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Seven dreamersの倒産について考えておきたい3つのこと。

社長の阪根信一さんとは最初サンフランシスコで知り合い、イベント絡みで何度かご一緒したこともあって、打合せした回数も数回ですがありました。人の紹介をいただいたり、けっこうよくしていただいた立場です。そういうのもあって、あまり表だって語るつもりなかったんだけど、先日倒産が大々的に報道されたセブンドリーマーズさんについて、いろんな人が触れてるのをみてこれだけは言っておきたいなあと思うことを書きます。主に3つあります。

1:今回の事業の失敗に関して「ニーズがなかった」的な文脈で語るのはやめたほうがいい。

まだリリースされてない、しかも新しい市場をつくろうとしたプロダクトのニーズをおしはかることは、新規事業そのものや出資したみなさんの存在意義自体を否定することになるなと。阪根さんからは直に何度かマーケットをどうみるか、ビジネスモデルは、PR戦略はというお話を伺うことがあって、新しい市場をつくるためにさまざま考えられてたわけです。残念なのは、技術的問題と、それに伴う資金難ゆえプロダクトが実際に投入されることがなかったこと。投入後のことは誰も予想できません。それは分けて考えたほうがいいなあと(特にNewsPicksあたりでピックされる心あるビジネスパーソンは)

2:いちばんおそれているのは、大企業からのベンチャー投資がタブー視されてしまう結果になること。

1が強調されすぎるとこれがさらにおきやすいわけです。最近は景気のいい話が多かったからベンチャー投資やるプレイヤー増えたけど、もともとハイリスクハイリターンだし、そこの事業可能性に賭けたから大企業ものっかった。そしてそれは、大企業単体ではなしえないビジョンだった。もしかしたら大企業側からの十分な技術支援があればできたのかもしれない(し、できなかったのかもしれない)。結果ではなくプロセスを省みて、そこから学ばないとだし、ベンチャー出資自体が悪と一方的に決め付けられる風潮になってしまうとお互いにとってよくないと思うわけです。

3:大企業からスタートアップへの雇用の流れが止まるのを二番目におそれています。

セブンドリーマーズで印象的だったのは、40代から50代前後の社員の方と廊下でよくすれ違ったことで、阪根さんも会社が拡大する中で「日系メーカーからエンジニアなどを雇ってる」とおっしゃってたと記憶してます。日本の大手メーカーの中で大変な状況になってる会社もある中で、あたらしいことを大企業を飛び出して開発するというチャレンジができるのはとてもいいことだと思ったし、そういう場を提供している阪根さんをぼくは尊敬してます。特にメーカー系エンジニアが会社が傾いたときに行き先があるのか。受け皿は誰かがつくる必要がある。その挑戦が途絶えたことはとても残念です。

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セブンドリーマーズさんは、阪根さんがもともと英語堪能で、最初から海外投資家をあたったり、海外のピッチコンテストに登壇したり、CESに毎年出展したりと、常にグローバルを意識した展開をされてました。ゴルフシャフトや医療機器の事業も好調な中、あえて本気でグローバルに通用するプロダクトをつくろうとして難易度の高いロボット事業に乗り出した。その挑戦自体、ぼくも応援してたし、賞賛されてしかるべきだと思ってます。経営者としてはこれからもやることも多く大変だとは思いますが、また新しいチャレンジをしてほしいし、それを応援する社会で日本があってほしいです。

阪根さんはぼくがイベントに声をかけると、お忙しいのにフットワーク軽く対応をいつもしてくださる気さくな方でした。会社に訪問したときも暖かく迎えてくれ、お時間を割いてくれました。けど、1年ちょっと前くらいに大型調達をされた後だったか、ある会話をしたときに「ああ、けっこうなところを戦ってらっしゃるなあ」と薄々と感じたのは記憶しています。まして注目度が高かったから、プレッシャーは相当なものだったろうと思います。

起業家は今更ぼくがいうのもおこがましいけど、いつだってギリギリのところを戦って、新しい価値を世に波及させたいと、問いを続けている。そのこと自体を否定するようなことはぼくは絶対言いたくないし、世の中の人たちにもちょっと考えてほしいと思っているところではあります。

悩んだのだけど、ここでなんとなく触れないのもなあ、と思ってあえて書きました。阪根さん、まずはお疲れ様でした。何がぼくにできるかは正直わかりませんが、これからも応援しています。

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