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コロッケパン②


わたしは、イートインスペースにある
カウンターの端っこに座った

店員さんがおしぼりを渡しながら
「ごゆっくりどうぞ」と言ってくれた

買ったばかりのパンを机に並べる

コロッケパンと揚げパンツイストなるもの

コロッケパンを食べようとした時
目の前の窓にお兄さんが乗っている配送車が到着したのがみえた

これから焼きたてのパンが並べられるのか

なんだかいま手元にあるパンたちよりも
お兄さんが持ってきた箱の中のパンたちが
急に食べたくなってしまった

わたしは、買ったばかりのパンを食べながら
新しくきたパンが並べられるのを横目でみていた

・コロッケパン
パンは赤ちゃんのほっぺのようにとってもふわふわ
コロッケのじゃがいもが甘くて濃いめソースとマッチしていた
食べれば食べるほど美味しい
久しぶりに食べたけれどコロッケパンにして大正解

・ツイストパン
お砂糖が沢山かかっていて袋の中には余ったお砂糖たちが残ってた
口に入れた瞬間お砂糖が溶けるのがわかる
美味しすぎる…何個でも食べられる…

ひとりで脳内食レポをしていたら
カランコロンとドアベルが鳴った

よく見ると工事現場のおじさんだった

お昼にこんなに美味しいパンを食べられるのは
うらやましい限りだ 
しかも焼きたてのパン

でも男の人ってよく食べるから
パンだとすぐお腹が空きそうだなぁとか
考えているうちにおじさんは会計を済ましていた

パン屋さんに来るのはいろんな人だ

自転車に乗った学生
散歩しているおじいさん
パン屋さん常連のおばあさん
隣の診療所の看護師さん

NHKの72時間で取材に来てほしいなぁ

なんでパンを買うのか知ることが出来るのに

その人の人生も知ることが出来るのに

なーんて考えていたらあっという間にバイトの時間20分前

ここから走れば10分前には着くだろう

外に出たら、じっとり暑さが増していた

早く履歴書書かないと
その前に履歴書買わないと
あぁ、証明写真残ってたかなぁ

とやることリストを考えていたら

隣の診療所のベンチでおじさんが座って
パンを食べていた

パンの匂いは幸せの匂いというが本当にそうだ

あぁ、束の間の幸せの時間だった

わたしはあまり考えすぎないようにバイト中もお昼に買ったコロッケパンの味を思い出していた

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