見出し画像

FXにおける通貨ペアの相関関係ドルストレート/クロス円

通貨ペアは、世界のさまざまな通貨同士で相互に影響し合っています。

FXでは、通貨が取引対象なのでさまざまな通貨同士に相関関係があります。

ですから、通貨ペアの相関関係を理解することは、より良いFXトレードへのキーポイントになるはずです。

本記事では、通貨ペアの相関関係の仕組み、手法について説明します。


相関関係とは

通貨ペアの相関関係を説明する前に相関関係の意味を説明します。

相関関係とは、一方が変化すると他方も変化するような関係のことです。

相関関係にあるものは「正の相関」と「負の相関」の2つに分類されます。

正の相関とは、一方の値が増加すると他方の値も増加する関係であり、負の相関とは、一方の値が増加すると他方の値が減少する関係になります。

日常生活における相関関係の例

身近なもので相関関係があるものを例としていくつかあげてみました。

正の相関の例

以下は正の相関の例です

– 残業が増えれば、収入も増える

– 収入が増えれば、税金も増える

– 気温が上がると半ズボンを履く人が増える

負の相関の例

以下は負の相関の例です

– 従業員数が減れば空きポジションが増える

– 残業が増えれば生産性が下がる

– 気温が上がると上着を着る人が減る

相関関係の意味を身近な例として紹介しました。

通貨ペアの相関関係とは

それでは、通貨ペアの相関関係について説明します。

地理的に位置が近い国同士(近隣諸国)や経済の関わりが深い国同士の通貨の間には相関が強い傾向にあります。

近隣諸国の例では、豪ドル/円とNZドル/円の相関関係を説明すると「豪ドル/円が買われるとNZドル/円も買われる傾向にある」ということです。

理屈ではピンとこないかもしれないので視覚的にわかりやすいチャートで説明したいと思います。

通貨ペアの相関関係をチャートで見ると、例えば「ユーロ/円が上昇すると英ポンド/円も上昇する傾向にある」。

一方「ユーロ/米ドルが上昇すると米ドル/円が下落する傾向にある」といったことが確認できると思います。

このようにして1つのチャートだけを見るよりも、複数の相関性のあるチャートを見た方が、より正確な判断ができるのです。

通貨ペアの相関関係を理解していれば、トレードを行う際に今までよりも手法が増えることになり、勝率も上がります。

通貨ペアの相関関係にも、正の相関と負の相関といった2つのタイプがあります。

では、実際にチャートで通貨ペアの相関関係を見てみましょう。

通貨ペアにおける正の相関関係

通貨ペアにおける正の相関は、2つの通貨ペアに同じ方向性があることを意味します。

通貨ペアにおける負の相関関係

通貨ペアにおける負の相関は、2つの通貨ペアが逆方向に向かうことを意味します。

相関係数とは

相関関係における関係性の程度を示す指標として「相関係数」というものがあります。

相関係数とは、相関関係の方向性と強弱が数値でわかる-1~+1の範囲の値になります。

相関係数が+1に近いほど通貨ペアは正の相関
-1に近いほど負の相関、0に近いほど通貨ペアの相関が弱い
ことを示しています。

チャートで値動きを見ると相関係数が+1に近いほど双方が同じような動きをします。

相関係数が-1に近いほど正反対の動きをします。

普段、実際に取引をしているときにトレンドを感覚でしか感じることができませんが、相関係数というものがあるおかげで通貨ペアごとの方向性を数値で表すことができます。

例えば、ユーロ/米ドルと米ドル/スイスフランは負の相関関係にありがちですが、相関係数を用いるとその度合いを数値で確認することができるのです。

ドルストレートとクロス円

FXの通貨ペアはドルストレートとクロス円の2つに大別されます。

それぞれの違いと特徴についてドルストレートからクロス円の順に説明します。

ドルストレートとは

最初に、世界の基軸通貨は米ドルであるということを念頭においてください。

基軸通貨である米ドルを含む全ての通貨ペアをドルストレートと呼びます。

FXにおいては、ドルストレートがレート算出の基準になります。

米ドル/円、ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドル、が代表的なドルストレートです。

その中でもユーロ/米ドルは世界で最大の取引量を誇る通貨になります。

米ドルが基軸通貨なのでたとえ米ドル/円であっても決して円ストレートとは呼びません。

ドルストレートの見方は簡単です。

なぜなら、米ドルを含む通貨ペアは米ドルと他方の通貨を直接交換できるレートだから、つまりストレートに売買できるからです。

米ドル/円の場合、1米ドル = 100円、ユーロ/米ドルの場合なら1ユーロ = 1.2米ドルといったように、シンプルに米ドルと他方の為替レートを見るだけです。

ドルストレートの相関関係

近年において主要通貨ペアである米ドル/円、ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドル、米ドル/スイスフランといった4つのドルストレートの相関関係の傾向を説明します。

米ドル/円と他のドルストレートの関係は、米ドル/スイスフランとは正の相関関係が見受けられますが、他のユーロ/米ドル、英ポンド/米ドルとはそれぞれ負の相関関係にありがちです。

米ドル/スイスフランに対してユーロ/米ドルもしくは英ポンド/米ドルとの間はそれぞれ負の相関関係が比較的強い傾向にあります。

ユーロ/米ドルと英ポンド/米ドルの間には正の相関関係が見受けられます。

ちなみに、相関関係の強弱は、市場の時間帯によっても変化します。

ユーロ/米ドルと英ポンド/米ドルといったユーロとポンドを含む通貨ペアは欧州時間に取引が活発になるため相関関係が増強します。

クロス円とは

米ドル以外の外国通貨と円を組み合わせたFXの通貨ペアをクロス円と呼びます。

その名前から想像できると思いますが、クロス円は、◯◯/円といったように/の後ろに円がついている通貨ペアを指します。

ただし、米ドル/円はドルストレートなので除外してください。

クロス円は、レートが円で表示されて馴染みやすく日本のFX市場で人気があります。

代表的な通貨ペアとしてユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円などがあります。

ドルストレートは単純に米ドルと他方の通貨の価値を表したものですが、クロス円の仕組みはちょっとだけ複雑になります。

米ドル以外の外国通貨と円を交換するクロス円は、円と他方の通貨を直接交換するのではなく、いったん円で交換した米ドルで他方の通貨を売買するという方式になっています。

あくまでも米ドル/円以外の円ペアは、基軸通貨の米ドルを経由しなければならないということです。

いちいち面倒ですね。

FXでは、ドル円とドルストレートのペアをクロスレート(掛け算もしくは割り算)して算出しています。

したがってクロス円は「合成通貨ペア」とも呼ばれています。

クロス円を算出する計算式

クロス円の算出方法は「掛け算通貨」と「割り算通貨」の2通りあります。

比較的利用頻度が高いと思われるのは掛け算通貨です。

代表的な通貨ペアとしてユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円などがあります。

一方の割り算通貨は、代表的な通貨ペアとしてカナダドル/円、スイスフラン/円、香港ドル/円などになります。

掛け算通貨の計算式

ユーロ/米ドルといったように米ドルが 右側にある通貨ペアは掛け算通貨の対象になります。

ユーロ/円の算出例

– 米ドル/円 = 100 (1米ドル = 100円)
– ユーロ/米ドル = 1.2(1ユーロ = 1.2米ドル)

とする

ユーロ/円の求め方は

– ユーロ/円 = 米ドル/円 x ユーロ/米ドル

であるから

– ユーロ/円 = 100 x 1.2

よって

– ユーロ/円(1ユーロあたりの価格) = 120円

割り算通貨の計算式

米ドル/カナダドルといったように米ドルが 左側にある通貨ペアは割り算通貨の対象になります。

カナダドル/円の算出例

– 米ドル/円 = 100 (1米ドル = 100円)
– 米ドル/カナダドル = 1.3 (1米ドル = 1.3カナダドル)

とする

カナダドル/円の求め方は

– カナダドル/円 = 米ドル/円 ÷ 米ドル/カナダドル

であるから

– カナダドル/円 = 100 ÷ 1.3

よって

– カナダドル/円(1カナダドルあたりの価格) = 76.92円

クロス円の相関関係

結論から言うと一部を除きクロス円同士、あるいは米ドル/円とクロス円ともに正の相関関係が強い傾向にあります。

米ドル/円、ドルストレート、クロス円の相関関係

米ドル/円とドルストレートとの間に正の相関関係が強まればそれに相乗してクロス円が上昇します。

例としてユーロ/円が上昇するパターンを説明します。

米ドル/円が買われて、ユーロ/米ドルも買われた場合、その一連の流れが円よりも米ドルが強く、米ドルよりもユーロが強いといった正の相関関係になります。

これは、3つの通貨ペアの強弱が

– ユーロ > 米ドル > 円

を表わしユーロが一番強く円が一番弱い正の相関関係になりユーロ/円が大きく上昇するパターンとなり買いのチャンスとなります。

まとめ

今回、説明した通貨ペアの相関関係について以下にまとめました。

通貨ペアの相関関係は

– 正の相関関係:2つの通貨ペアに同じ方向性がある

– 負の相関関係:2つの通貨ペアが逆方向に向かう

以上2つのタイプがある。

相関係数とは

– 相関関係の方向性と強弱が数値で表示した-1~+1の範囲の値

ドルストレートとは

– 基軸通貨である米ドルを含む全ての通貨ペア

ドルストレートの相関関係

– 正の相関関係:「米ドル/円」と「米ドル/スイスフラン」 「ユーロ/米ドル」と「英ポンド/米ドル」

– 負の相関関係:「米ドル/スイスフラン」とユーロ/米ドル 「米ドル/スイスフラン」と「英ポンド/米ドル」

クロス円とは

– 米ドル以外の外国通貨と円を組み合わせたFXの通貨ペア

クロス円の算出方法は

– 掛け算通貨(ユーロ/円など):米ドル/円 x 米ドルが右側にある通貨ペア

– 割り算通貨(カナダドル/円など):米ドル/円 ÷ 米ドルが左側にある通貨ペア(米ドル/円を除く)

クロス円の相関関係

– 一部を除きクロス円同士、あるいは米ドル/円とクロス円ともに正の相関関係が強い傾向にあ

米ドル/円、ドルストレート、クロス円の相関関係を利用した手法の例

ユーロ/円が大きく上昇するパターンは

通貨ペアの強弱が

– ユーロ > 米ドル > 円

の順になったときである。

いかがでしたでしょうか。

最後にユーロ/円が上昇するパターンを説明しました。

クロス円は2つの通貨ペアの方向が揃ったときに大きく動く傾向にあります。

そして、ユーロ/円に限らず英ポンド/円などのについても同様であるといえます。

クロス円は、大きく稼げるチャンスもありますが、読みを外すと損失も大きく被ることになりかねません。

もう一つの注意点は、その性質上スプレッドが広くなりがちでコストがかかります。

クロス円のリスクとリワードを把握したうえで大きな利益を狙ってみてはどうでしょうか。

----------------------------------------------

当記事の転載、複製、改変等は禁止いたします
定期的に【Copy Content Detecter】で確認しています
場合によっては、使用料や損害賠償を請求させて頂きます
シェア・マガジン登録は歓迎です!
引用して記事を書くのもOKです☆

----------------------------------------------

今後とも応援よろしくお願いします(^^)/