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あなたが読み終えた本は、誰かの始まりの本になる。

三崎の蔵書室「本と屯」を開けて4ヶ月が経った。
この4ヶ月に不思議なことが何度も起こって、何度も目を丸くしてきた。

朝、扉の前に紙袋が置いてあって、中には20冊ほどの本と手紙が入っている。
「捨てられないし、置いてあっても読まないので。誰かに読んで欲しいから」
その手紙を書いて、袋に本を詰めて、扉の前に持ってくる途中の道すがら、どんな気持ちだったんだろう。どんな人が持ってきてくれたんだろう。

近所のお兄さんがダンボール4箱分の本をくれた。音楽とスケボーが大好きな人。その人はしょっちゅう来ては、自分が寄贈した本を眺めて、読み返したりしている。「家の中にあったときの本の表情と、本と屯に置いてあるときの表情が違う」そう彼は話す。

昨日のこと。
本と屯で店番したいという女性が先々週現れて、月曜担当でお願いすることにした。彼女は生真面目で、店先の掃き掃除から、棚の整理、スリッパの向きまで揃えてくれる。
知らない番号からいきなり電話がっかってきて、「ここに自分のやりたいことがすべて詰まっている」と彼女は言った。ぼくはそれが最初まったく理解できなかったけど、彼女がお客さんと楽しそうに話したり、子供の相手をしたり、本を媒介に人との繋がりが生まれるのを目の当たりにして思った。
今すこし、「時空を超えた」って。

地元の中学生の女の子がよくうちに来る。
彼女は根っからの読書好きで、いつも2時間以上黙って本を読む。
そんな彼女が昨日、読み終えた絵本を持ってきてくれたそうだ。

またも目を丸くした今朝だったんだけど、置き手紙と本が置いてある。
三崎に引っ越してきて、こんなに優しい「人の営み」に感動するとは思ってもいなかった。

人に優しくすること。その循環が無理なく自然に生まれる空気が、
ここにはある。


本と屯では、現在木曜に店番したい、という方を募集しています。
時間は12時ー18時ぐらい。
横須賀、三浦在住の方希望ですが、通える気持ちのある方であれば問題ございません。
ご興味のある方は、ミネシンゴまでご連絡を。



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