夫とは服のたたみ方が合わない

夫とは、一緒に映画を見たり、本も貸し借りしたりもする。休日のお出かけも常に2人。
2人とも黒縁丸メガネをかけて、マッシュヘアで、見た目もなんだか似てきた。どこへ出かけても「いつも一緒で仲良しだね」と言われる。

そんな夫との家事分担は、一緒に住んで6年の日々と話し合いを重ねて、だんだんと形成されていった。
料理周りは私が担当している。献立、買い出し、調理。
片付けに関することは夫が担当。皿洗い、掃除機、洗濯物。
夫は料理が全くできない代わりに、他の家事は率先して行う。
特に私は片付け部門がとっても苦手で、名もなき家事はたくさんあるからモヤモヤすることもあるけど、なんだかんだいいバランスだと思っている。
だけど、洗濯物の、服のたたみ方だけはちょっと口を出しそうになる。

私のたたみ方は、アパレルショップに置いてある商品のように、折り目をしっかりつけて、長袖は2度3度折り込んで、ぴっちりとたたむ。
シワもしっかり伸ばしてからたたむので、服を広げた時には折り目だけがついている。他のシワは少ない。
タック付きのパンツなんかは、もちろんタックの折り目に合わせてたたむ。
靴下はかかとを揃えて、三つ折りに。

夫のたたみ方は、折り目を合わせることなく、大体の形が整ったら、ぱたん、ぱたん。仕上がりがふんわりしている。
シワを伸ばしていないので、広げた時に、全体的にふにゃふにゃしている。
タック付きのパンツの折り目も、何のその。
靴下はおおよそ重ねて、くるくる丸める。

私のたたみ方は、母のたたみ方でもあるけれど、自分の性格も少なからず影響していると思う。きっちり、ぴっちり、揃っていた方が気持ちが良くて、何よりシワが少ない服を着たい。
ただし、洗濯物を畳むのは家事の中でも1、2を争う嫌いな家事。
究極たたまなくても、洗って干して乾いたら、そのまま着れば一番シワ少ないのに!と思っている。
ただ、たんすに仕舞うためには、たたまなければいけない。そもそもファッションが大好きな私は服の量が多い。きっちりたたまなければ、入らないという面も持っている。
苦手な家事ゆえに、やるなら完璧に、の性格が出てしまいやすい。
夫の洗濯物のたたみ方が気になる時は、2人分やってもらっているので、口は出さずに、自分でたたみ直す。最初から自分で畳めばいいのだが、いかんせん苦手意識というより、完璧主義から脱却できない。

夫はというと、おおらか。というより、いつも波の穏やかな海のように、静かに、にこにこしている。細かいことが気にならないわけではなく、むしろ日頃の仕事は細部にまでこだわっていると会話していて気が付く。
けれど、ベースはおおらかで穏やかなのだ。
シワがあっても死ぬわけじゃない。それよりも洗濯物がたまらないように、明日着る服に困らないように、私が料理をしている間や、朝起きて支度をして、会社に行くまでの隙間時間にせっせとたたんでいる。
2人分の洗濯物は決して多くはないけれど、2日もためればちょっとした量にはなる。それでも、そんなにきっちりたたむわけではないので、あっという間に終わらせてしまう。

夫のそんな性格に、何度も救われて、助けられて生きてきた。
私が「こうじゃなきゃいけない」「これをしなければいけない」「こう生きなければいけない」と思い詰めるたびに、「そのまんまでいいよ」と言ってくれる。
まるで夫がたたんだ洋服のように、凝り固まった頭をいつもふんわりとさせてくれる。
夫がもし洋服をぴっちりたたむような性格の人だったら、私は今よりもっと息を詰まらせていたかもしれない。
夫とはパズルのピースがカチッとあったような、お互いの凹凸を補い合える関係で、私は幸せだと思う。
家事の分担は綺麗事ばかりじゃないけれど、夫が夫でよかった。
人は1人では生きて行けないし、無理して1人で生きていかなくていい。
ふんわりしたたたみ方も、私の救いなのだ。

#家事分担の気づき

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