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ノリコノミクス

令和3年9月21日に、立憲民主党の石垣のりこ議員がドヤりながら、 2019年に私の考えた政策は間違ってなかった的なツイートをしました。
その中で消費税を0にして所得税と法人税だけで賄い、かつ最低賃金を2000円にするというものがあります。
では、消費税を0にして所得税と法人税だけで賄い、かつ最低賃金を2000円にするとどうなるか。私なりに考察しましたので書いていきます。

最低賃金を2000円するとどうなるか

過去日本で米農家を保護する目的で米の市場価格が下落してしまことを防ぐために米の下限価格を設定していました。その結果米の需要が減り、パンの需要が増え、米離れが進みました。
人件費も同様に需要、つまり求人が減ります。 実際に最低賃金が1280円ほどのフランスでは若者の失業率が20%と高く、社会問題になっています。最低賃金が1500円のアメリカでも高校生や低学歴の人の失業率が高くなっています。もし日本で最低賃金を2000円にすると同じことが起きます。企業は高い人件費を抑えるため、雇用人数を絞ります。
少ない人数で経営しようとするため、デジタル技術に投資をし、さらなる少人化をすすめ、恒久的に求人が減ることが考えられます。そのため、少ない求人を多くの仕事がない若者で奪い合うような超買い手市場に陥ります。しかし大丈夫、優れた人材はどこに行っても求められます。高学歴な人やスキルを持っているような人は安心です。リーマンショックの時も、バブル後の就職氷河期の時も一部の人たちは就職できていたし。
そうじゃいない人はどうなるのか?そんなのは知りません。ノリコノミクスはそういうものです(`・ω・´)
ただ、それを回避する方法もあります。 あまった商品を政府が買い上げて、安い価格で外国に販売するという方法があります。デンマークではバターでそれを行っています。最低賃金を引き上げて余るのはバターではなく労働力になります。 余った労働力を政府が買い上げます。その結果政府が無理に仕事を作る政策が横行し始めます。いわば無駄な仕事を増やすわけです。国民のために仕事を確保し、労働力のはけ口にするわけです。 皆さんは市役所などの行政に対して仕事が遅いとか無駄であるとか不満を持っていないですか?
不満があるという人!その不満が更に増加します。
賃金を引き上げることで、結果的に無駄な政策がふえるわけです。
また、闇市場が拡大することもわかっています。
アメリカでは最低賃金を下回る賃金で働いてくれる人がいます。不法入国者です。不法入国者は安い賃金でも仕事が欲しいし、雇用主はコストが安いためウィンウィンの関係になっています。日本では個人事業主という抜け道を使って安い費用で人を使うことができます。具体的にはウーバーイーツです。ウーバー
イーツの配達員はウーバーイーツで雇用しているわけではなく、みな自営業です。自営業者は賃金ではなく、売り上げで働く人です。1時間の売り上げが100円であろうが、100万円であろうがすべて自己責任という人たちです。
企業は自営業者と契約を結び、最低賃金
よりも時間当たりの支出が低くなるようにするでしょう。
最低賃金を上げるためには国が経済的に成長していくしかないのです。

消費税を0にしてその分所得税と法人税を引き上げるとどうなるか

令和2年の国の消費税収は21. 7兆円、 所得税収は19.5兆円、 法人税収は12. 0兆
円。消費税率0%は21.7兆円の減収となります。日本を含む先進国は個人·法人税を減税し消費税を増税する税制改革を進めてきました。理由はさまざまありますが、所得は海外に移し、把握することが難しいが、 消費の把握が容易く、課税するベースが広いという税制上の事情があげられます。
先進国すべてに共通した大きな税制の流れを、日本だけが逆行するような動きをとることがグローバル化している経済の中で果たして可能であるのかという問題があります。 
グローバル化している今、日本から逃げ、法人所得や個人所得を海外に移転させることは非常に容易であり、日本に税収として落ちてこないという問題もあるわけです。
所得税について簡単に触れておくと、所得の税率は5%から40%の6段階に区分されており、195万円以下5%、330万円以下10%、695万円以下20%、900万円以
下23%、1800円以下33%、1800万円以上40%となっています。
日本の納税者5060万人のうち58%の2920万人が195万円以下で、25%の1
280万人が330万円以下となっています。 
つまり納税者の83%にあたる4200万人に適用される税率は5%か10%で、その上の695万円以下20%税率が適用される
人を含めると4858万人96%となります。
一方、1800万以上の40%の税率が適用
されるひとは50万人であり全体の1%にも満たないのです。仮に21.7兆円の消費税のうち、半分の10兆円を所得税で賄おうとすると、大部分を占める、695万円以下の納税者に負担を強いることになるわけで、必ずしも高額納税者だけにしわ寄せがいくような話ではないのです。 消費税は高齢者を含める国民全員が負担をしますが、所得税は国民の約半分である勤労者だけが負担します。 
消費税を廃止して所得税だけで賄おうとすると1人当たりの納税額は平均的に2倍になり、高額納税者だけが負担するだけで済まないのは明らかなのです。
また、法人税を引き上げたときにその税は誰が負担するのかを考えなくてはなりません。法人税を引き上げると企業は製品やサービスの価格を引き上げることになるわけで、その負担は消費者に転嫁されます。小麦粉の価格が高くなると、パンの値段が上がったりしますよね。それと同じです。

まとめ

最低賃金2000円にすると企業は採用人数を絞るため、学歴やスキル能力がある一部の人は就職できますが、低学歴の人などが就職できない状況になります。皆さんの中でステップアップのため現状よりも待遇のいい会社に自分を売り込み転職する自信はありますか?
自信がある方は最低賃金が2000円になってむしろ給料が上がっていいかもしれません。
しかし多くの人はそうではなく、食いあぶれます。また、企業は日本の中で戦っているわけではなく、世界中の国の企業と市場を取り合っています。日本の最低賃金が上がるということは、人件費コストがかさむため、国際競争力が落ちるわけです。
そこで人員を減らし、コストカットを進めます。企業は結構薄情なのです。そもそも潰れたら多くの従業員が路頭に迷うわけで、そのためにリストラや早期退職を促し、人件費という固定費をカットしていくわけです。
働き口のない労働者は、ウーバーイーツの配達員のように個人事業主の自営業者となり、実質低い賃金で働動くことになります。経済成長という観点から、有能な人材に対して現状よりす高待遇の賃金で雇用し、コストカットのために不要な人員を削減していくという点は、まあいいのかもしれませんが、立憲民主党が主張する格差社会の是正とは逆行する政策なのです。
また、消費税を0にすると23.1兆円の財源がなくなり、それを所得税で補おうとすると、低額納税者と中額納税者に対し負担を強いる必要があり、現在所得税を納めている人は、 消費税額の2倍の所得税を納める必要性が出てきます。 
さらに法人税を増やして賄おうとすると、その企業は製品やサービスの価格を引き上げます。また、最低賃金が2000円なので、人員を減らしてコストカットを行ったり、下請けの会社に圧力をかけてコストカットをする企業も出てきます。
思っているより企業は薄情ですから。
つまるところ、 経済成長した結果の最低賃金2000円や消費税0%というものは成り立つ部分もありますが、現状の状態で実施しようとすると逆に弱者にしわ寄せが行き格差社会が進行します。 また、日本の企業の元気がなくなり、倒産する会社もあらわれて経済が停滞する可能性も出てきます。 するとさらに就職ができないような状況になります。韓国はいたずらに最低賃金だけを上げたため、失業率がひどい状況になっています。
立憲民主党はアベノミクス失敗だと評価しました。その理由の一つとして輸出業を中心に収益増となり、株価も上昇したが、将来のインフレ期待に働きかけての消費増とはいかず、物価安定目標2%も達成していないことを上げています。
逆に聞こう。このノリコノミクスはいったい何を成し遂げることができるのでしょうか。株価も上がらないし、収益増にもならないでしょう。
最低賃金の引き上げっていうのは一番末端で効果が表れにくいいところだと個人的には思っています。 
それを最初に解決しようとするといろんなところで歪を生みだします。
ノリコノミクスは聞こえのいいことを言っていますが実行すると明らかに格差は開きます。
そんな政策を、格差をなくしたいと思う人たちが支援しているわけです。
個人的には人の期待にたいして無責任なことを言っていると思っていますし、そういう点で、看過できないと思っています。 アベノミクスは100点満点ではなく、50点だったかもしれないし、40点だったかもしれない。でも、ノリコノミクスは0点だと思っています。
アベノミクスを評価する前に自分の党の国会議員が出したことについてちゃんと評価した方がいいと思います。
逆に言うとそれをせず、野放しにしているところも悪質だと感じています。
アベノミクスが成功か失敗かは第三者的な人が評価すればいいわけで、自分たちの等の評価を上げるために無理やり批判するものではない。それよりもノリコノミクスについてきっちり評価したほうがいいわけです。

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