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赤い電車で行こう。「本とパンと。」

三浦市三崎で2日間かぎりのブックイベント「本とパンと。」を開催しました。
2日間でのべ120名以上の方が来場して、アタシ社にある蔵書600冊を楽しんでもらいました。
やってみた率直な感想は「人って、こんなに本読むんだ」ということ。


本の販売はメインとせず、「本との接点」をつくる環境づくりに徹して、当日は逗子のアンドサタデーcoffeeさんに珈琲を淹れてもらい、三崎にある充麦さんに「本のパン」をつくってもらった。


自由に閲覧できて、座って本が読める空間は、街にとって必要なんだな、としみじみ思った。
小さなお子さんから、年配の方まで幅広い方が来てくれて、それにともなってどんな本が読まれているのかも、わかる。
その人のライフスタイルが会話の中から出てきたら、それに関連する本を薦めることもできるし、偶発的に手に取った本が素晴らしい出会いだったりする。
本のある空間はなんてドラマチックなんだ。

開催中、一番驚いたのは、置いてあった都筑響一著の「TOKYO STYLE」に掲載されている当時の部屋の住人が来たことだ。

こんなことってあるんだな。この名著に載っている部屋に住んでいたなんて。
「安いのは和風」。丁寧な日本語を話す方だった。こういうのがなんだかとっても嬉しい。

文芸誌「新潮」編集長の矢野さんも来店してくれた。
棚にあった「複雑系」を編集したと聞いて驚いた。

アタシ社の蔵書以外に、大学生の谷口くんにもコーナーを作ってもらった。
文庫ってやっぱり手軽で、愛おしくて、本として最高にいい。「自分なくしの旅」は読んでみたいなあ。

本棚は「思考の履歴」だと思う。
あの時代に、あんな気分で、そんな想いでこの本を読んでいたな、と表紙を見ると思い出す。
当時まったく理解できなかったあの本も、今ならわかることもある。
なんでこんな本を読んでいたんだ? と思うこともある。
本はその人のアイデンティティそのものなんだなあ。

本とパンと。にお越しくださったみなさま、ありがとうございました。
場所をお借りした米山船具店の向かいには、長年続く「三崎堂書店」がある。
三浦市にはここを含めて3軒しか書店がない。
版元として、街と本屋とうまく関われる道を模索して、これからもがんばっていきたいです。

ミネシンゴ


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