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【歌詞解説】BADHOP 『Bay side Dream(feat. T-Pablow, Tiji Jojo & Benjazzy)』

今回は、先日リリースされた
BAD HOP 3rd Album [BAD HOP WORLD]から
Bayside Dream(feat. T-Pablow, Tiji Jojo & Benjazzy)[prod by JIGG]
のリリックを解説をしていきたいと思います。


JIGGのまるで潮風を感じさせる様な爽やかなトラックに、3人の最新のトレンドを見事に日本語に落とし込んだFLOW。かなり完成度の高い一曲でした。この曲は、特にT-Pablowが中心となって進めていった曲みたいです。
MVもストーリー仕立てで素晴らしかったですね。

[Chorus: T-Pablow]


高く並んでるビルより工場の方遠くを見る
下ろし立てのKicks それ自慢するKids

BAD HOP殆どのメンバーが川崎市南部の工場地帯周辺の地域出身。普通の都会の子は高いビルを見ながら育つのに対して、工場に囲まれて育ったBAD HOPは工場を見て育ったという対比。

朝に起きて昼 夜も寝ずにDeal
金を洗ったキッチン
ドラッグのディーラーだった隣人
そこを抜けるのに必死
夢見るBay Side 夢見る

機械の部品などを『分解する』という意味の”deal”とドラッグを売り捌く”dealer”が掛かっている。金を洗っているのは、強奪などで無理やり奪ったり、売買取引時の揉め事でお金が血で汚れている為。

[Verse 1: T-Pablow]


俺らBay Side出身 潮風で錆びる夕陽
口より手が出ちゃう友人 シノギは恐喝が中心
港町出てCruising 葉巻をカットしてBlazing
クルーザーの上でPoppin それでも酔わない

シノギとは、収入源のこと。
Poppinとは『弾けている』という本来意味だが、ここでは『騒いでいる』という意味のスラング。

祖父母が地元で美容室床屋を経営してたし
俺だって0.1ミリまでFlowにあるこだわり
ただ好きに生きてただけ ただ好きに..
昔諦めたサッカーだけどRapperになったら
呼ばれたぜフロンターレの開幕戦での始球式へ
一球目なら外したよ 二球目蹴りたくて
それは冗談だけど俺以外外せねぇ

*T-Pablow は2019年2月23日に地元川崎市のサッカーチーム川崎フロンターレの始球式を行なっている。PKという形で行われ、1球目は外したが2球目で見事ゴールを決めた。

可愛くてどうしようない娘も生まれて
マイクの前レック中も娘を抱いてる
沈んだとしても何度もFly
こいつで稼いでんだよガキのミルク代

ここのバースは、ファンの中でも話題になっていた。擬人法などの例えを疑う声もあったが、YZERR からのコメントを見るとどうやら本当のようだ。おめでとうございます。


[Chorus: T-Pablow]    Repeat*


[Verse 2: Tiji Jojo]

徐々に深くなる夢で
鮮明に見えてた光景は忘れねえ
1万人の客が上げてる歓声
その歓声のせいで起こされ仕事へ

夢を見ない深い睡眠であるノンレム睡眠と昔思い描いた夢にどんどん進んでいっている事を掛けている。みんながBAD HOPの活動を待ち望んでおり、それを武道館ライブの時の歓声で例えている。

繰り返し同じで
準備する急いで
今日も混むバス停 絡まるイヤホン
憂鬱な気持ちなら汗で流して
スタジオに向かってる 作業着のままで

クソみてえな日 抜けたし楽しんで
昔話ならする必要ねえ
今が最高で更新するBest Life
小さいあの子たちも夢見るBay Side

夢は平等に見る物だぜ当然
誰かに邪魔されるものじゃないぜ
尖った目のあの通りの子
そのあの子が夢見る今日

尖った目とは、ここでは『在日韓国人』の事を指している。BADHOPの地元 池上にはコリアンタウンがあり、在日韓国人が多く在住している。
Tiji Jojo自身も在日韓国人にルーツを持つ。


[Chorus: T-Pablow]    Repeat*


[Verse 3: Benjazzy]


今Bay Sideの埠頭を背に
空の上をダチと飛び立ってる
数奇の運命に囲まれて

数奇の運命とは、運命に波乱が多いこと。

空の軽いランドセルからもう経つ何年
今じゃ背に背負ってる Hoodへ向け歌ってる
今じゃFlexしても誰も驚かねえし
逆に夢に追われて逃げだせねぇ
LAでRECしていた時グランマが去る知らせを聞く
葬式の日も当たり前の様にLIVEしてる
皮肉な話止まりゃ飲まれる
だから続ける償いと祈り
この街と繋いでるチェーン

夢だったラッパーとしての成功と祖母の葬式に行くなどの普通の人間としての当たり前は、釣り合いが取れない事を表現している。
もはや止まりたくても引き換えすことができないくらい大きくなった夢に追われているという事。

Hood吹く風なら時に命すら奪い去る
色褪せるYellow Tape
咲いては散ったコーナーの花畑

川崎という街のしがらみは、時に命を奪い去るものである。
交差点のコーナーの事故で亡くなった方に遺族が供える花が供えられては枯れるを繰り返すように、皆の中では色褪せていく殺人事件だが、一部の人間だけは決して忘れないという事を咲いては散るという事で表している。

“Yellow Tapeとはスラングで”殺人”という意味。

夢叶えてまた誰かの夢になる今日
埋立地にいつか骨を埋めて咲き誇る

BAD HOPメンバー自身がZEEBRA, AK,Anarchy などのラッパーに憧れたように、BADHOP自身もまた誰かの憧れになっているという事。

港に浮かんじゃ消える
あの子の思い載せ 継がれてく夢

*これは、2019年12月19日に起こった川崎市の多摩川に高校生がラップバトルの罰ゲームで飛び込み死亡した事件の事を歌っていると思われる。


[Chorus: T-Pablow]    Repeat*


以上、解説でした。


*間違っている部分など、ご指摘などございましたらコメントください。





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