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長女星★プロジェクト その③


初めて読まれる方は、
プロジェクト①②を読んでからどうぞ。

地元の旅行会社Hさんのおかげで、
滞っていた旅行準備も
着々とまでは行かないものの、進んだ。
飛行機に乗るまでに、
スマホにアプリを入れておかなければ
ならないものもあり、
ペアレンタルコントロールを外しに
ショップに行ったり、
入力が複雑かつ英語入力のよくわからないアプリを
操るためにHさんに2度も自宅に来て
もらったりして、
なんとか当日にこぎ着けた。

出発の日。
朝からきれいに晴れて暖かい。
長女晴れ女の力、遺憾なく発揮。
頑張って空港まで運転。約4時間。
途中高速が通行止めになっていたりして、
焦ったが、ナビに従ってなんとか切り抜けた。

早すぎる到着で待ち疲れ、チェックインは激混み。
それでも刻一刻と出発は時刻が近づく。
しかし、疲れすぎていて、感慨深さが遠のく。

最後は、長女をナビゲートしてくださる
係の方に引き渡す。
手にタッチして、「行ってきます」
あっけなく出国審査のドアの向こうに
消えていった。

・・・私もホテルに帰ろう。

ホテルに戻り風呂から上がったら、
LINEが来ていた。
「飛行機乗った」とだけで
相変わらず、とても素っ気ない。
頑張れと送ったが、既読は着かない。

一人のフライトが始まったんだ。
出国審査できたんだ。
ほっとしたような。ハラハラするような。
自分の行きの仕事は終わったのだと気づく。
でもまだピンとこない。
ただクタクタに疲れていることはわかる。
頭痛薬を飲んでまずは寝る。

うつらうつらでも寝ることができた。
横になるだけで少しは楽になる。
ああ、長女は横にもなれず、
目をつぶるだけで寝れていないだろうな。
そう思うと頑張れ頑張れと思い、
涙が出そうになる。

時刻は朝5時。
もうすぐフライトが終わるはず。
頑張れ、もうちょっと。
妹に「会えそう?」とラインを打つ。
「こっち時間だから、一時間後だね。
入国審査もあるから会えるのは
7時頃じゃないかな。」
とのこと。

うちの可愛い娘は
あと2時間も頑張らないといけないのか。
そう思うと号泣してしまった。

2年前のことが思い出される。

もともと神経質ではあったけど、
優等生で何でも一生懸命で完璧に
こなしていた長女。
探さなくたって、考えなくたって
長女のいいところはたくさんあった。
だんだん息切れがして、しんどうそうにしていた。
でも休ませていいのか、頑張らせたらいいのか
わからなかった。
本人もどうしていいかわからなかっただろう。
そして学校に行けなくなった。

だんだんひきこもって、
昼夜逆転になって、
字が読めないと言い出して。
私を責めまくって、死にたいと言って。
生きてて何かいいことはあるのかと聞く。
いつも機嫌が悪く、笑わなくなった長女。

少しずつ少しずつ元気になっていったけど、
そんなに簡単でも、右肩上がりでもない日々。

「なんでみんなにできていることが、
自分にはできないんだろう」
と言って泣く娘に
「みんなと一緒でなくていい。
 学校に行かなくても
 あなたの価値は一ミリも変わらない。」
といいながら、
今までみんなと同じように、
できればそれ以上であって欲しいと
ずっと思っていた自分に気づく。

あぁ神様
 このいい子をどうかどうかお守りください。
 いい子なんです。
 賢くて、優しくて、気遣いのできる
 頑張り屋さんで、真面目な
 とってもとってもいい子です。
 私にはもったいないような自慢の子なんです。
 どうかどうか頑張れますように。
 いい思い出ができますように。
 私にもできたって、
 頑張れたって言えますように。
 生きてて良かったって言ってくれますように。

「神のご加護を」ってこういうときに
 使う言葉なんだと実感する。

うとうとしていたら
妹から会えたとのLINEが来る。
やっと大きく息を吐いた。 

このプロジェクトが終わったときに
私は何を思うのだろう。

何も変わらなくても、成長しなくてもいい。

ただ

私にもできたよ。
生きてたらいいこともあったよ。
と思ってくれたらそれでいい。

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