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【地域の話】農業の大切さ、大地に触れ泥に塗れることの尊さについて#185

皆様、こんにちは。
佐伯です。

先週は盛りだくさんで地域を駆け巡っていたので、今週はそれらを腰を据えて気付きや学びを整理していきたいと思います。

さて今回は先週はいつもお世話になっている地元の大手お花屋さん:株式会社ジャパン・フラワー・コーポレーションさんのお誘いでチューリップ畑の花摘みに行って参りました。

せっかくの大地に触れる貴重な機会なので息子も連れて二人で畑仕事に挑戦してみました。

お花だけを摘み取るのが息子には難しく一緒に摘み取りました。

①富山県のチューリップ球根生産は日本一!

令和2年の記録なので若干古いですが、変わらず富山県のチューリップ球根の生産量は日本一です。

元々は東砺波郡庄下村(現在の砺波市)で水野豊造氏と数名の農家さん達でチューリップの栽培を始めたことがスタートです。
なんと大正7年(1918年)のことでした。

戦前ということもあり、農地改革はされておらず農地を持たない農家や規模の小さな農家が多くいました。

稲作だけでは食っていけない

危機感が水野氏たちを立ち上がらせました。

都会に働きに出れば良いじゃないかというお声も聞こえます。
しかし、実際に高齢の農家さんにインタビューをして聞いた話では当時はバスも電車も無く、自転車も高価なため殆どの農家さんが持っていなかったとのことでした。

そのため、移動手段は徒歩のみとなります。
また、富山県のこの地域は今でこそ温暖化の影響で積雪量も少なくなりましたが当時は雪に閉ざされることも珍しくはありませんでした。

そのため、この地で価値のあるものを作り商人に卸すことが最も合理的な考えだったのです。

水野氏はいくつかの園芸作物を取り寄せました。
その中でも10球ほどを取り寄せ試作的に栽培したチューリップが非常に人気が出て高値で取引されたそうです。

当時はチューリップがとても珍しく、切り花としての価値があったという訳です。

その後、富山県(特に砺波平野)はチューリップの生育に適した環境であることが分かり、たくさんのチューリップが生産されるようになりました。

その後も着実に生産数を伸ばし、特にチューリップの球根は昭和13年にはアメリカに輸出するまでに至りました。
「富山のチューリップ」は世界でも好評を博しました。

しかし、太平洋戦争で生産は中断となりました。
それでも当時の農家さんたちは大事に球根を保管し、戦争終結後に再びチューリップの生産を再開しました。

国から禁止されていたチューリップの栽培を再開できた時の喜びは相当なものだと推察します。

近年では農作物の自由化により、チューリップの本場オランダから安価な球根が大量に輸入されるようになりました。

しかし、富山のチューリップは品質、大きさともにオランダ産に劣ることはなく、着実にファンを増やし現在も多くの人々に愛されています。

②フラワーロスという知られざる社会問題

皆様はフラワーロスという言葉を知っていますか?

恐らくフードロスという言葉は多くの方々が存じているかと思います。
実はお花も食品と同じ楽しむことができる旬があり、出荷する時期に合わせて農家さん達が栽培計画を立て、狙った時期に出荷をします。

フラワーロスというのは何らかの理由で出荷出来なくなった、または生産の過程で廃棄が出てしまうということです。

最近では能登半島地震の影響で多くの啓翁桜の生産者さんが打撃を受けました。
なぜなら、新春の宿屋さん、料亭さんには季節の枝物として桜が珍重されます。

それが地震によって宿屋さん、料亭さんが営業できなくなり注文も立ち消えになりました。

ジャパン・フラワー・コーポレーションさんはこのように折角、大切に育った命ある植物達を無駄にしない取り組みを熱心に行なっています。

実は今回、お誘い頂いたチューリップの花摘みもフラワーロス作戦の一環です。

質の良い球根を作るには、お花を早々に摘み取ってしまう必要があるのです。
なぜなら、お花に行く栄養を球根に回す必要があるからです。

以前は美しいお花を廃棄していたそうですが、今はそれらを集めフラワーカーペットとして街中や都市部に富山のチューリップのPRの願いも込めて活動されています。

とても素晴らしい取り組みと思います。

どこまでも続くチューリップ畑。

また、PRすることで少しでも富山のチューリップに関心を持って欲しいという思いもあるそうです。

上記の写真のとおり、見渡す限りのチューリップ畑が砺波平野には広がっています。
ですが、どの業界でも同じことが言えますが後継者がいません。

今回お邪魔した農家さんではこれだけの広大な畑をたった5人で収穫していました。

良いものを作っているのに人が集まらない。
一刻も早く農家さんの栽培する商品作物の価格を引き上げる取り組みが必要だと感じました。

また、今回はお花でしたが農業は食の安全保障に直結する話です。
決して蔑ろにして良い問題ではありません。

今回、泥だらけになりながら農業の大切さを身をもって体験することができました。

③まとめ

農業というのは懐の深い産業かと思います。
私たちの食を支えると共にお花を育て生活を豊かにしてくれます。

また園芸療法という植物を育てることで、充実感や優しい気持ちを育む一種の治療プログラムも存在します。

人間は太古に海から陸に上がり大地と共に進化してきました。

もしかしたら豊さのヒントは大地にあるのかもしれないと、ふと思いました。

それでは皆様、ご機嫌よう。

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