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“二畳半カフェ” はじめました

はじめに

「趣味」という言葉を前に、眉間にシワを寄せる。

自己紹介をするとき、初対面の人と話すとき、話題が見つからないとき、履歴書を書くとき——これまで幾度と目にしてきた、馴染みの深いワードだが、25歳になった今、改めて「趣味」を捉え直す必要に迫られていた。

事の発端は、2週間ほど前だっただろうか。

夫の実家が近い、とある城下町の商店街を訪れ、いかにもオシャレなカフェに足を踏み入れた。白と茶色をベースにした店内装飾が、心地良さを演出し、1Kアパートくらいの広さが、ほど良い親近感を与える。

カウンターでお互いのドリンクを注文し、席につくと、どういう脈絡からか夫が「趣味」について話し出した。

マウンテンバイク、カメラ、登山、英語学習、ゲーム……夫の趣味は、私が知る限りでもたくさんあるし、きっとこれからも増える。

多趣味な夫の話を聞きながら、(あまり興味がなかったので)適当な相槌を打っていると、それを見兼ねたのか、「趣味は見つけたほうがいいよ」と諭された。

「はあ、趣味ねえ……」

暇さえあれば「スマホでゴロゴロ」が定番の私には、これといった趣味がない。カメラや登山、マウンテンバイク。彼の趣味に乗っかろうかと考えたこともあったが、幾分、初期投資の高さがネックで手を出せず仕舞い。

何かないものだろうか、と考えたときに目に飛び込んできたのが、さきほど店員さんが運んできた「カフェドリンク」だった。

甘夏みかんソーダ、アイスのほうじ茶ラテ。

それらを眺め、「自宅でカフェドリンクが楽しめたら…?」と想像をする。キッチンは“二畳半”ほどのこじんまりとしたスペースだが、ドリンクを作るには十分な広さだろう。初期投資だって、最初は数百円の材料費だけで済む。ミキサーもあるし、必要なものは後から足せばいい。

「決めた、うちで“二畳半カフェ”始めます」

高らかにそう宣言すると、夫はワケが分からないといった具合に、こちらをぽかんと見つめていた。

“二畳半カフェ”、 何をやるのか?

完全な見切り発車からスタートした「二畳半カフェ」だが、要は「お家で自分の飲みたいカフェドリンクを気ままに作りますよ」というだけの話だ。

当然ながら、私はカフェドリンクに関する知識は一切持ち合わせていないので、完全に独学とフィーリングで突き進むことになる。

ただ、やるからにはそれなりの姿勢で挑みたいので、本屋で「カフェドリンク」にまつわるレシピ本を一冊購入し、それを参考に作ったものをnoteでアーカイブしていこうと思う。

よって、このnoteでは、具体的なカフェドリンクのレシピを紹介するのではなく、オシャレなカフェに憧れる一人のミーハー女子が、趣味の一貫として(カフェにありそうな)ドリンクを自宅で作る様子を記録的に綴りたい。

ときにコラムや、その時々で感じたことを織り交ぜながら。

本日の一杯  『しゅわ泡、夏みかんソーダ』

記念すべき一杯目に作ったのは、『しゅわ泡、夏みかんソーダ』。近所のイオンで1個98円の夏みかんを手に入れた。

ざっくり6等分にカット。

皮をむきますが、大雑把な性格のため白い筋をとらなかった私。あとでミキサーにかけるものの、筋の食感はずっと残るので、このとき面倒臭がらずに取ればよかったと後悔……。

皮をむき終わったら、一口サイズにカットし、ミキサーへ。

とろとろの状態になったら、氷を入れたガラスコップに移し、シロップを少し。最後に炭酸水を注ぎ込み、ゆっくり混ぜ合わせれば完成!

つぶつぶとした夏みかんの食感に、しゅわっと弾ける炭酸水。お店で出せるようなクオリティではなかったけれど、初回にしてはいい感じ。

夫に渡したら、「うん、まあ」とだけコメントをもらった。手厳しい。

何はともあれ、趣味らしい趣味の入り口に、私もたどり着けたのではないだろうか。

熱しやすく冷めやすいタイプの私が、いつまで二畳半カフェを続けられるかは怪しいが、できるところまでやってみようと思う。

はじまりは、いつだって慎重に。じっくり、ゆっくりと芽を育てたい。

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