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ストーリーのあるお菓子 ⑧ バニラキャラメルバターケーキ

 キャラメルフレーバーって、テッパンですよね。もちろん私も大好きw

自由が丘のパリ・セヴェイユでキャラメル風味のパウンドケーキを見つけ、キャラメル味と焼き菓子に目がないですもの、もちろん即決で購入。しっとりしたバターケーキ生地にキャラメルの苦さがしっかりききながらも、お菓子としての甘さもバランスよく出ていて。

どんなお菓子を作りたい?と聞かれたら、シンプルだけど食べるとハッとさせられて、脳みその中のもう一度食べたいリストにすぐ上書きされるような、そんなお菓子を作りたいな~と答えるのですが、まさにこのお菓子がそう。

このコ、絶対うちのコにしたい!

こんなお菓子が作りたい!モデルケースがある場合は、そのお菓子を舌と脳の記憶を頼りに仮説を作り、製法と配合を組み立てます。シンプルなお菓子なのですぐに組み立てられるのですが、すぐにこれは手強いお菓子だと気付いて。

パウンドケーキ・・・、バター、砂糖、卵、粉をそれぞれ1パウンド(450g)ずつ使って作るバターケーキ、基本のお菓子として紹介される基本のお菓子。と書くと比較的初心者でも簡単に出来そう!なイメージがあるのですが、バター(脂)と卵(ほぼ水分)を上手につなげる(乳化)作業はなかなか大変。だから乳化剤なるものが開発されるわけで。特に脂と水分がほぼ同割というのは一番つながりにくい配合。

もちろん製法を工夫すれば初心者でも比較的簡単につなげることは可能なのですが、その製法ではあのしっとりした食感には作れない。一番面倒なバターに全卵を加えて乳化させる方法でなきゃダメ。・・・実はこの製法で作るバターケーキが苦手。

でもどうしてもこの製法で作りたい!

人間、どうしても叶えたい事には本気でなんとかしようと思うものでw、あれこれ試行錯誤するうちに、「温度」が大事なのでは?と気づき、温度管理を数値化してみたところ安定して美味しいパウンドケーキが作れるように!
超文系人間なので数字で管理するのは苦手なんですが(苦笑、この21世紀、家庭でも簡単に温度管理出来る機器が安価で入手出来ますのでそちらを活用。使えるものは上手に使って、お菓子作りのハードルを良い意味で下げるとその後の見える世界が変わってきますよね。

そして、キャラメルの風味付け。

キャラメルは砂糖を好みの色味まで焦がし、お湯またはクリームで溶きのばしてソースのように使ったり、何かに混ぜてフレーバーをつけるのですが、問題はその焦がし加減。一歩間違えば火災報知器が反応するくらいもうもうと煙がたつくらい、キャラメル色を越えて黒色手前なくらい、苦い苦いキャラメルを使って。焦がしが甘いとピンボケしてしまうので、躊躇なくメラメラと焦がしますw

その2つを守れば、特別な材料がなくても、プロ用の機材がなくても、家庭で美味しく作れるのが、このバニラキャラメルバターケーキ。

手に持ってすぐわかるくらいしっとりした生地を口に入れると、キャラメルのほろ苦さとバニラの甘い香りが広がって。不思議ともう一口食べたくなる魅惑のパウンドケーキ。しっかりと糖分が入っているのに、それを感じさせないためか、甘いものが苦手な方や焼き菓子に普段は興味がないけどこれは別!という方も多くて。

アトリエ・ドゥ・シュークルのお菓子の中で間違いなく、シンプルだけどハッとさせられる、また作って食べたくなるお菓子ベスト5に入る焼き菓子なのでした。


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Yukako YAMADA

12年間運営してきた料理・製菓教室を手放し骨休め中。しばらくは緩く家庭料理・家庭菓子作りのあれこれを配信します。http://parquet.exblog.jp

ストーリーのあるお菓子

「アトリエ・ドゥ・シュークル」のお菓子、誕生秘話、製作過程、そしてお菓子に込めた思いを写真と共にあれこれつづります。
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