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人は本を読む。そして、捨てられない生き物だ。

三崎の蔵書室、「本と屯」をはじめて2ヶ月経った。
昨日の日曜日は清々しく晴れた日だったから、三崎も観光客で賑わっていた。
バスが来る時刻までのヒマつぶしとして、本と屯に寄ってくれた人が多かった。
本がある空間に一歩入れば人は本を読むし、なにかしらの刺激を受けるものだ。自分が好きな作家や、気になっていたワードが目に飛び込んできたときは、「あっ」と声をもらさずにはいられない。
この小さな物体の中に、未知との遭遇があると思うと、やはり本はいいもんだなあ、と思う。

本と屯によく来る親子がいる。
5歳の娘はよく本を読む。うちにある絵本はだいたい読み終えたんじゃないかな。そのお母さんもまた本が好きで、というかマンガが好きで。
家にあったダンボール4箱分のマンガを寄贈してくれた。
地元メディアに紹介されてから、寄贈したい、というとてつもなくありがたい話しをいただくことがある。今回はその第一号。
ぼくも本は捨てられないタイプだけど、この人も捨てられないんだろうなあ。
ダンボールを開けて、タイトルと作者を見る。
その人の「素」の一部になっていることが、よくわかる。
人の本棚ほどおもしろいものはないと思っているんだけど、本当にその人を構成している「素」が垣間見えるからおもしろい。
魚喃キリコ、岡崎京子、南Q太、一条ゆかり。

この本たちをどうやって並べよう。
こういう編集の頭の使い方は、とっても好きで、この場所に入ってきた人がどういう目線で、どうやって手を伸ばして、本を開くか。そのことをイメージするだけでワクワクする。
マンガが増えたことで空間全体の温度も変わってくる。

ぼくが10代のときに、こんな本の空間があったらいいな。と思って空間を作ってみよう。手を伸ばしたくなる陳列にしてみよう。
こうやって捨てられずに眠っていた本たちが、また日の目を見ていろいろな人に読まれると思うと、「本、よかったな!」と心底思う。
本と屯では、引き続き寄贈したい方を募集しております。
とくに絵本、マンガ、図鑑などは大好物でございます。

「今日、亀を買ったんです」。
ひとりの少女が紙袋の中から亀を取り出した。
緑のパーカーに、亀だなんて。
次は亀と一緒にゆっくり本を読みにおいで。


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