
・髪の長い女の霊はNPCに対し強い恨みを持っている。
己を殺した者への復讐を願い存在し続けた彼女は怨霊になってしまった。
この為、執拗にNPCを襲う。


▯オープニングフェイズ


※注意事項※

  • ココフォリア様やTeykey様などのWebサービスを使用したオンラインセッションを想定している為、描写や情報にあるPC1、NPC、NPCの一人称は{}をつけている。

  • NPCの台詞は一例である。口調などが気になるGMもいるだろう。キャラクターに合わせて改変推奨。



君たちは高層マンションの1室で日々を暮している。
君はこのちいさな世界から外へ出たことがない。

外の世界には『季節』というものがあるらしい。
しかし君はそんなものにも触れたことはない。

君が季節の移ろいを感じるものと言えば、
テレビやインターネット、小説や映画など物語の中から得られる情報や
窓から見える景色、吹き込んでくる風、くらいのものだ。

けれど今日{NPC}は初めて、旅へ行こうと扉の外へ君を連れだした。

車窓を流れる景色に見惚れつつ向かった先は、紅葉の始まった森を背負う小さなコテージだった。

「覚えているかな。僕らは10年前にもここへ来たことがあるんだよ」

彼はそっと微笑み、コテージ内を案内してくれる。
白木や椋を贅沢に用いた北欧風の内装は木のぬくもりを感じるが、10年放置していたという言葉通り埃が全面に溜まっている。
ソファやテーブルなど、家具を覆っていた白い布を取り去りながら
「まずは掃除をしなくてはならないね」と彼が笑う。

LDKにバス、トイレ、【主寝室】、【ゲストルーム】、という飾り気のない部屋たちは、ささやかな【中庭】を囲む造りになっている。
君が使うようにと言われたゲストルームのベッドには【古ぼけたクマのぬいぐるみ】が置かれている。
窓からは静かに流れる【小川】が見えた。

「バスやキッチンも使えるように掃除をしてしまうから。君も自分の部屋を掃除しなさい。それが終わったら好きにしていいよ」

彼はそう言って納戸から掃除道具を取出し、まずはキッチンへと足を向けた。

【{NPC}】
【主寝室】
【ゲストルーム】
【中庭】
【古ぼけたクマのぬいぐるみ】
【小川】
以上の初期ハンドアウトを公開

[初期HO公開後追加描写]
ぐるりコテージ内を見回って気付いた。
すべての窓は二重ロックがかかるようになっており、外側には金属製の格子がついている。
玄関扉は何故か内側からも施錠されてある。
鍵がなければ自由に出入りすることもも出来ないようだ。

※GM情報※-------------------------------------
・外へ遊びに出たい、などと頼まれてもNPCははぐらかして扉を開けない。しかし『ここを出ていく、もう一緒にはいられない』といった意味のことを言われ開けてくれと頼まれると鍵を開け、PC1を見送る。

・このコテージはNPCの祖父の持ち物であり、親族内では変わり者で有名であったその人が設計したものである。
人間嫌いだった彼は外界とのつながりを拒絶するようにこのような造りにしたが、若かりし日のNPCはPC1を匿うのにちょうどよいと、逃げ場にここを選んだ。
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▯メインフェイズ

GMはメイン開始前に以下の2点を必ずPLへ伝えること。
・メインサイクル中は各HOを調査する場合それらの部屋をめぐる形となる。
・NPCとの会話を求める場合は調査の前後に、キッチンやバスなどを掃除中のNPCへ話しかけに行くこととなる。

※GM情報※-------------------------------------
・『マスターシーン:遠い記憶』が発生することによりPC1はすべてを思い出すが、NPCにさらわれた前後はまだ幼かった為、難しいことはわからない。わかることはシーン内にて出る描写のみである。それ以上を知ろうとしても想像する、もしくはNPCに聞くしか出来ない。

・NPCはPCを攫ったことに対し、「もっと上手い方法があっただろう」と己の行動を悔いている。
このため問い詰められるなどしても、誘拐したという事実を認めるのみで言い訳はしない。
・NPCが母親の殺人について決して自ら言及することはない。
PC1から問われた場合のみ(お母さんのこと、ころしたの?など)認める。しかし激しい後悔を抱いているので酷く狼狽える。
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▯ハンドアウト

 ■主寝室HO

調度品は大きなベッド、ウッドデスクに簡素な椅子のみ。
それ以外は三方の壁をすべて書棚が埋めていた。
寝室というよりはまるで書斎のような部屋だ。

【秘密】
ショック:PC1
ベッドには藍色のシーツがかけられている。
経年劣化により幾分か古びているように見えるソレにはタグが付いたままだった。値段の書かれたタグも古いように見えるが、折れたり褪せたりなどはしていない。
不思議に思いベッド周辺を見てみると、ベッドの下に押し込まれた黒いごみ袋を見つけた。
ゴミ袋の中には。
元は白だったのだろう、茶色い何かを大量に吸って汚れたシーツが入っていた。既に匂いもしないが、血液のように見える。
書棚を埋めるのは様々な分野の本。
ジャンルを問わない蔵書を眺めていると、低い位置に絵本が数冊並んでいた。それらは小さな子に何度も読まれたのか、ページにめくり癖や手垢がついている。絵本の脇には布で包まれた『錆びたクッキーの缶』が隠すように置かれていた。

【錆びたクッキーの缶】HO公開

 ■ゲストルームHO

木製のベッド、サイドテーブル、ウッドデスクにチェア、
小さな本棚には古びた絵本が数冊、頁の破られたノート、クレヨンが重ねて置かれていた。
本棚の空いたスペースには古ぼけた『クマのぬいぐるみ』が置き去りにされたように転がっている。

【秘密】
ショック:PC1
ベッドマットが僅かにずれており、ベッドとの間に何かが挟まっているように見えた。確認してみると、画用紙数枚がぐしゃりとそこで潰れていた。
幼い子どもがクレヨンで描いたようなその絵には、大きく口を開けた姿でふたりの人物が描かれている。
それは笑っているようにも、怒っているようにも見えた。
誰を描いたかはわからないが、確かに自分が描いたものだと思い出した。
ここに来たことがあると確信するが、その絵に言いようのない不安を覚えた。

《情景》で恐怖判定

※GM情報※-------------------------------------
・絵にゾーキング → 《教養》、《人類学》等で判定

【成功】
黒やグレーなどの暗い色ばかりを使っているその絵は、とても好きな人を描いたものには見えない。
かぱりと開いた口だけは赤く描かれており、喰らわれてしまうといったような恐怖を覚えた。

・ノート、クレヨン、クマのぬいぐるみはPC1の家からNPCが持ってきたものである。それらは古いだけでなくかなり汚れている。
絵本などはNPCが新たに買い与えたものなので汚れは酷くない。

・ノートを見るとの宣言があった場合→判定なしで以下の情報が出る。
『文字の書けない子どもがクレヨンでグシャグシャと書きなぐったページしかない。
こちらも暗い色ばかりでその時の精神状態がよくないと思われる。』

PC1の年齢にもよるが、保育園や幼稚園、小学校などにPC1は通わせてもらえていなかった為、NPCに出会うまで文字は書けなかった。
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 ■クマのぬいぐるみHO

片腕が千切れかけ、ボタンで付けられた目も片方はなくなり糸が飛び出している。茶色い毛並みも何かがべたべたと付着しており、かなり汚れていた。このぬいぐるみの持ち主である子どもは随分と不衛生な場所にいたのではないかと思えた。

【秘密】
ショック:なし
こつり、何か硬いものの感触がする。
よくよく見てみると、クマは背中の縫い目がほつれていた。
クマの腹の中に何かが隠れているようだ。綿を出してみると、中には10センチに満たない小さな『硝子瓶』が入っていた。
コルクの蓋は緩んでしまったのか綿の中へ落ちており、数粒の金平糖も綿へ埋もれ溶けかけている。

ふっと記憶が蘇ってくる。
これはかつての自分の宝物だった。

誰かがくれた、甘くておいしくて、きれいなお星さま。
これがあるから自分は苦しくても平気。
辛くても耐えられる。痛くても大丈夫。
でも、お星さまがすべてなくなってしまったら……
そうしたら、
このびんにおてがみをいれて、たすけをよぼう。
かわにながせば、だれかがきっとみつけてくれるから。

君は幼い頃の決意のようなものを思い出した。
恐怖の対象が何かは思い出せないが、君は常にナニカに怯えていた。

【プライズ:硝子瓶】獲得

 ■プライズ_硝子瓶

 ※調査対象外※
幼子の力で閉めた為ゆるみ外れてしまったようだが、コルクは問題なく使用できる。
子どもの頃に考えていたように、手紙を入れて水に流すことも出来るだろう。

 ■中庭HO

木々や花などなにも植えられていない放置された庭。
雑草が好き放題に生い茂っている。

【秘密】
ショック:PC1
その庭に一歩降り立つと、髪の毛が逆立つような寒気が全身を包んだ。
草の影かと思った小さく黒いソレが、ぶわりと大きく広がる。
『髪の長い女の影』は見上げるほど巨大に膨れ上がり、君をじっとりと睨めつける。

《霊魂》で恐怖判定

※GM情報※-------------------------------------
恐怖判定後、『MS:怨霊』発生※
NPCはPC1に対し【感情】を所持している為、戦闘に乱入する。
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 ■小川HO

ゲストルームの窓も金属製の格子が嵌められている。
格子から手を伸ばすと、透明な流れに触れられそうだ。

【秘密】
ショック:なし
小川はささやかながらもそれなりの水流を持っていた。
上流に周辺地域すべての生活用水を賄っているというダムがある。
上下水道と同様にこの小川も別荘地を走り抜け、山を下りた先にある街まで繋がっている。

 ■錆びたクッキーの缶HO

30センチかける30センチほどの大きさの缶。

【秘密】
ショック:なし
錆びてきしむ蓋を開けて中を見てみると、どうやら工具箱として使われているようだった。
レンチにドライバー、金槌に釘に大きなペンチに針金。
雑多に詰め込まれたそれらの下に、ねじ切られたような手錠があった。

※GM情報※-------------------------------------
・手錠にゾーキング → 《切断》、《機械》、《手触り》等で判定
【成功】
ここにあるペンチでねじ切ったことがわかる。
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 ■髪の長い女の霊HO

中庭にゆらゆらと揺蕩う女の幽霊。
近付くと酷く攻撃的になる。

【秘密】
ショック:なし
乱れた長い髪の隙間から覗く横顔が視界に入り、君は思い出した。
あれは自分の母親だ。

※『MS:遠い記憶』発生※


▯マスターシーン


 ■怨霊

「あの男があたしをころしたあの男が子どもをさらったあたしの子をさらったさらったさらアタあちしあたしをころしたあたしをころしたあたしをころしたあたしをころしたあたしをころしあたしをころ…コロ、ころしコロスころす殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……コろしてやるっ」

深く昏い黒の中で、
耳まで吊り上り、裂けてしまいそうな大きな口だけが異様に真っ赤だった。
髪をふり乱した女の霊が君に襲い掛かる。
戦闘発生。

戦闘終了後、【髪の長い女の霊】HO公開

 ■遠い記憶

途端、フラッシュバックのように瞼の裏へ映像が浮かび上がる。
それは昔に置いてきた遠い記憶。

暗く狭く、汚らしい空間。
小さな君は押入れに隠れている。
共に暮らす母親は機嫌が悪いと暴力を振るうからだ。
こわくていたくて、幼い君は押し入れに隠れている。
彼女の機嫌がいいとき、もしくは外を見たいときは窓辺へと出ていく。

お外に出てみたいけれど、足首には子どもの力ではとても外すことのできない、頑丈な手錠が犬用の鎖で繋がれているので出ることは無理だ。

だから君は、いつも窓から外を見ていた。

ある日通りかかったお兄さんに手を振ると、彼はやさしく笑ってくれた。
君はお兄さんと友達になった。

お兄さんは知らないことを教えてくれた。
お兄さんは君の話を聞いてくれた。
お兄さんは君の頭を撫でてくれた。
お兄さんは君に金平糖をくれた。
お兄さんはやさしかった。

そして───

お兄さんは君をさらってくれた。

すべてを思い出せた。
君は、誘拐された子どもだった。

▯クライマックスフェイズ


※発生条件:すべてのサイクルを終える

※GM情報※-------------------------------------
・PCはどのようなエンディングを迎えるかここで選択しなければならない。
獲得したプライズやHOの秘密によりそれらの可能性は変化する。
・エネミーに対し何の対処もせずにCXを終了すると、恨みの対象であるNPCは数日後、死亡する。
エネミーとCXにて戦闘を行い勝利しない限り、NPCにかけられた呪いは消えない。しかし呪いについての情報はHOの秘密をすべて獲得しても明確には出ない。
CX開始時点で描写例のようにNPCの体調がよくない描写を必ず出すこと。
 NPCの体調に対してゾーキング宣言があった場合↓
 《緊縛》《人類学》《霊魂》等で判定
【成功】
彼の体中に何かがまとわりついているような気がする。不可思議な恐怖感を覚えた。不可視のナニカは彼を捕らえ、離れる様子がない。

・NPCと会話して道を選ぶこともできるが、NPCはすべてをPC1に委ねている。悔いも罪もあるNPCは多くを語らない。
GMは状況に合わせて会話、演出すること。
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[描写例:CX開始]

コテージ内をじっくり一周調べてくると、{NPC}がキッチンで手を洗っていた。
その顔色はここへ来た時よりも、かなりよくないように見えた。
彼は手を拭きながら君へと振り向く。

「掃除は終わったのかい? じゃあそろそろ食事の支度をしようか。
もう少し待っていておくれ」

[会話例]

Q.昔ここで何があったのか?
「過去について、僕が言えることは何もないよ」
「何か見つけた? それならば君が思うようにすればいい。ここには事実しかないのだから」
「昔のことを語る権利なんて、僕にはないんだ……」

[描写:選択]
{PC1}はここで自分の進む道を選択できる。
幼いころ考えていたように、助けを求める手紙をしたため、硝子瓶を小川に流すことも出来るだろう。
{NPC}に頼めば、玄関の扉を開けてくれる。
そこから自らここを去ることも出来る。
{NPC}とともに在ることを選び、ここをふたりで去ることも出来るだろう。
ダレかとの縁を断ち切ることも出来るかも知れない。
大人の階段を登ろうとする君はどの道を選ぶのか。

さぁ、選択のお時間です。


▯エンディングフェイズ

※GM情報※-------------------------------------
以下は一例である。これらにあてはまらない状況の場合、GMはED例を参考に演出進行すること。
---------------------------------------------------

 ■ED1:瓶詰の蛹

※条件:戦闘を行い母親の怨霊を倒し、NPCと共に暮らすことを選ぶ。

[描写]
君は実の母だったものとの縁を断ち切った。
そうして、君たちは自分たちの居場所へと帰る。
ちいさな硝子瓶に詰められたような、
きれいであたたかくやさしい、けれども小さく閉ざされた世界を君は選んだ。

瓶詰にされていたとしても、蛹はいつか羽化する。
皮を脱ぎ羽を広げる君はどこへ飛んで行くのも自由だ。

その隣には、きっと
君を微笑み見つめる{NPC}がいるのだろう───


 ■ED2:羽化する蛹

※条件:プライズ【硝子瓶】を使い、助けを求める。(判定無しで自動成功)
もしくはNPCにドアを開けてくれるよう頼み、ひとりで生きていくことを選択する。
NPCは逮捕されPC1は解放される。牢獄のなかNPCはPC1の母親の怨霊に呪い殺される。

[描写]
そうして、君は自由をその手に得た。
{NPC}は獄中で裁判も待たずに亡くなってしまったと風の噂で聞いた。

君はもうすぐ、大人になる。

羽を得た君はひとりどこへだって行ける。

君を捕らえる者はもういない。
君を閉じ込める者はもういない。
君を邪魔する者はもういない。

君を見守る者も、もういない。

君は、どこまでも自由だ───


 ■ED3:蓋を失くした瓶


※条件:{NPC}と生きていくことを選択する。しかしクライマックスにて戦闘を行わなかった。

[描写]
そうして、君たちは自分たちの居場所へと帰る。

ちいさな硝子瓶に詰められたような、
きれいであたたかくやさしい、けれども小さく閉ざされた世界を君は選んだ。

瓶詰にされていたとしても、蛹はいつか羽化する。
真実を知り少し前へ進んだ君は皮を脱ぎかけ、羽を広げる準備段階といった所だろうか。
美しく羽ばたく蝶を彼もきっと目にしたかったことだろう。

しかし、彼の唯一の望みであるそんな未来は消えてしまった。

コテージから帰宅した数日後。
突如体調を崩してしまった彼は、ベッドから起き上がることなくそのまま死亡した。

君を捕らえる者はもういない。
君を閉じ込める者はもういない。
君を邪魔する者はもういない。
君を見守る者も、もういない。

君は、ひとりだ───


 ■ED4:瓶詰の地獄

※条件:戦闘にてNPCが死亡する。PC1は母親の怨霊に憑りつかれる。
NPCが死亡した時点でPCが生きていたとしても戦闘は終了。強制的にED4となる。

[描写]
そうして、彼は死んでしまった。
けれど君はひとりではない。
『おかあさん』がいる。

これからはおかあさんといつもいっしょ。

いつまでも、どこまでも、
おかあさんは君を離さない。
離して、くれないのだ───



『空のうつわ』シナリオ本編


▯シナリオ背景

NPCは幼い頃、ネグレクトを受けていた。
必要のない時には押し入れに閉じ込められ、機嫌の悪い時には暴力を受け、気の向いた時だけ気まぐれに可愛がられる。
小さな心は限界だったが、幼過ぎる為に異常には気付けない。
そんなNPCをPC1は見つけてしまった。
近所に住むPC1は時々窓辺にいるNPCを見つけては、腹を空かせたNPCに菓子ややさしい言葉を与えた。
しかしある日、尋常ではない泣き声を耳にしたPCはNPCの家に忍び込み、両手両足を拘束され閉じ込められているNPCを見つけた。
このときPC1も若かった為、『正しい判断』というものがなんなのかわからなかった。
こんな行為は許せないという気持ちに任せてPCはNPCを攫う。
一時しのぎではあるが隠れ場所にちょうどいいと祖父の持ち物であるコテージへNPCを連れていき、傷の手当てや食事の面倒をみた。
その後の行動をどうするかPC1は悩んでいたが答えが出る前に、NPCの不在に気付いた母親が執念でふたりの居場所を見つけてしまう。
母親はネグレクトをしようが子どもへの執着は持っている。
それが母の愛情なのかはわからないが、彼女は力ずくで我が子を取り返そうとした。
半狂乱で刃物を向けてくる母親に抵抗するPC1は誤って彼女を殺害してしまう。しかし目撃者はNPCしか存在しない。更に目撃したショックによりNPCは記憶が曖昧になってしまう。PC1は母親の遺体をコテージの中庭へ埋めて隠した。
そのままPC1は現実から目を背けるように、コテージを去る。そして現場から遠く離れたマンションにて、NPCと二人きりの生活を始めた。

10年という長い時を共に過ごすうちに、いや、もしかしたら。
窓辺で声をかけたときから、PC1はNPCへ愛情を持っていたのかもしれない。(not恋愛感情)

大人になろうとしているNPCを前に、PC1は悩む。
NPCにとって自分は親の仇である。
真実をすべて話すべきではないだろうか。
いまからでも自首をすべきではないだろうか。
共に暮らすことで自分は贖罪でもしているつもりなのだろうか。
何より、NPCを自由にしてやるべきではないだろうか。と。
答えを出す為にもすべての事の始まりであるコテージへPC1はNPCと共に向かう。
が、しかし目的地へ辿り着いて早々に事故に遭い、PC1はNPCと過ごした10年分の記憶を失ってしまった。

オープニングフェイズ時点でのPC1の記憶はNPCと会う以前のものである。
体調に問題はないため医師に帰宅を促されたPC1は、NPCと共にコテージへと向かう。
10年前のこの場にてNPCとPC1は共に暮らし始めたが、諸々のショックによりNPCの当時の記憶もほぼないに等しい。
そして、このコテージでは。
10年という月日を『恨む』という感情にのみ傾け続け、怨霊となってしまった母親の霊がふたりを待っていた。

こうして、本シナリオ舞台の出来上がりである。
記憶を取り戻し、真実を知ったPC1はどのような選択をするのか。
PC1と共に記憶を取り戻していくNPCは何を感じ、どのような選択をするのか。
互いに不信と不安を胸にしつつも、PC1とNPCは現実に向き合わなくてはならない。

▯PC1、NPCハンドアウト


 ■PC1:大人(28才以上30歳前後)

君にはここ10年の記憶がない。
君の【使命】は
「記憶を取り戻し真実を知る」ことである。

初期狂気:【なぜ自分だけ?】

このHOの持ち主に【秘密】はない。
【回想】を行う場合はその時点で獲得しているHOの秘密などを元に演出を行うこと。

 ■NPCHO:子ども(14~18才)

君は{PC1}と二人きりで暮らしている。
君はもうすぐ、大人になる。

君の【使命】は
「いつまでも幸せに暮らす」ことである。

【秘密】
ショック:PC1
君の最も古い記憶は暗く狭い部屋。
幼い君は何故か両手両足を拘束され、ただただ泣いていた。
そんな君を途方に暮れた表情で{PC1}が見ている、そんな記憶だ。
それ以前の記憶はない。忘れてしまったのかもしれない。
暗い部屋周辺の記憶も酷く曖昧でよく覚えていない。
はっきりした記憶は今現在、君と{PC1}が暮らすマンションの部屋での暮らしだ。

君はPC1とふたりきりでずっと暮らしてきた。
君は学校に行ったことがないが勉強は{PC1}が教えてくれた。沢山の本も{PC1}がくれる。
君はいまの生活に不便を感じたことはない。
とてもやさしい{PC1}のことを君は好いている。
しかし、とある本を読んでしまってから君は悩んでいる。
その本は、誘拐され監禁されている少女の話だった。彼女と自分の境遇はとても似ている。
もしかしたら、自分は幼いころ{PC1}に誘拐されたのではないだろうか。
胸に抱いてしまった疑問は晴れない。

君の【真の使命】は
「今後の人生も幸せに暮らしていく」ことである。


▯狂気カード

 :5枚
【パニック】【恐怖症】【盲目】【挙動不審】【既視感】


▯シーン表

オリジナル:1d6

1:ぎしり、ぎしり、床板を軋ませて歩く音が廊下から聞こえる。ここには二人しかいない筈なのに。
2:ピチチ……、鳥の囀りに気持ちも和む。格子越しでも空は広く美しく見えた。
3:どこからともなく鉄臭い匂いがした。気のせいだろうか。この匂いを自分は知っている。
4:窓辺の陽だまりに立つと木の香りに包まれた。空気が澄んでいて気分もよくなる。
5:さらさらと小川の流れる音が聞こえる。冷たい水に触れてみたくなった。
6:するりと黒い何かが横切る。ふわりと揺れる黒い影に何故だか背筋が冷える。

※GM情報※--------------------------------------
本シナリオではエネミー『髪の長い女の霊』とCXにて戦闘を行い勝者にならない限り、PCが憂いなく生還する道はない。
この為、『中庭HO』の調査が必須になってくる。
シーン表の1、6、は中庭へのヒントにもなっている。
5サイクルを越えても中庭HOの調査が進んでいない場合
1,6のシーン表の内容をPCが気にするならば、物音や追跡などでゾーキングを行い、成功情報として「足音や黒い影が中庭方面へ消えた」とするとよいだろう。
サイクルが進んでも同じシーン表ばかりで上記のようなことが出来ない場合
一度出たシーンは除き、出来るだけ多くのシーン表が出るようにしてもいいだろう。
------------------------------------------------------

▯NPC、エネミー

 ■NPCサンプル

14才 男 無就学児童
生命力:6 正気度:6
好奇心:情動 恐怖心:緊縛
特技:《我慢》、《天文学》、《整理》、《芸術》、《痛み》、《歴史》
・アビリティ
【基本攻撃】 攻撃 《我慢》
【目 星】 サポート《痛み》
【資 産】  装備   なし
・アイテム
お守り×2、鎮痛剤×2

▼恐怖判定について
どのような状況でもNPCは恐怖判定はなし。このように設定している。
どうしても判定をさせたいGMは山札のカード枚数を2倍にすること。

▼感情について
・NPCはシナリオ開始時点でPC1に対し【憧憬】の感情を獲得している。
・感情判定にPC1が選択した場合、プラスの感情を選択し上書きする。

▼戦闘について
・戦闘の際、PC1がダメージを負う場合NPCは必ずブロックを行う。
(エネミーに対する感情を【戦果】として取られている状況では行わない)
・エネミーが己の母親と分かっていない場合のみ、エネミーに対して攻撃を行う。
母親と知ってしまった場合は惑い、PC1への思いが強かろうとどうしても攻撃できない。
・メインサイクルでの戦闘にNPCが勝利しても【戦果】は求めない。

▼行動基準:〈今後も幸せに暮らす〉
・NPCはPC1に対し好意を持っているものの、すべての記憶を取り戻し、PCから敵意のないアピールを受けるまでは疑惑を持っている。
これは絶対に揺らがない。この為、行動基準である『幸せ』にPC1も含んでいいものか悩んでいる状態である。
RPをする際は無条件に甘えたり、わかりやすい好意を見せたりは決してせず、ぎこちない空気を作ること。
PC1がNPCを疑う余地がなくならないよう注意。

上記の部分を改変してしまうとシナリオバランスが崩れてしまう恐れがある。この為この部分は改変非推奨である。
また、年齢も10年前の事件発生時にあまり大きい、もしくは幼すぎると、閉じ込められ泣き続けていたこと、コテージに残っている情報等と辻褄が合わせにくくなる。
あまり大きいと感情自体が薄くなってしまう可能性が高く、幼すぎると交流を図れない。
この為、14~18才としている。年齢もこの範囲内で設定すること。
・NPCはアイテムをPC1にのみ使用もしくは譲渡する。エネミーに感情を持たない限り、己がダメージを受けたとしてもPC1にしか使用しない。
PC1が困っている様子を見た際にそっと渡す、もしくは使用してあげること。

▼NPCの『忠誠』をエネミーが獲得する
・『忠誠』を取られた以降のNPCは、常に母の愛を求めるような素振りをし
PC1に対しては疑惑を越えた拒絶の意思を見せる。

 ■エネミー

『髪の長い女の霊』
脅威度:4 属性:怪異 生命力:13
好奇心:情動 
特技:《焼却》、《恥じらい》、《恨み》、《人類学》、《霊魂》
・アビリティ
【基本攻撃】 攻撃  《恨み》
【連 撃】 サポート 《焼却》
【報 復】 サポート 《人類学》

▼戦闘について
・己の子どもに多少なりとも愛情のようなものを未だ残している母親の怨霊は、1度はNPCへ攻撃するがその接触により『NPCは自分の子どもである』と認識し、次ラウンドからは一切攻撃しない。
その後はPC1のみを標的とする。
・メインサイクル中の戦闘に母親の怨霊が勝利した場合、NPCの『忠誠』の【感情】を戦果に求める。

▼行動基準:〈PC1が恨めしい〉
・髪の長い女の霊はPC1に対し強い恨みを持っている。
己を殺した者への復讐を願い存在し続けた彼女は怨霊になってしまった。この為、執拗にPC1を襲う。


▯オープニングフェイズ

※GM情報※-------------------------------------
NPCの台詞は一例である。キャラクターに合わせて改変すること。
---------------------------------------------------

[描写]

重い瞼をあげると目に入るのは
白、白、白、白一色だ。

あなたが目を覚ますと病室らしき白い部屋の白いベッドに横たわっていた。
身を起こすと壁にかかっている鏡が視界に入った。そこには随分と老け込んでしまった自分がいる。

ここはどこだろう?

疑問に思っていると、ベッド脇に立っていた医師らしき白衣の男が声をかけてきた。
「大丈夫ですか? 少し前にも一度目を覚ましたんだが、今度はきっちり意識があるようだね。
先程の会話から推測するに、君は10年分の記憶をすっかり失くしてしまったのだよ。そう不便はないだろうから経過を見ていこうか」
男はそう言って苦く笑った。

言われてみれば、頭が妙にすっきりと空っぽな気がした。
白い空間のなか、唯一色を持った見覚えのない子どもが医師とは反対側に立っている。
遠慮がちに、あなたの袖を引いて子どもは言う。

「ねぇ、はやく、帰ろうよ……」

不安そうな子どもは、「自分はあなたの身内だ」と言った。
しかしあなたにそんな記憶はない。

名前を聞いてみれば名字も違う。
親戚なのかと問えば、そうではないと言う。
けれどその子どもは
確かにこの10年をあなたとふたりで暮らしてきた、
家族も同然だとあなた自身が子どもに常に言っていたのだと言う。
空っぽの脳内で、からりと軽い音でも鳴った気がした。

知らぬ間に年を経た自分に、
覚えのない『身内』という存在に、
あなたは混乱するしかない。しかしこれらはすべて現実だ。

PC1は《混沌》で恐怖判定

[恐怖判定後追加描写]

記憶が混在していようと、あなたの体は健康だった。一晩の入院以上の滞在は無理なようだ。
何かあったらまたご来院ください。
そう、半ば追い出されるようにして病院を後にした。
子どもの話によれば、どうやらあなた達はとある別荘地の外れにあるコテージへ旅行に来ていたそうだ。
そして目的地へ辿り着いた矢先にあなたが事故に遭ったのだという。
子どもの持つ手書きのメモを頼りにタクシーで向かった先には、あなたもよく知る、あなたの祖父の持ち物であるコテージがあった。
変わり者である祖父が建てたというそのコテージはすべての窓に金属製の格子が取り付けてあり、玄関扉も内側から二重ロックがかけられているなど一風変わっている。
あなたの家族親族にも敬遠されているシロモノという記憶があった。

何故こんな場所に?

浮かぶ疑問にキリはないが、あなたの荷物にコテージの鍵は入っていた。
10年分の記憶を差し引いても随分と久しぶりに思えるその場へ、あなたは足を踏み入れた。

「……あの…、僕は覚えていないんだけど、ね。僕らは10年前にもここに来たことがあるんだって」
「昨日、あなたがそう教えてくれたよ…」
子どもはぎこちなく笑みのようなものを作って、あなたを見上げた。

そう言えば。
色々とあり過ぎて忘れていたが病院で目に入ったカレンダーは、本日は平日と教えてくれていた。
見た所、中学生くらいの子どもは学校を休んだのだろうか?
問うてみれば、彼は学校には言ったことがないという。
いつも二人きりで暮らしているマンションにおり、外出も今回が初めてだ。
すべてはあなたが教えてくれる。だから何も不便はないのだ。
そう、子どもは言った。

すべてに覚えがない、とは言っても相手は子どもだ。
己が決めてそういう暮らしを過ごしてきたとしか思えない。そしてその暮らしは何をとってもおかしなものに思えた。
けれども彼に関することは何も頭にないのだ。

「ぅわ…、埃っぽいね。まずは掃除をしなくちゃかな」

黙り込んでしまったあなたへ誤魔化すように笑みを向け、ソファやテーブルなどの家具を覆っていた白い布を取り去りながら、子どもは掃除道具を探しに行ってしまった。
彼のあとをついて回るようにコテージ内を一周してみると、遠い記憶で見た覚えのある造りは変わっていないようだった。

白木や椋を贅沢に用いた北欧風の内装は木のぬくもりを感じるが、10年放置していたという言葉通り埃が全面に溜まっている。
LDKにバス、トイレ、『主寝室』、『ゲストルーム』、という飾り気のない部屋たちはささやかな『中庭』を囲む造りになっている。
「{NPC}が使うように」と昨日のあなたに言われていたらしい、ゲストルームのベッドには置き去りにされたように『古ぼけたクマのぬいぐるみ』が置かれていた。
窓からは静かに流れる『小川』が見えた。

「…ええと、どこから掃除したらいいかな……?」
彼はそう言って納戸から掃除道具を取出し、あなたを見上げる。

【NPC】
【主寝室】
【ゲストルーム】
【中庭】
【古ぼけたクマのぬいぐるみ】
【小川】
以上の初期ハンドアウトを公開

▯メインフェイズ


※GM情報※-------------------------------------
▼「メインサイクル中は各HOを調査するためにそれらの部屋をめぐる形となる。
PC1が拒絶しなければ、NPCは各HOを調査するPC1についてまわる。
この際、PC1が調査判定に成功するとNPCは「秘密を教えてくれないか」と必ずねだる。
情報の譲渡を拒否された場合は、アビリティ【目星】を使用。
記憶を取り戻した方が後々やりやすいので、非公開で判定を行いすべてを成功としてしまってもよい。
・NPCは各HOの秘密を取得した際、自ら何かはっきりとした反応を見せたりPC1へ話しかけたりなどはしない。
PC1に問いかけられたなどの場合のみ、反応を見せる。
・NPCは【目星】の使用、もしくはPC1からの譲渡によりHOの秘密を獲得していくが恐怖判定は行わずショックの影響もない。
-----------------------------------------------------

[会話例]
「ぁ……これ、見たことある気がする。ねぇ、もしかして」
「これ、僕のじゃないかな? 何か思い出したなら、おしえてよ……」
子どもはそう遠慮がちに言い、あなたを見つめる。

「そ、か……僕には教えてくれないんだ。……じゃあ、もう、いいよ」
ふいと視線を逸らし、子どもはあなたに背を向けてしまった。

「……そう。そうだったんだ」
あなたを覗きこんでいた子どもに目線を向けると、彼は俯き目を逸らしてしまった。
「べつに、何も……。少し、思い出しただけだよ」

▼NPCの『忠誠』をエネミーが獲得してしまった場合
この状況を失くすにはCXにて戦闘を行い、エネミーを倒す。もしくはメインサイクル中にNPCの感情判定を行わせるしかない。
・NPCに感情判定を行わせる場合、PC1のドラマシーンを1消費することとなる。
上書きする感情はPC1が「こうすればいいと思う」と勧めるものをNPCは選択する。
シーンを1つ潰すことになるが、PC1が勧めればNPCに上書き判定を行わせることも出来るとPLに必ず伝えること。
(NPCは『憧憬』の感情をPC1に対して持っている為、これらを可能とする)


▯ハンドアウト


 ■主寝室HO

調度品は大きなベッド、ウッドデスクに簡素な椅子のみ。
それ以外は三方の壁をすべて書棚が埋めていた。
寝室というよりはまるで書斎のような部屋だ。

【秘密】
ショック:PC1
ベッドには藍色のシーツがかけられている。
経年劣化により幾分か古びているように見えるソレにはタグが付いたままだった。値段の書かれたタグも古いように見えるが、折れたり褪せたりなどはしていない。
不思議に思いベッド周辺を見てみると、ベッドの下に押し込まれた黒いごみ袋を見つけた。
ゴミ袋の中には、元は白だったのだろう、茶色い何かを大量に吸って汚れたシーツが入っていた。
既に匂いもしないが、血液のように見える。
ソノ『色』が目に入った瞬間に、蟀谷へ鋭い痛みが走った。
あなたはソレに覚えがある。
瞼の裏へ混乱で歪んだ映像が流れこんできた。

両手に染みついた色は鮮血
しかしその手に痛みはない

当然だ、これは自分のものではない
他人の血液だ

自分が、誰かを、人の肉を切り裂いたのだ

擦ってもこすっても、どんなに洗っても
『あかいいろ』が手にまとわりついて消えてくれない

怖くて恐ろしくてどうしていいかわからなくて
あなたは繰り返し手を拭き、冷たい流水で手を洗っている

この穢れたシーツはあの時のものだ。取り戻してしまった記憶の欠片にあなたは恐れ慄く。
あなたは、人を殺したことがある。

PC1は《死》で恐怖判定

[狂気判定後追加情報]
書棚を埋めるのは様々な分野の本。
ジャンルを問わない蔵書を眺めていると、低い位置に絵本が数冊並んでいた。
それらは小さな子に何度も読まれたのか、ページにめくり癖や手垢がついている。
絵本の脇には布で包まれた『錆びたクッキーの缶』が隠すように置かれていた。

【錆びたクッキーの缶】HO公開

 ■ゲストルームHO

木製のベッド、サイドテーブル、ウッドデスクにチェア。
小さな本棚には古びた絵本が数冊、頁の破られたノート、クレヨンが重ねて置かれていた。
本棚の空いたスペースには古ぼけた『クマのぬいぐるみ』が置き去りにされたように転がっている。

【秘密】
ショック:なし
ベッドマットが僅かにずれており、ベッドとの間に何かが挟まっているように見えた。
確認してみると、画用紙数枚がぐしゃりとそこで潰れていた。
幼い子どもがクレヨンで描いたようなその絵には、大きく口を開けた姿でふたりの人物が描かれている。
それは笑っているようにも、怒っているようにも見えた。
誰を描いたかはわからないが、どこかで見たような気もする。

※GM情報※-------------------------------------
・絵にゾーキング → 《教養》《人類学》等で判定

【成功】
『黒やグレーなどの暗い色ばかりを使っているその絵は、とても好きな人を描いたものには見えない。
かぱりと開いた口だけは赤く描かれており、喰らわれてしまうといったような恐怖を覚えた。』

・ノート、クレヨン、クマのぬいぐるみはNPCの家からPC1が持ってきたものである。それらは古いだけでなくかなり汚れている。
絵本などはPC1が新たに買い与えたものなので汚れは酷くない。
・ノートを見るとの宣言があった場合→判定なしで以下の情報が出る。
『文字の書けない子どもがクレヨンでグシャグシャと書きなぐったようなページしかない。
こちらも暗い色ばかりでその時の精神状態がよくないと思われる。』

※NPCの年齢にもよるが、保育園や幼稚園、小学校などにPCは通わせてもらえていなかった為、PC1に出会うまで文字は書けなかった。

<NPCがこの秘密を得た場合の情報>
絵やノート、絵本などに見覚えがあるような気はするが、はっきりとした記憶はない。
-------------------------------------------------

 ■クマのぬいぐるみHO

片腕が千切れかけ、ボタンで付けられた目も片方はなくなり糸が飛び出している。
茶色い毛並みも何かがべたべたと付着しており、かなり汚れていた。
このぬいぐるみの持ち主である子どもは随分と不衛生な場所にいたのではないかと思えた。

【秘密】
ショック:なし
こつり、何か硬いものの感触がする。
よくよく見てみると、クマは背中の縫い目がほつれていた。
クマの腹の中に何かが隠れているようだ。
綿を出してみると、中には10センチに満たない『硝子瓶』が入っていた。
コルクの蓋は緩んでしまったのか綿の中へ落ちており、数粒の金平糖も綿へ埋もれ溶けかけていた。

ふっと記憶が蘇ってくる。
これはかつての自分が誰かに渡したものだ。

※『MS:遠い記憶』発生※
MS終了後、【プライズ:硝子瓶】獲得。

 ■プライズ_硝子瓶

 ※調査対象外
軽く閉めていたのか、ゆるみ外れてしまったようだが、コルクは問題なく使用できる。

※GM情報※-------------------------------------
<NPCがこの秘密を得た場合>
・【プライズ:硝子瓶】をNPCが目にすると、『クマのぬいぐるみ』と『硝子瓶』はかつての幼い自分の物だったことを思い出す。
・このプライズはPC1にとって特に使い道はないが、NPCは気に入っていたものだから欲しいと強請る。
PC1から譲渡されNPCが所持した場合のみ、お守りもしくは鎮痛剤として1度だけ使用できる。使用後はただの硝子瓶として手元に残る。

▼NPCが思い出す記憶(PC1には見せない情報)↓

ふっと記憶が蘇ってくる。
これはかつての自分の宝物だった。
『誰かがくれた、甘くておいしくて、きれいなお星さま。
これがあるから自分は苦しくても平気。
辛くても耐えられる。痛くても大丈夫。
でも、お星さまがすべてなくなってしまったら……
そうしたら、
このびんにおてがみをいれて、たすけをよぼう。
かわにながせば、だれかがきっとみつけてくれるから。』

君は幼い頃の決意のようなものを思い出した。
恐怖の対象が何かは思い出せないが、君は常にナニカに怯えていた。

※上記の情報のみではNPCは誰にもらったのかは思い出せない。
PC1が「自分が渡したものだ」と事実を伝えると半信半疑ながらもその言葉に頷く程度。

・クマのぬいぐるみの洗濯や修繕を希望するPCもいるかもしれない。
コテージには10年間だれも足を踏み入れていなかったが、事故に遭う前のPC1(OP前)が数日過ごせる分の食材や生活必需品を購入しすべて運び入れている。また、裁縫道具も探せばリビングなどで見つけられるだろう。
----------------------------------------------


 ■中庭HO

木々や花などなにも植えられていない放置された庭。
雑草が好き放題に生い茂っている。

【秘密】
ショック:PC1
その庭に一歩降り立つと、髪の毛が逆立つような寒気が全身を包んだ。
草の影かと思った小さく黒いソレが、ぶわりと大きく広がる。
『髪の長い女の影』は見上げるほど巨大に膨れ上がり、あなたをじっとりと睨めつける。

PC1は《霊魂》で恐怖判定

※恐怖判定後、『MS:怨霊』発生※

※GM情報※-------------------------------------
NPCはPC1に対し【感情】を取得している為、戦闘が発生した場合乱入する。
この時点ではNPCは『髪の長い女の霊』が自分の母親であるとわかっていないので、エネミーに対して攻撃を行う。
----------------------------------------------------

 ■小川HO

ゲストルームの窓も金属製の格子が嵌められている。
格子から手を伸ばすと、透明な流れに触れられそうだ。

【秘密】
ショック:なし
小川はささやかながらもそれなりの水流を持っていた。
上流に周辺地域すべての生活用水を賄っているというダムがある。
上下水道と同様にこの小川も別荘地を走り抜け、山を下りた先にある街まで繋がっている。

 ■錆びたクッキーの缶HO

30センチかける30センチほどの大きさの缶。

【秘密】
ショック:PC1
錆びてきしむ蓋を開けて中を見てみると、どうやら工具箱として使われているようだった。
レンチにドライバー、金槌に釘に大きなペンチに針金。
雑多に詰め込まれたそれらの下に、ねじ切られたような手錠があった。
よくよく見てみると、その手錠の縁には人肌のような、血液のような
不気味な染みが付着していた。

※GM情報※-------------------------------------
・手錠にゾーキング → 《切断》、《機械》、《手触り》等で判定
【成功】ここにあるペンチでねじ切ったことがわかる。
・『MS:遠い記憶』が既に発生しているのなら、この手錠がNPCをつないでいたものだとわかる。
------------------------------------------------------

 ■髪の長い女の霊HO

中庭にゆらゆらと揺蕩う女の幽霊。
近付くと酷く攻撃的になる。

【秘密】拡散情報
ショック:PC1
乱れた長い髪の隙間から覗く横顔が視界に入り、あなたは思い出した。
あれは{NPC}の母親だ。
彼女を、殺したことを思い出す。

PC1は《刺す》で恐怖判定

※恐怖判定後『MS:母親』発生※

※GM情報※--------------------------------------
・この霊はPC1に対し強い恨みを持っている。
己を殺した者への復讐を願い、その一念で存在し続けた彼女は怨霊になってしまった。
何の対処もせずにCXを終了すると、恨みの対象であるPCは数日後死亡する。
・『MS:母親』が発生することによりNPCはすべてを思い出すが、当時まだ幼かった為、難しいことはわからない。
詳細(母親がどうなったのか、PC1が何をしたのか)は知らず、想像する、もしくはPC1に聞くしか出来ない。
NPCに母親に怯えていた記憶はあるが、同時に真っ当に得られなかった母の愛も求めている。
・メインサイクルでの戦闘終了後、PC1は自動的に『髪の長い女の霊』の【居所】を獲得。
CXにて居所を使用し戦闘を仕掛けることが可能となる、とPLへ必ず伝えること。
-------------------------------------------------------



▯マスターシーン

 ■遠い記憶
※発生条件:『クマのぬいぐるみHO』調査判定に成功、秘密獲得。

蟀谷が疼く。
眼球を刺すような鋭い痛みとともに、瞼の裏へ映像が濁流のように流れ込んできた。

古くみすぼらしいアパート。
あなたの自宅近所にあるそのアパートの窓辺には、いつも小さな子どもがいた。
子どもはいつもひとり、窓の外をぼんやりと見ていた。
その横顔はあまりにも寂しそうだった。
それは子どもがするには似合わない、すべてを諦めた表情に見えた。

ある日。
何度も見かけたが声をかけられないでいたあなたに、子どもは小さく手を振ってきた。
あなたはそんな子どもに歩み寄り、笑顔で話しかけた。
それからは出来得る限りやさしく言葉をかけ、頭を撫で、時には菓子をあげ、あなたは子どもとの距離を縮めていった。
あなたとの触れあいで、子どもは笑顔を覚えた。
その過程であなたは気付いた。
子どもは母親に暴力を振るわれている。
それだけでなく、頑丈な手錠と犬の鎖で繋がれていたのだ。
自らの意思で外へ出ることも出来ない子どもは、だからああして窓辺にいたのだ。

そうして、少しずつ子どものことを知るうちに
あの日、見つけてしまった。

薄く開いたままのガラス戸から叫ぶような泣き声が漏れ聞こえてきた。
あなたは感情のままに泣き声の元へ駆けつけた。

そこには、
体中を変色させ痣を作り、あちこちを腫れあがらせて、押し入れに閉じ込められ
発作のように泣きじゃくっていた子どもがいた。
ただ、ただ、許せなかった。

こうして、あなたは子どもをさらった。

 ■怨霊

※発生条件:『中庭HO』調査判定に成功、秘密獲得。

「あの男があたしをころしたあの男が子どもをさらったあたしの子をさらったさらったさらアタあちしあたしをころしたあたしをころしたあたしをころしたあたしをころしたあたしをころしあたしをころ…コロ、ころしコロスころす殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す……」

背を丸め、掠れた低い声でぶつぶつと呟いていたソレが、ふわりあなたを振り向いた。
真っ黒な、暗過ぎる深い穴のような瞳と目が合う。

「ァあ―――…っは、ハァ……」

にんまりと、ソレは嗤ったようだった。
細長く腐った枯れ木のような指が、ゆっくりとあなたを指差す。

「…… み ィ つ け タ 」

深く昏い黒の中で、
耳まで吊り上り、裂けてしまいそうな大きな口だけが異様に真っ赤だった。
戦闘発生。

※戦闘終了後【髪の長い女の霊】HO公開※
※『髪の長い女の霊』の【居所】を獲得※

 ■母親

※発生条件:『髪の長い女の霊HO』調査成功、秘密獲得。

割れるように頭が痛んだ。
激しく脳を揺さぶられるような感覚に、あなたは思わず両手で頭を抱え崩れ落ちる。
───すると。
ちかちかと瞬く光とともに、フラッシュバックのように記憶が蘇ってきた。

コテージの玄関ドアを激しく殴打し、蹴りつける音はやむ気配がない。
怯える子どもはひきつけを起こしたように泣き出してしまった。
どうにかこの場を治めなければとドアを開けると、髪をふり乱した女があなたを押しのけて入り込んでくる。
女はその手に出刃包丁を持っていた。

「おかあさんごめんなさい」
「おかあさんゆるして」

激しく泣きながらも許しを乞い謝る子どもを、包丁を振り上げた母親が追い回す。
このままでは、あの子は殺されてしまうかもしれない。
そう、恐怖を覚えた。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめ…──
 た す け て 」

足が縺れてしまったのか、中庭へまろび出た子どもが転倒してしまった。
あなたは慌てて母親と子どもの間に入り込む。が、興奮し怒り狂っている女は刃物を下ろさない。
そうして、もみ合っているうちに。

ぐしゅり

大きな肉の塊を、叩き斬るような感触が利き手に伝わった。
驚き腕を引くと、びしゃ、と広がる液体をあなたは全身に被る。
目の前で女が倒れる。
あれだけ暴れていた女が、いとも呆気なく倒れる。
女は、死んでいた。
あなたが殺した。

すべてを思い出した。
あなたは子どもを哀れに、もしくは愛おしく思うあまり、上手く立ち回ることが出来なかった。
狂気に陥った母親を殺し、その事実に怯え、このコテージの中庭に死体を隠した。

そして───
それから10年もの間、あなたは世間から隠れるようにひっそりと息を潜め、
母親に関する記憶を失ってしまった子どもと、二人きりで暮らしてきたのだ。
あなたは子どもの親の仇であり、殺人を犯した罪人でもある。

PC1は《埋葬》で恐怖判定

GM情報※--------------------------------------
<NPCがこの秘密を得た場合>
・『髪の長い女の霊』の姿をじっくりと直視することにより、NPCはすべての記憶を取り戻す。
・NPCが思い出す記憶(PCには見せない情報)↓

暗く狭く、汚らしい空間。
小さな君は押入れに隠れている。
共に暮らす母親は機嫌が悪いと暴力を振るうからだ。
こわくていたくて、幼い君は押し入れに隠れている。
彼女の機嫌がいいとき、もしくは外を見たいときは窓辺へと出ていく。
お外に出てみたいけれど、足首には子どもの力ではとても外すことのできない頑丈な手錠が犬用の鎖で繋がれている。
とても無理だ。すぐ目の前にある景色に、外の世界に、君はふれられない。
だから君は、いつも窓から外を見ていた。

ある日通りかかったお兄さんに手を振ると、彼はやさしく笑ってくれた。
君はお兄さんと友達になった。
お兄さんは知らないことを教えてくれた。
お兄さんは君の話を聞いてくれた。
お兄さんは君の頭を撫でてくれた。
お兄さんは君に金平糖をくれた。
お兄さんはやさしかった。

そして──
お兄さんは君をさらってくれた。

すべてを思い出せた。君は、誘拐された子どもだった。
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▯クライマックスフェイズ

※発生条件:メインフェイズを終える

※GM情報※--------------------------------------
・PC1はどのようなエンディングを迎えるかここで選択しなければならない。獲得したHOの秘密によりそれらの可能性は変化する。
・エネミーと戦闘を行い勝利しない限り、PC1にかけられた呪いは消えない。しかし呪いについての情報はHOの秘密をすべて獲得しても明確には出ない。
CX開始時点でPC1の体調がよくない描写を以下の例のように必ず出すこと。
・体調の悪さへのゾーキング判定→《緊縛》《人類学》《霊魂》等で判定
【成功】
『体中に何かがまとわりついているような不快感を覚える。
不可視のナニカはあなたを捕らえ、離れる様子がない。』

・NPCと会話して道を選ぶこともできるが、NPCはエネミーに『忠誠』の【感情】を取られていない限り、すべてをPC1に委ねている。
GMは状況に合わせて演出すること。
PC1が選択できるのは主に以下の四択である。

・過去とのつながりを断ち切る為、エネミーとの戦闘を行う。
・何もせずNPCと共に自宅へ帰る。
・NPCを自由にする。
・自首する。

▼『自首』を選択した場合
・PC1が自首してしまうと自動的にNPCも自由の身となってしまう為、NPCは1度だけ引き留め「共に帰りたい」と言う。

[NPCの『忠誠』をエネミーが獲得している]
NPCは止めず、母を殺した罪を償えと責める。

▼自宅へ帰ることを選択した場合
・特に意見も言わずPC1に従う。

[NPCの『忠誠』をエネミーが獲得している]
・NPCは帰宅を拒み、「己の犯した罪から逃げるのか?」とPC1を責める。

▼戦闘を選択した場合
・NPCの感情をエネミーに獲得されていなかったとしても、エネミーが母親とわかっている場合
NPCはエネミーに対して攻撃は行わずPC1を見守り、PC1がダメージを受ける時はブロックを行う。
母親とわかっていない場合のみ、NPCはエネミーに対し攻撃を行う。

[NPCの『忠誠』をエネミーが獲得している]
・NPCは笑顔で母親を求め、自ら狂うことを欲してPC1へ攻撃を行う。
・アイテムがまだ残っていた場合、すべてのアイテムをエネミーに使用、譲渡する。
・PC1に対しての『憧憬』VSエネミーの『忠誠』となる為、この場合もPC1へのダメージはブロックする。
しかしPC1に対して攻撃もするとし、狂った行動になってもよい。GMの任意とする。

・NPCには戦闘に参加させない、という選択をする場合もあるかもしれない。
その場合は同じ建物内にいる為、一応は言うことを聞くが(憧憬効果)心配して様子を見に来た等とし2ラウンドから参戦としてもよい。
PC1とNPCの関係性の深さ等によって演出すること。
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[描写例:CX開始]
コテージ内をじっくり一周調べてくると、{NPC}がキッチンで手を洗っていた。その顔色はここへ来た時よりも、かなりよくないように見えた。
ふと我に返ってみれば、自分もあまり体調がよくないように思う。こんな場所にいたら、仕方ないのかもしれないけれど。
彼は手を拭きながら振り向いた。

「……もうこれで掃除は終わりかな? じゃあ、ごはんにする? 僕も、手伝うよ」

※母親についての記憶、すべての記憶を取り戻している場合、NPCはここでPC1に問う※
[会話例]

「……{PC1}は、これからどうしたいの?」
「なにか…、思い出した? ここに来る前にね……あなたが言ってたんだよ、ここにはすべての真実があるって」

「あなたは、……どうしたい? 僕は、どうすればいいのかな……」

悲しいのか、苦しいのか。はたまた悔しいのか。
くしゃりと歪めた表情であなたを見つめる彼の感情は読めない。

あなたはここで自分の進む道を選択できる。
記憶に蓋をし、ここから逃げることも出来る。
{NPC}の手を離し、道を分かち、罪を償う道をひとり歩むことも出来る。
{NPC}とともに在ることを選び、ここをふたりで去ることも出来るだろう。
彼の幸せを願うあなたは、どの道を選ぶのか。

さぁ、選択の時間だ。

▯エンディングフェイズ

以下は一例である。これらに当てはまらない状況の場合、GMはED例を参考に適宜演出すること。

 

■ED1:満ちるうつわ

※条件:戦闘を行い母親の怨霊に勝利し、NPCと共に暮らすことを選ぶ。
(母親の呪縛を解かれたNPCもPC1と共にあることを望む)

あなたは亡霊と戦い、勝利した。
{NPC}は実の母だったものとの縁を断ち切った。
そうして、あなた達は自分達の居場所へと帰る。

空のうつわのようだったあなたの脳内には、今ではすべての記憶が蘇っている。
それは激しく胸を痛め、後悔を苛むような辛く厳しいものでもあるけれど、
それだけではなかった。

{NPC}と身を寄せ合い、小さな幸せに微笑みあい暮らしてきた思い出もある。
ほんの数時間、空虚だったあなたの胸はいまや小さな喜びと幸せで満ちている。
そして、彼も。
ちいさな硝子瓶に詰められたような、
きれいであたたかくやさしい、けれども狭く閉ざされた世界を選んだ。

小さな硝子瓶のような世界に閉じこもっていたとしても、蛹はいつか羽化する。
皮を脱ぎ羽を広げるNPCはどこへ飛んで行くのも自由だ。

その隣には、きっと
微笑み彼を見つめるあなたがいるのだろう───


 ■ED2:空のうつわ

※条件:戦闘を行わず自首を望み、NPCとの別れを選択。
※結果:PC1は逮捕されNPCは解放される。
    牢獄のなかPC1はNPCの母親の怨霊に呪い殺される。

罪を悔い改め牢獄を望んだあなたは突如体調を崩し、獄中で裁判も待たずに亡くなってしまった。
そうして、{NPC}は自由をその手に得た。
彼はもうすぐ、大人になる。

羽を得たあの子はひとりでもどこへだって行ける。

あの子を捕らえる者はもういない。
あの子を閉じ込める者はもういない。
あの子を邪魔する者はもういない。

ちいさな硝子瓶から漏れださないよう、あなたが蓋を閉じ守ってきた世界には
もう、誰もいない。
空のうつわだ───

 ■ED3:こわれたうつわ

※条件:NPCと生きていくことを選択する。しかしCXにて戦闘を行わなかった。

そうして、あなた達は自分達の居場所へと帰る。
ちいさな硝子瓶へ美しいものを沢山詰めたような、
きれいであたたかくやさしい、けれども狭く閉ざされた世界をあなたはまたも選んだ。

そして、彼も。
あなたと共に在ることを選んでくれた。
狭苦しい世界に閉じこもっていたとしても、蛹はいつか羽化する。
真実を知り少し前へ進んだあの子は皮を脱ぎかけ、羽を広げる準備段階といった所だろうか。
美しく羽ばたく蝶をあなたも、きっと目にしたかったことだろう。

しかし、あなたの唯一の望みであるささやかな未来は
呆気なく消えてしまった。
コテージから帰宅した数日後、突如体調を崩してしまったあなたは
ベッドから起き上がることなくそのまま死んだ。

あの子を捕らえる者はもういない。
あの子を閉じ込める者はもういない。
あの子を邪魔する者はもういない。
あの子を見守る者も、もういない。

あの子は、ひとりだ───


 ■ED4:瓶詰の地獄

※条件:戦闘にてPC1が死亡する。
※結果:NPCは母親の怨霊に憑りつかれる。
    PC1が死亡した時点でNPCが生きていたとしても戦闘は終了。
    強制的にed_4となる。

そうして、あなたは死んでしまった。
けれどあの子はひとりではない。
『おかあさん』がいる。

これからはおかあさんといつもいっしょ。
いつまでも、どこまでも、おかあさんはあの子を離さない。

離して、くれないのだ───

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