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喫茶店の好きな瞬間

僕の日常のなかのひとつに、喫茶店に行くことがある。喫茶店は僕にとって無くてはならない場所だ。お店の人や常連さんと話をしたり、単純に自分の時間を楽しんだりできるから。中でも、とびっきり好きな時間があることに最近気がついた。

それは、カウンターに僕しかおらず、お店の方はフードやドリンクを作っていて、テーブルのお客さんはそれぞれの会話を楽しんでいる瞬間だ。お店の中の空間で、僕だけの世界がそこに出来上がったかのような感覚になる。そして、その状態の中で読む本は格別だ。文章が次から次へと頭に入ってきて、ページをめくる手が止まらない。

いつもそんな時間が訪れる訳ではない。失礼ではあるが、お店も常に忙しいわけではないし、僕が知らないお客さんしかいないという状況なんてそうそうない。なぜなら、皆にとって大切な場所だから。僕だって、お店の人や馴染みの常連さんと話だってしたい。

でも、ふとした衝動に駆られる。喫茶店で一人の時間を楽しみたいと思う瞬間が。そして、僕の好きな時間は予期せぬ瞬間に突然訪れる。それを逃すわけにはいかない。ここぞとばかりに自分の時間を心行くまで楽しむ。

扉を開けて入り、少し休んでから扉を閉めて出ていく。喫茶店は僕にとっての止まり木みたいなもの。そんな時間も楽しめるから、やっぱり喫茶店が好きなんだろう。

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