朝ドラ「虎に翼」が最高に面白い
「虎の翼」は、日本初の女性弁護士で、後に裁判官を務めた三淵嘉子さん(1914~84年)の人生をモデルとした物語です。「女性は裁判官になれない」と言われた時代に、日本初の女性弁護士のひとりとして奔走した嘉子さんの生き様が描かれたストーリー。毎回見どころが多く、今回は、第1話〜第5話までのダイジェストと、それに絡め私自身についても触れてみました。まだまだ始まったばかりの物語、これを読んでご興味を持っていただける方がいれば嬉しいです。
第1話
女学校を出たら結婚し、子供を産み、家庭を守るのが当然とされていた時代。そこに納得できない主人公の寅子。やりたいことはないものの、結婚するのも何かが違う…。
そんな気持ちを話すと、同級生で親友の花江には、「親不孝」と言われてしまいます。モヤモヤを抱えながら、お見合いに渋々お見合いをする事になった寅子は、わざと嫌われる事ばかり言いい、お見合い相手に断れらます。
寅子は、結婚して子供を産む事だけが、女性の幸せだと思えなかったのです。
<わたしのこと>
私自身は、幼少期に「先生と呼ばれる人と結婚しなさい」と言われて育ちました。大学の先生、医者の先生、弁護士の先生、とにかく先生と呼ばれる人が良いと。
その時、私の中にずっとあった疑問は、なぜ、「私が先生になってはいけないの?」でした。「どうして、私はその結婚相手なの?」と、その疑問をずっと抱えていたと思います。
高校生の頃に、ジェンダー(※)の概念を初めて触れた時、心が震えたことを、今でもよく覚えています。図書館で、ふと手に取った遥洋子さんのこの本を何度も繰り返し読みました。
※ジェンダー(Gender)とは、
文化的・社会的に構築された性差の概念のこと。
生まれつきの体の性、生物学的性別(Sex)とは区別される。 「女性」の身体を持つ人は「女性として」振る舞うことを、「男性」の身体を持つ人は「男性として」振る舞うことを社会から期待される。
第2話
寅子がお見合いに苦戦する中、親友の花江は寅子の兄・直道との結婚準備を順調に進めていました。在学中に結婚することが夢だった花江。寅子には女性が当然歩むべきとされる道がピンと来ません。
そんな中、大学の夜間部に通う下宿人・佐田に弁当を届けに行った寅子は、教授・穂高と裁判官・桂場と出会います。この出会いが寅子の運命を変えることになります。寅子は学生が「婚姻にある女性は無能力者」と発言しているのを耳にし、思わず「はっ?」と大声を出してしまいます。
<わたしのこと>
小さい頃、幼馴染から近所の公園で野宿をする計画を聴いた時に、私もしたいと母に伝えると、「あなたは女の子だからダメ」と言われたことを今でも覚えています。今、思い出すと、野宿自体がNGだった(そりゃ、そうだよね)と思うのですが、「女の子だから」という理由に納得がいかなかったのですね。
10代の頃は、なんで私は女性として生まれてきたのだろう、男性に生まれたかったと思っていました。「婚姻にある女性は無能力者」、ここまでの風潮はすでに無かったにせよ、どこかで、女性として生まれてきたのは損と本気で思っていたのです。自分の女性性を否定し、男性の様になろうと思っていたのもこの頃です。
第3話
寅子は「女性が無能ということでしょうか?」と桂場と穂高に疑問を投げかかけます。思いのままに気持ちを明かす寅子に穂高は感心し、自分が教授を務める明律大学女子部法科に入るよう勧めます。
そこは、女性も弁護士になれる時代が来ることを見越した女性のための法律の学校でした。進学に賛成してくれた父・直言を味方につけ、母・はるに内緒で寅子は願書の準備を進めることになります。
<わたしのこと>
大学でジェンダーやフェミニズムを学問として学んだ事は、私に大きな力を与えてくれました。学びの中で、「エンパワーメント」という言葉も知りました。
エンパワーメントとは、変化をもたらすための内的な力(個々に内在する能力、行動力、自己決定力)を取り戻すことです。意識や社会の制度・慣行の中 にあるジェンダー・バイアスに気づき、創造力や批判的思考、分析力を形成し、主体的に行動できる力をつける学びのプロセスとも言われています。
今、私が関わっている仕事(コーチング、エサレンマッサージ、大学講師など)は、余すところなく、すべて人の「エンパワーメント」に関わる活動。その原点は、大学での学びが大きいです。学ぶことの大切さを改めて感じています。
第4話
寅子は、母・はるに女子部の話をなかなか切り出すことができません。そうこうするうちに花江と直道の結婚式が迫って来ました。
式が終わるまで大人しくしていてと花江に釘を刺された寅子は、「したたかに」ふるまう作戦に出ることに。しかし、重要な場面で男性の横でスンッとしている女性の姿には納得できない寅子は、笑顔で大声で歌いながら、怒りの感情を感じていました。
結婚式が終わったとタイミングで、学校のことが母・はるに知られることに。母は進学でなく、必死で見合いを勧めます。説き伏せようとする母に、寅子はこう伝えます。
<わたしのこと>
寅子の語る様に、自分のやりたいこと、挑戦したいことを遮らないでただただ聴いてもらえる体験。私にとっては、それがコーチング体験でした。
私にも出来るかも、勇気を出して進んでみよう。
コーチングには、そんな力があります
周囲の期待に沿うように生きる人生を脱却していくプロセス。
「人生のハンドルを握り返す」という表現もされる通り、コーチングは、自分自身であり方と行動を選択することが出来ることを自覚し、人生を創造的に生きる力を養うことに役立ちます。
私は、日頃、コーチとして、そんな生き方をしていく方の伴走をさせて頂いています。これからも、創造的な生き方をしていきたいと願っている方々に、更にコーチングを届けていきたいと思っています。
第5話
それでも、はるは寅子の大学進学へ大反対。はるは寅子に現実の厳しさを教え、翌日改めて振り袖を買いに行くと寅子に伝えます。
母・はる自身も、女性としての葛藤と痛みを抱えていました。
幼少期を振り返り、勉強もさせてもらえず、実家の旅館のために嫁ぎ先を探されていることに嫌悪感を抱き、直言と結婚したことを告白。自分は子供の幸せを一番に考えられる母親になろうと思ったことを寅子に伝えます。
翌日、寅子は母との待ち合わせ場所で、裁判官・桂場と再会します。母を説得する方法を寅子が相談すると、そんな寅子の思いを桂場は一刀両断します。それを聞いていたはるが、感情を剥き出しにして話に入ってきます。
心から娘の幸せを願う母・はる。自分自身の人生と願いにつながりながら、寅子に想いを伝えるシーンは圧巻でした。
「うん」と即答をした寅子に母は、六法全書を書い与えます。
<わたしのこと>
数年前、私も母と本音の本音で話をしたことがあります。小さい頃に消化できなかった想いや出来事、それらを話したとき、初めて母の本音も聴くことが出来ました。
母がどれだけ私のことを大切に思ってくれていたのかを、知ることができました。同時に、母の痛みや葛藤も伝わってきて、初めて「対話が出来た」と思ったのでした。
あの対話がなければ、まだ、私は過去に引きづられていたかもしれません。この対話が出来たのもコーチングがあったからこそです。
「自分の人生を歩んでいく」。
その覚悟が確固たるものになったのも、母との対話があったからと思っています。
おすすめの本のご紹介
最後に、このドラマをより理解する上で、おすすめしたい本をご紹介します。
モーリーン・マードック著『ヒロインの旅』という書籍です。
男性的な価値観の社会において、女性が完全な存在になるには何が必要か?という問いの中で、失われた女性性と男性性の融合=「全体性」を目指して、ヒロインが旅をしていきます。
まだ第5話までの「虎に翼」の中でも、この本に出てくるエッセンスを沢山感じることが出来ました。
私はこの本を約半年間、コーチ仲間と読者会を通じて読み進めました。
私には、どの章も自分の事が書かれていると感じる内容ばかり。一人ひとりのストーリーを分かち合いながら、自分の理解を深めていく時間は本当に豊かなものでした。まさに、それは、一人ひとりのヒロインの旅に他ならないと感じるものでした。
競争主義的な生き方を見つめ直したい方、もっと自分の中にある女性性を大事にしたいと思っている方、感情や感覚も大切に扱っていきたいと思っている方、性別問わず、すべての人におすすめの本です。
最後に
今回は、ドラマのあらすじと照らし合わせ、私自身のことについても触れました。その中で、コーチングを通じて大切にしていることもお伝えさせて頂ける機会でした。
このnoteを読んで下さっている方の中で、人生の転換期にいると感じている方、一歩勇気を出して進んでいく力が欲しいと思っている方、自分の信念や願いにつながった仕事をしていきたいと思っている方とコーチングでご一緒できたら嬉しいです。ご興味を持っていただいた方は、体験セッションでお話させてください。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。次週以降のドラマの展開も心から楽しみです。
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