透明水彩の空を飛ぶ 【50】

その後、卓哉のお陰で話せる仲間も増え、それぞれの環境の変化にも慣れた。
裕海はますます力をつけ、中学生後半の頃にはもう、裕海と卓哉、そして優希と晴夏という女子二人を含めたチーム“Sync”として何度か大会に挑むほどになっていた。

中三の時に初めて全国大会で優勝し、高校受験を一度挟んだものの、そこからは数々の大会で賞を取るほどにまでなっていた。
ワイドショーで出場した大会が取り上げられたこともあり、Syncとそのメンバーの名前はそこからかなり広まることとなった。

そうしていくうちに、メンバー四人はすっかり何でも話せる大切な仲間となっていった。
大会に向けての振り付けや曲の選択について話し合うだけではなく、お互いの悩みや女子は特に恋バナなど、そういった個人的なこともかなり共有するようになった。
時には意見がぶつかって喧嘩をすることもしばしばあったものの、最後には必ず仲直りして元に戻っていた。
裕海にとっては、学校の人よりも遥かに頼れる最高の仲間だった。

そして高三の初めの頃には、数々の成果を残してきたこともあり、直属の事務所から「高校を卒業したら、ボーカル&ダンスユニットとして活動してみないか」という声までかかってきた。
四人はこれにすぐ頷いた。

俺にはダンスがあれば、この先も生きていける。
大丈夫だ。

裕海が自分の未来をそう確信していたその時に、あの悪夢で見た悲劇が起きたのだ。

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透明水彩の空を飛ぶ【完】

「俺、ヒーローになりたい」 未来を見失った学生と人を救いたい少年の、思いが繋ぐ物語。 (全70notes/執筆期間:2016年夏~2018年初め)
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