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野球からゴルフ転向。スキルの転移って?

運動連鎖を少しずつ深堀りしています。
何のことかわからない人は過去ブログ
「運動連鎖」
または
「運動連鎖に関するKANEKO予想2.0」
をご参照ください。
運動連鎖は、いかに身体を使うか。ということなのですが、単純に「クラブを振る」だけの動作でも、腕の動きで完結できるものではありません。
足の指の動き、足首の動き、膝の動きなど、各バーツのトルクと速度が少しずつ加わって最後、腕に伝わります。


私は小学校で野球を始め、大学でもいわゆる体育会の「野球部」に所属していました。卒業後ゴルフ場の研修生になったころ、よく言われたのが「野球部上がり」という言葉です。
「野球部上がりは飛ぶんだよな~」なんて言われていました。私、あんまり飛ばないので恥ずかしい思いをたくさんしました。

まあ、どういうわけか、野球経験者はゴルフを覚える際にも他の種目経験者よりはアドバンテージがあるようです。あくまでも経験則で、私の周囲ではそうでした。
※おそらく相関はあると思いますが、先行研究があまりありません。というより、「スキルの転移」に関する研究が少ないです。

更に、「ピッチャー経験者は、ドライバーの飛距離が出る」とか、
「キャッチャー経験者は、戦略的」、
「内野手経験者は小技が上手い」なんて、言う人もいました。
どれも、デビデンスは(私が調べた限り)ありませんでした。

性格上とことん調べてみないと気が済まないので、ゴルフのティーチングプロにライセンスを取得後も、「日本ゴルフ学会」の会員として、いろいろなことを調べている毎日です。

最近調べていることで興味深いのは、野球(ピッチャー)経験者と、サッカー(ミッドフィルダーなど非フォワード)経験者はドライバーの飛距離が出しやすいのではないか?という、KANEKO予想2.0の関連です。

これには運動連鎖(シークエンス)という考え方がとても重要です。
研究の一部をかいつまんで言うと、野球のピッチャーは
・振りかぶって
・脚を上げて
・上げた脚を振り出して
・腕を大きく回して
・体幹を捻りながら
・ボールを投げます
c.f.野手(内野手)はボールを補給したらなるべく少ないモーションで投げます。
また、サッカーにおいて、強くシュートを蹴る場合、蹴る脚と反対側の腕を大きく振る動作が入ります。

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c.f.サッカーでもフォワードのポジションは、内野手同様少ないモーションで素早くシュートを蹴ります。

野球経験者なら、野球のシルエットはピッチャーの動きであることはすぐにわかります。野手でこのようなフォームになることはほとんどありません。

ちなみにサッカー素人の私は、サッカー選手はみんなシルエットのように左腕を大きく振り出してからシュートモーションに入ると思っていました。
ところが、KANEKO予想2.0を掘り下げてゆくと、様々な動きの傾向が見えてきました。

もしよかったら、シュート前、腕の振りが大きな選手とそうでもない選手を見比べてみてください。
左腕振り出しのシュートモーション(代表 D.ベッカム)
左腕振り出しをほとんど使用しないシュートモーション(代表C.ロナウド)

時間のない方はこちら↓


この2人はサッカーを知らない人でも名前くらいは知っているはず。二人はシュートの際のモーションが大きく異なります。D.ベッカム選手はロングパスやロングシュートする位置にいることが多いので、多少大きなモーションでも、より大きなトルクを生み出すことが求められるのです。
C.ロナウド選手のように相手コートの最深部で得点に絡む選手は、大きなモーションでシュートを打っている暇がないので限りなく少ないモーションからシュートをします。

つまり、ゴルフのドライバーショットのような大きなトルクを利用して、長いクラブをスイングする動きの際は、起点となるパーツから順を追って、関節(身体)をたくさん使った方が効率的にクラブヘッドを加速できるのです。
ドライバーショットの飛距離に関しては、野球のピッチャーのスキルは好転的に転移すると予想されます。
他の種目の動きやリズム、感覚が影響をすることをスキルの転移といいます。
野球のピッチャーやサッカーのロングシュートのような、大きな事前のモーションはゴルフのドライバーショットの際には、より有効なスキルの転移が起こると私は予想しています。

スキルの転移は運動学習という「スポーツ心理学」の研究領域です。私は、教育学部生だったころこの運動学習がアスリートの環境とどのように作用するかを研究していました。ゴルフのティーチングプロとして活動している今でも、研究を続けています。もし、興味のある方がいましたら、ぜひメッセージをください。
いろいろなご意見を聞きたいです。



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